女医・貴子先生が解説! 肌を揺らがせないために気をつけるべきことは?
うららかな陽気に、外出したくなるはずの春。 でも、顔や体、頭までかゆいし、お手入れするとピリピリ痛い。さらにボーッとして眠い…そんな全身不調の原因を専門家が解説します。今回は、形成外科医・皮膚科医の貴子先生に“肌の揺らぎ”についてお話を伺いました。
カギは角質層のバリア機能。乱れて刺激に弱い状態に
貴子先生のクリニックにも、この時期多くの女性たちがさまざまな肌の不調を訴えに来るとか。
「乾燥に始まり、ゴワつきや赤み、ヒリつきと、花粉の飛散量が増えるのと比例して、炎症系の悩みを抱える人が増えてきます。この諸悪の根源は“角質層の水分不足”。角質層は肌内部の水分蒸発を抑えて、外的刺激から肌を守る役割がありますが、寒暖差や湿度の低下でバリア機能が乱れてしまい、水分保持能力が低下します。こうなると負のスパイラル。紫外線や花粉、黄砂、PM2.5などの外的刺激をもろに受け、乾燥や肌あれが急激に悪化。さらに、気温や湿度の上昇から皮脂分泌が活発になり、ニキビができやすくなる人もいるでしょう。大切なのは、何より保湿! 加えて絶対にこすらないこと。過敏だから何もしない…ではなく、不安定だからこそ、適切なコスメを選んで丁寧にケアしてあげてください。バリア機能が低下した状態を放っておくと肌の老化が進む、と心得て!」
肌揺らぎの基礎知識
揺らぐのは、春特有の複合的な要因
春は、気温や紫外線量の上昇、空気の乾燥、花粉などの外的な要因や、生活環境の変化による精神的ストレスまで一気にやってきます。冬からの乾燥状態を引きずり、代謝やバリア機能が低下しているときにさらなる刺激を受け、防御できない状態なのです。
自律神経の乱れや腸内環境の悪化も、肌あれを助長します!
玄関先の一手間が明暗を分ける!
外出先でたっぷり付着した花粉や黄砂などの大気汚染物質をそのまま家の中にもち帰ってしまっては、肌は休まることができません。付着しにくいサラッとした素材の衣服を選んだり、帰宅時には玄関の外で頭の先から爪先までしっかりと払うなどする一手間は、揺らぎを悪化させない重要なポイントなのです。
いちばん花粉などが付着しているのが地面と平行の頭頂部と靴の爪先。丁寧に払う意識を!
なるべくシルクやレーヨンなどのサラッとした素材の服を選び、玄関の外で払う習慣を身につけて。
肌揺らぎケアの鉄則は“こすらない”!
何をしても過敏なとき、化粧品の量をケチって手でこする、コットンで拭き取る、パッティン グでたたき込む、マッサージをする、といった“摩擦”行為は避けて。保湿アイテムはジェルやミルク状がおすすめです。敏感に傾いた肌はハンドプレスでとにかく優しく優しく!
洗顔後、保湿は乳液やジェルクリームひとつに任せて。ハンドプレスで優しく入れ込みましょう。
肌あれ部分には薬指で優しくジェルクリームを重ねて。ニキビ部分にも、まずは保湿が大切です。
a.肌に触れると水状に変化し、滑るようにのびる。
カネボウ化粧品 フリープラス ウォータリークリーム 50g ¥3,800
b.化粧水と乳液の2役を兼ね備えるジェルクリームで濃密保湿。
ピエール ファーブル ジャポン アべンヌ ミルキージェル エンリッチ 50ml ¥4,000(編集部調べ)
教えてくれたのは…
形成外科医・皮膚科医 貴子先生
『松倉クリニック』院長。丁寧なカウンセリングと的確な施術で、女優やモデル、そして美容関係者の良きアドバイザー。自身もコスメフリークで、正しいセルフケアの重要性も提唱。
『美的』5月号掲載
撮影/井出眞諭、当瀬真衣(TRIVAL/人物)、中田裕史(静物) ヘア&メイク/八角 恭(nude./モデル) スタイリスト/木川真理子 構成/藤崎 要、飯島直子・小内衣子(PRIMADONNA)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。