お悩み別ケア
2023.6.3

CICAコスメで話題の「ツボクサエキス」化粧品としての効果は?【美容成分大全】

ツボクサエキスは、皮膚への効果が報告されている成分が複数含まれている多機能な美容成分です。ツボクサエキスを含む化粧品は「CICAコスメ」として話題を集めています。”鎮静コスメ”として有名になった通り、肌荒れやくすみに対応するだけではなく、シミやシワ、育毛まで効果が期待できます。

プロフィール

成分名 ツボクサエキス
表示名称 ツボクサエキス、ツボクサ根エキス、ツボクサ葉エキス、ツボクサ葉/茎エキス、ツボクサ花/葉/茎エキス ※抽出部位や溶剤により名称が異なります(医薬部外品の表示名称:ツボクサエキス)
主な配合アイテム スキンケア、ヘアケア、ボディケア
成分のはたらき 抗炎症、ダメージ修復、抗酸化、コラーゲン産生促進、セラミド合成促進、育毛、抗糖化、メラニン生成抑制
医薬部外品としての効能効果

どんな「効果・働き」がある?

  • 抗炎症
  • ダメージ修復
  • コラーゲン産生促進
  • セラミド合成促進
  • 育毛
  • 抗糖化
  • メラニン生成抑制

ツボクサエキスには、アジア酸(表示名称:アシアチン酸)、マデカッソ酸(表示名称:マデカシン酸)、アジアチコシド(表示名称:アシアチコシド)、マデカッソシドなど、複数の皮膚への効果が報告されている成分が含まれています。

肌の炎症を抑え(鎮静)、ダメージを修復する

・抗炎症

肌が老化する原因の一つとして、炎症があります。炎症の原因にはストレス、月経(生理)によるホルモン分泌量の変化といった内的要因や、紫外線、気温の変化、ダニやほこり・花粉といった外的要因がありますが、ツボクサエキスにはこれらの原因により生じる炎症を抑えて、肌を鎮静化する作用があります。

・ダメージ修復

ツボクサエキスに含まれるアジア酸、マデカッソ酸、アジアチコシドの3成分は、皮膚の再生や組織の修復を促す作用があるため、傷などのダメージを修復する働きがあります。

抗酸化、シワ改善、保湿、育毛など多くの作用がある

・抗酸化

アジア酸、マデカッソ酸には高い抗酸化作用があることから、加齢や繰り返される酸化ダメージによるコラーゲンやエラスチンの変質・減少を抑制します。

・コラーゲン産生促進

肌の弾力の元であるコラーゲンは、Ⅰ型やⅢ型などいくつかの種類があります。Ⅰ型コラーゲンには弾力をもたせて組織の構造を支える働きがあります。

紫外線を浴びることでコラーゲンがつくられにくくなると、シワができやすくなるといったの老化現象が徐々に進行していきます。ツボクサエキスにはⅠ型コラーゲンの産生を促す作用が実証されており、シワ改善効果が期待できます。

・セラミド合成促進

肌は加齢とともにセラミドがつくられにくくなってバリア機能が衰え、さまざまなダメージを受けやすくなってしまいます。ツボクサエキスには肌の水分保持に必要なセラミドの合成を促す作用があり、バリア機能を改善して外的刺激から肌を守ります。

・育毛

アジア酸、マデカッソ酸、アジアチコシドの3成分には、毛周期の維持に必須のシグナル分子を活性化する作用があります。これにより頭皮環境を向上させるため育毛効果が期待できます。

くすみやシミも防ぐ

・抗糖化

タンパク質と糖が結合することが糖化の最初のステップです。その後、反応が進むと最終的にAGEs(最終糖化生成物)がつくられ、肌のくすみやシワの原因となります。アジア酸には抗糖化作用が認められることから、黄ぐすみの原因となるタンパク質の劣化を防ぎます。

・メラニン生成抑制

ツボクサエキスとビタミンC誘導体のリン酸アスコルビルMgとを併用した細胞試験で、メラニン生成抑制作用が相乗的に強まるというデータがあります。このことから、シミを予防する効果も期待できます。

美容賢者からの「ひとこと」

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


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「CICA」の由来はツボクサの学名?!

「CICA(シカ)」は韓国では特に有名な美容成分です。ツボクサエキスが配合されたコスメは「CICAコスメ」ともよばれ、近年、日本でもブームとなっています。CICAとは、ツボクサ由来の化粧品原料全般をさす言葉で、特定の原料の名前ではありません。CICAというよび名についての由来は諸説ありますが、ツボクサの学名である「Centella Asiatica」の頭文字と末尾から、または傷跡を意味する「cicatrix」が由来といわれています。

「TECA」はより精製されたツボクサエキス

TECAはCICAの1つであり、もともと、フランスの医薬品の開発や販売を行っていた会社によって開発された原料です。ツボクサエキスに含まれる「マデカッソ酸」、「アジア酸」、「アシアチコシド」という、肌への効果がある3つの成分のみが含まれています。

「歴史・由来」その他の雑学

ツボクサは、世界保健機関(WHO)が発展途上国の医療向上を目的とし、広く使用されている薬草の品質を保つための規格や働きなどの科学的情報を提供するためにまとめた「WHO monographs on selected medicinal plants(薬用植物に関するWHOのモノグラフ)」に”Herba Centellae(センテラ ハーブ)”として登録されています。韓国コスメの”CICA成分”として有名となりました。エキスに含まれる主な成分には、精油成分であるテルペン類の「アジア酸」、「マデカッソ酸」とこれらの水溶性の配糖体が知られています。しかし、ツボクサ由来の化粧品原料は、世界各国でさまざまな原料メーカーから発売されており、ツボクサの産地や使用部位、抽出法などの違いにより含まれる成分も異なるため、期待される効果にも差があります。

歴史

ツボクサは、生薬ではセキセツソウ(積雪草)、インドのアーユルヴェーダではブラーミ(Brahmi)ともよばれ、世界中で伝統的に薬草として利用されてきました。中国や日本など東アジアでは解毒や止血に、東南アジアでは傷やただれに使われています。野生のトラが傷ついた体をツボクサにこすりつけて治したという伝説から「タイガーハーブ」とよばれることもあります。

主な原料の由来

植物(ツボクサの各部位から抽出)

医薬品やサプリメントには?

医薬品には使用されません。サプリメントに対しては、ツボクサエキス末(化粧品と同じかは不明)が使用されています。

注意事項

特にありません。

 

<引用元>
WHO monographs on selected medicinal plants
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第5版, フレグランスジャーナル社, 2009, p.168
鈴木一成, 化粧品成分用語事典2008, 中央書院, 2008, p.179,255
日光ケミカルズ株式会社他, 新化粧品ハンドブック, 2006, p.377
日本化粧品工業連合会「化粧品の成分表示名称リスト」
日本化粧品工業連合会「医薬部外品の成分表示名称リスト」
株式会社コーセー, デコリン産生促進剤及びそれを含有する皮膚外用剤, 特開2005-247826, 2005
富士フイルム株式会社, 水性組成物, 特開2013-116880, 2013
丸善製薬株式会社 パンフレット(セキセツソウ抽出液BG70)
株式会社サビンサジャパンコーポレーション Webサイト (健康食品原料『センテリン(ツボクサ抽出物)』)
アリスタヘルスアンドニュートリューションサイエンス株式会社 Webサイト(化粧品原料)
株式会社マツモト交商 Webサイト(コンセプトシート)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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