たばこの煙がシワ・たるみに直結!? “ポリューション”が肌に及ぼす影響とそのメカニズムを医師が解説!
美容業界でホットなキーワード「アンチポリューション」。ポリューション=大気汚染が肌にどのような影響を及ぼすのか、名古屋市立大学の加齢・環境皮膚科学教授の森田明理先生に伺いました。
ポリューション対策が未来の肌につながる
ポリューションの肌への影響も明らかになってきています。
「ダイオキシンから身を守る反応(解毒作用)の結果、シミのもとになるメラニンや、コラーゲンを分解する酵素が増えることがわかっています。これは有害物質を含むPM2.5などのポリューションにおいても同様の反応が起こると予測されます」
森田先生が携わったドイツでの調査や研究結果(下記)でも排気ガスやたばこの煙といったポリューションが肌老化につながることもわかっています!
排気ガスが肌老化の原因に!
幹線道路沿いに住んでいるとシミができやすいことが判明
(ドイツのハインリッヒハイネ大学環境医学研究所などのグループと名古屋市立大学 森田明理教授の調査による)
たばこの煙がシワ・たるみに直結!
たばこの喫煙によって真皮コラーゲンが減少する(=シワにつながる)ことが判明
(名古屋市立大学 森田明理教授の「タバコ喫煙と皮膚老化」研究による)
そのメカニズムはコレ!
大気汚染(を含むダイオキシン)[Pollution]
ごみ焼却の過程で発生するダイオキシンなど有毒物質を含む大気汚染によって起こる反応。PM2.5などほかの大気汚染でも同様の反応が起こるとされる。
↓
体内でダイオキシンを感知する
レセプター「AhR」活性化
Aryl Hydrocarbon Receptor(芳香族炭化水素受容体)が体にとって有害なダイオキシンなどの毒素を、体外に排出しようとする。
→コラーゲンを分解する酵素コラゲナーゼが増えると…シワ、たるみにつながる
有毒物質を排出する一方で、AhRは、肌の弾力を支えているコラーゲンを分解する酵素を増やしてしまうことがわかっている。コラーゲンが分解されると肌の弾力が低下し、シワやたるみの原因に。
→紫外線に反応する色素細胞メラニンが増えると…シミのもとに
AhRが活性化すると、シミのもとになるメラニンが増えることがわかっている。色素変化は生物が身を守る上では珍しくない反応。過剰なメラニンはシミを作る原因になってしまう。解毒作用を要する事態が増えると肌老化も加速することに。
教えてくれたのは…
名古屋市立大学大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科学 教授
医学博士・皮膚科専門医 森田明理先生
もりたあきみち/環境による皮膚の反応・変化、紫外線免疫、最新皮膚疾患治療、肌老化のメカニズムとアンチエイジングなどの専門家であり、大気汚染と肌の関係の研究における第一人者。
『美的』2月号掲載
イラスト/naotte、大塚さやか 構成/村花杏子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。