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2012.2.1

大高博幸の美的.com通信(88) 新作映画×3本 試写室便り No.21


桃栗3年、お茶7年。おいしい有機のお茶には、膨大な時間と手間と愛情がかかるのです。
『種まく旅人~みのりの茶~』
★詳しくは、tanemaku-movie.comへ。
3月3日から大分・福岡先行ロードショー、3月17日から全国ロードショー。

逆境に生きる人々を描いてきた塩谷俊監督が、「日本の農業を応援したい」と10年間あたため続けてきた渾身の作品。撮影は大震災の前、2010年11月~12月にかけて行われたそうです。

主要登場人物は3+1名。
陣内孝則演ずる大宮金次郎は農林水産省の官房企画官。だが、全国各地の農家を訪ねては作業を手伝い、酒を飲み交わし、皆から“金ちゃん”と呼ばれている。役所と畑では全くの別人であり、両方の顔を知る者はいない…。
田中麗奈演ずるみのりは服飾デザイナーの仕事をリストラによって辞し、東京から大分県臼杵市で有機茶園を営む祖父・修造(柄本明)に会いにやって来る。ところがその翌朝、修造が突然倒れて緊急入院。すぐに帰京するつもりでいたみのりは、成り行き上、茶畑仕事をする破目に…。
吉沢悠演ずる卓治は臼杵市役所農政課の若い職員。修造の見舞いに訪れて、みのりに有機農業の難しさを話して聞かせる…。

この3人が絡み始める辺りから、映画は観る者を画面の中に引き込んでしまいます。なぜならそこには、情熱と信念が困難をハネ退けていく様子が映し出されているからです。
僕は始まって数分間、「ズーム×パンが多用されていて、この映画は好きになれないかも。脇役の過剰な演技も鼻につく」などと感じていたのですが、3つの場面(主人公たちが喜んでいる場面×3)では涙をポロッと流し、ラスト間際に用意されているユーモラス×愛らしい場面(特に金次郎とみのりの交互クローズアップの部分)では、ウフフと笑ってもいたのです。

主要登場人物の誰もが、“友だち”のように思えてくる…、そこがこの映画の一番いいところ。そして、みのりと卓治は、伏線が張られているワケではありませんが、「やがては夫婦になる可能性が大」などと勝手に想像しつつ、僕は百貨店で有機茶を購入して帰ってきたのでした。

P.S. 印象に残った台詞は、農園カフェを営むみのりの友人の一言、「(この仕事は)喜んでくれる人をイメージしながらするコトが(何よりも)大切なの」でした。
©『種まく旅人~みのりの茶~』製作委員会

 

魔法を解くのは、真実の愛。
『ビーストリー』(原題=BEASTLY)
★詳しくは、finefilms.co.jp/beastly/へ。
2月4日から全国ロードショー。

戦後間もない頃、日本でも特に知識層の映画ファンの間で大評判となった傑作『美女と野獣(ジャン・コクトー監督、ジャン・マレー主演、フランス映画)』、その現代版とも言うべきファンタジック・ラブストーリー。夢幻性や芸術性はそれには遥かに及ばないものの、「外見は必ずしも真実ではない。本当の美しさは内面にある」というテーマが、3人の若手俳優によって描かれています。
舞台は現代のN.Y.。ある日、自信満々(というより嫌みなほど自信過剰)なイケメン男子高校生(アレックス・ペティファー)が、クラスメートの魔女(メアリー=ケイト・オルセン)によって醜悪な姿に変えられてしまう。その魔法を解く鍵はただ1つ。恐ろしい姿のままの自分を愛してくれる人を見つけるコトだった。“I Love You”と言ってくれそうなのは、控えめでいて芯の強いチャーミングな女の子(ヴァネッサ・ハジェンズ)。
上映時間は86分。バレンタイン・デートで彼と一緒に観るにはピッタリかも。そして、このテーマに惹かれたなら、前述の『美女と野獣』もぜひ観てください。
©2011 CBS FILMS INC

 

神よ、愛しい人の無事をお守りください。
『魔弾の射手』(原題=DER FREISCHÜTZ)
★詳しくは、cetera.co.jp/madanへ。
3月10日から、ヒューマントラストシネマ有楽町にて3週間限定公開。

ウェーバーの名作をスクリーン上に再現する“映画オペラ”。
原作は古くから伝わる怪談集の中の民話で、ドイツの黒い森、魔法、恐怖の狼谷etc.映画的要素に不足がない上、ロンドン交響楽団の演奏と一流オペラ歌手たちによる歌唱の素晴らしさが際立つ作品。
ただし個人的に残念に感じたのは、主演者二人の年齢的なギャップでした。まず、森林官の適齢期の“娘”アガーテ。彼女が最初に姿を現わす寝室の場面では、一緒に眠っていた従妹エンヒェン(若く美しい娘)の母親役のように見え、その印象を僕は最後まで拭い去るコトができませんでした。また、アガーテとの結婚を熱望している狩人マックスは“若者”と呼ばれる男だというのに、ディカプリオの父親役を演じたら似合いそうに見え続けたのでした。
そんなコトさえ気にしなければ、もっともっと楽しめたはずなのにと、自分自身にガッカリしたというのが正直な感想です。上映時間は142分。
©Syquali Multimedia AG

さて、次回の“試写室便り”では『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』と『マリリン 7日間の恋』を、そのまた次の回では『ファミリー・ツリー』と『ももへの手紙』などについてレポートする予定です。では!

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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