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スキンケアニュース
2025.8.19

アブラっぽい肌から脱出するには【中年男性、トキメキ美容沼へ vol.24】

こんにちは、ライターの伊藤聡と申します。私は男性のためのスキンケア本『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社)を出しました。みなさんは、スキンケアに興味がありますか。スキンケアという言葉から、どんなことをイメージしますか? こちらの連載では、スキンケアに親しんでいく上で役に立つかもしれないあれこれをテーマに書いていきます。トライしてみれば楽しくて奥が深い、スキンケアの世界を一緒に探求していきましょう。

気になるオイリー肌

肌がアブラっぽい、という悩みを抱く男性は多い気がします。私もそうでした。肌がテカテカとアブラぎっていると、なんだか下品そうに見えるのではないか、といった不安が出てきます。顔がアブラで光っているというのは、なぜだか妙に恥ずかしいのです。特に鼻のまわりなど、あまりにオイリーになってしまい「クレ556の代わりに鼻のアブラを使えば、扉のきしみとかが直せて便利なのでは?」と考え出す始末。対応方法もわからないため、悩んだ記憶があります。そのため、多くの男性は自分が脂性肌であると思い込んでいますが、実際は意外に乾燥肌であったりします。自分の肌質がわからない、というのも男性あるあるですね。

男性のスキンケア、身だしなみ製品は発展途上にありますが、比較的多くの人が使っているのが、フェイスシート、フェイシャルペーパーといったアイテムです。不織布でできたシートに、水分、アルコール、メントール、香料などをしみこませてあり、その湿ったペーパーで顔を拭くというものです。これは男性の「肌のテカりが恥ずかしい」というニーズに沿った側面のある製品でしょう。私も昔から、こうしたアイテムを愛用していました。いかにも男性用アイテムらしく、メントールでスースーするのが特徴です。男性は、スースーする製品を使うよう運命づけられているのです。とはいえこのフェイスシート、アブラをていねいに拭き取った直後はサラサラになるのですが、しばらくすると、肌の内側から不屈の精神でアブラがふたたび浮き出てきます。肌のテカりはしぶといのです。百人組手に挑戦する空手家みたいな、強い意志と気合いがあります。そのため、どれほど拭いても結局はいたちごっことなってしまいます。アブラでテカテカになった自分の顔を見ながら、つい「キリンジ『3』のアルバムジャケットか!」とツッコんでしまいました。

フェイスシートで顔を拭いた後は

スースーするフェイスシートで顔を拭いていた私には、肌に関する知識が欠けていました。フェイスシートは使うと気持ちがいいですし、スッキリしますので、使用するのはいいと思うのですが(私も年間を通して使っています)、使用後にいくつか追加のケアをすることで、オイリー肌が抑えられます。肌がアブラっぽくて悩んでいる方はぜひトライしてみてください。まずはなんといっても保湿です。フェイスシートで顔を拭いた後はうるおいがなくなっていますから、かならず化粧水を使いましょう。つきつめて考えると、スキンケアとは肌の保湿です。肌になるべく水分を入れて、しっとりとした状態を保つようにします。そして次に大事なのが「肌に油分を与える」ことです。オイリー肌で悩んでいるのに、肌に脂分を与えるとはどういう意味なのか、よくわからないかもしれませんが、アブラっぽい肌に悩んでいる人ほど、油分を含んだスキンケア製品を使用することが必要なのです。アブラをアブラで制する、この逆転の発想が必要になるのです。

肌がアブラっぽくなってしまうのは、身体が「肌に水分や脂分が足りない」と判断したため、体内からアブラを供給して肌を保護しようとする、という事情があります。フェイスシートで顔を拭けば拭くほど逆にアブラが出てしまったのは、そのせいでした。こうした場合、あらかじめスキンケア製品を使用して、肌に水分や油分をバランス良く補給しておくと、肌のコンディションが落ち着くのです。オススメはやはり乳液。乳液とは、かんたんに言えば「肌に適度な油分を与えて、表面に膜を張る」アイテムです。乳液で「フタをする」と表現したりもしますが、化粧水~乳液というシンプルなケアをするだけで、肌は意外なほどしっとりと落ち着きます。アブラぎった肌からも脱却できて、なんだか上品な印象になり、「自分の家できちんとコーヒー豆を挽いてから飲む人」みたいな雰囲気がもたらされます。もし化粧水~乳液という手順がめんどうであれば、代わりにオールインワン(化粧水、美容液、乳液のすべての要素が全部含まれた便利アイテム)を使用してもよいです。オールインワンには、もちろん適切な油分も含まれていますから、肌のコンディションはぐっとよくなります。

肌に油分を与えてみよう

多くの男性は、スキンケア製品を使用した際に肌がベタつくのを嫌います。そのため、男性用のアイテムには「ベタつかない」を宣伝文句とする製品が多く見られます。乳液をつけたくない、という男性も多いですね。しかしスキンケアを続けてみると、ていねいに美容液や乳液を使用したお手入れをして、肌がベタつくぐらいの状態になった方が、翌朝の肌の仕上がりがよくなると気づきました。まずは「ベタつく」という状態への苦手意識をなくしていった方がいいと思います。特に夜のスキンケアについては、積極的に油分を肌に入れて、肌のツヤやうるおいを高めていった方が、結果的に肌のコンディションを上げていくことができます。私は寝る前など、さまざまなスキンケア製品の重ねづけで顔がテカテカになっています。思い切って、肌に油分を入れるスキンケアに挑戦してみましょう。

ドクターケイの「Cコントロール リペアセラム」は、洗顔後すぐに使用する先行美容液です。この製品の特徴は、なんといってもオイリーな質感です。手に乗せたとき、これをつけたら肌がアブラっぽくなってしまわないかな、と心配に思うのですが、実際に使用してみると驚くほど肌がしっとりとまとまるのがとてもいいです。この製品のあとに化粧水や乳液を使用するのですが、いちばん最初にこのアイテムを使うことで、アブラっぽい肌のテカりを抑える効果も感じられました。これで男性の肌悩みも解決ですね。ぜひ考え方を変えて、肌に油分を与えてみましょう。すこやかな肌に変身できますよ。

伊藤 聡(いとう・そう)
会社員兼ライター。50代にして美容の楽しさに目覚める。著書に『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社刊)

イラスト/green K

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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