“アンチポリューション”してる? 最新研究で明らかになった肌老化の原因に迫る!
24時間365日、私たちを取り巻く空気の中に、じわじわと肌老化を進行させる危険性のある「ポリューション」が含まれているのを知っていますか? 最近では、そんなポリューションから肌を守るUVケアや乳液、ミストなどが続々登場するなど、美容業界ではまさに今、注目ワードとなっているんです。詳しいお話を名古屋市立大学の加齢・環境皮膚科学教授の森田明理先生に伺いました。
それは、外的刺激から肌を守ることへの関心の高さの表れ!
最近、美容業界でホットなキーワードである「アンチポリューション」。大気汚染や花粉、ブルーライトなどから肌を守ることに着目したアイテムが次々に登場し、話題を呼んでいます。名古屋市立大学の加齢・環境皮膚科学教授の森田明理教授によると「大気汚染(ポリューション)は目には見えません。ですが、そのとても小さな微粒子が空気中に含まれていて、気づかないうちにじわじわと肌老化に影響を及ぼす…そういったことが、ここ15~20年くらいの研究で次々と解明されている」のだそう。
肌老化の原因の8割である、紫外線による光老化対策への関心が高まる中、日焼け止め製品は絶好調ですが、さらに1歩進んで、残り2割の原因へのアプローチとして注目されているのが、アンチポリューションなのです!
今までノーマークだった残り2割の対策に美肌への可能性があるかも!
紫外線による光老化は、肌老化の原因の8割である」と、聞いたことがある人も少なくないはず。では残りの2割の原因は? というと、大気汚染などの環境要因なのです。
こんな人は要注意!
□ 肌が乾燥して炎症を起こしがち
□ お手入れしているのに今ひとつ効果が出ない
□ 肌がお疲れ気味
そもそも“ポリューション”ってどんなもの?
物を燃やした煙には目に見えない有害物質が!
ポリューションというと、なんだか聞き慣れませんが、昔から問題になってきたものです。
「ポリューションとは、すなわち大気汚染のこと。例えば化石燃料を燃やすことで生じる粉じんや、自動車や工場から排出される二酸化硫黄が大気中で化学変化を起こしたもの、たばこの煙など、人為的な原因で発生した環境汚染物質…自然界にないものによる汚染を指します。1970年代には、日本でも光化学スモッグなどが高濃度で発生し、公害問題になっていました」
改善されたにもかかわらず、最近問題視されている理由は?
「中国やアジア諸国などの深刻な大気汚染を踏まえて世界中で大気中の微粒子状物質(PM2.5)の研究が進み、その健康被害が明らかになってきたからです。日本の大気汚染そのものが深刻化しているわけではありませんが、今、PM2.5が世界的に注目されるトピックスであることは間違いありません」
今さら聞けない…PM2.5とは?
直径2.5μm(マイクロメートル)以下の微粒子の総称
PMとは「Particulate Matter(微粒子状物質)」のことであり、直径2.2μm以下の粒子をすべて「PM2.5」と呼びます。物質そのものが有害なものも無害なものもありますが、要は粒子が非常に小さいため、たくさん吸い込むと血管や肺に詰まりやすいことが問題視されています。
日本のPM2.5、最新事情
Q.PM2.5は増えている?
日本では、大気汚染防止法によって物の燃焼に伴って発生する硫黄酸化物や煤塵(すす)などは、自動車排出ガス規制やエコカーの開発などによって、減少傾向にあります。
Q.なぜ、最近話題に?
粒子が小さすぎて計測が難しかったPM2.5。計測技術やPM2.5の人体への影響などの研究の進歩を背景に、日本でPM2.5に対する環境基準値が設けられたのは2009年のこと。
Q.今後の対策は?
日本だけで見ると、減少傾向とはいえ、大気汚染は国境を越え、酸性雨やオゾン層の破壊、地球温暖化にも密接に関係しています。地球規模での対策が今後必要となるでしょう。
教えてくれたのは…
名古屋市立大学大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科学 教授
医学博士・皮膚科専門医 森田明理先生
もりたあきみち/環境による皮膚の反応・変化、紫外線免疫、最新皮膚疾患治療、肌老化のメカニズムとアンチエイジングなどの専門家であり、大気汚染と肌の関係の研究における第一人者。
『美的』2月号掲載
イラスト/naotte、大塚さやか 構成/村花杏子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。