「嫌知らず」を考える【中年男性、トキメキ美容沼へ vol.18】

こんにちは、ライターの伊藤聡と申します。私は男性のためのスキンケア本『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社)を出しました。みなさんは、スキンケアに興味がありますか。スキンケアという言葉から、どんなことをイメージしますか? こちらの連載では、スキンケアに親しんでいく上で役に立つかもしれないあれこれをテーマに書いていきます。トライしてみれば楽しくて奥が深い、スキンケアの世界を一緒に探求していきましょう。
昨今うわさの「嫌(いや)知らず」とは?
先日「嫌知らず」という言葉を目にしました。男性の行為に対して、女性側が「嫌だ」「止めてほしい」と伝えたとき、指摘された行為を止めず、「別に大したことではない」「嫌だと思う方がおかしい」などと逆に相手を説得にかかってくる男性が一定数いると話題になっているのです。シンプルに怖いですね。こうした男性の態度は、SNSなどでも話題になり、テレビのバラエティー番組でも「嫌知らず」として紹介されていました。嫌知らず。親不知(おやしらず)みたいで語呂がよく、覚えやすいですが、歯医者さんでは治らないタイプの悪癖かもしれません。かんたんに「あーこれ、嫌知らずですね。抜いちゃいましょう」とは行かない可能性があります。もし相手から「嫌だ」「止めてほしい」と言われたら、「すぐに止める」以外の選択肢はないと思うのですが、思ったより多くの男性が、相手の嫌がる行為をそのまま続ける傾向があり、だからこそ「嫌知らず」はテレビで取り上げられるような必然性があったかと思われます。いままで名前のついていなかった行為に、ようやく名称が生まれたわけです。
相手が嫌がることを続ける男性。どれほど「嫌だ」と拒否をしても聞かず、女性側がついに別れを切り出すような最終段階に至って、「そんなに嫌ならどうして言わなかったのか」と言い出す男性もいるようで、あるいは女性側からの拒否のメッセージはそもそも届いていない可能性があります。これも考えてみれば、背筋の寒くなるような話なのですが……。女性からすれば、「おでこに『嫌です』と書いた紙でも貼っておかなきゃわからない?」と反論のひとつもしたくなるでしょう。なぜこのような事態は起こるのでしょうか。とはいえ、私も決して偉そうなことは言えない気がします。私自身の経験を考えると、交際していた女性から「嫌だ」と言われたことに対して、その行為を止めはしたものの、相手に対して「気にしすぎでは」と思った記憶はあり、内心どこか納得できない部分が残ったような感覚があったことも覚えています。嫌知らずについては、私も反省が必要でした。それにしても、あの「どこか納得できない部分」の正体は何だったのでしょうか。
「余計なもの」としての感情
あるいは私も嫌知らず予備軍だったわけで、そうした自分を戒めつつ、どうしてこうした心理状態になるのかを考えてみたいと思います。だっておかしいですよね、嫌がられているのに止めないって。思うに男性は、小さな頃からみずからの感情を抑制されながら成長する側面があります。「人前で泣くな」「いつも堂々と構えていろ」など、ネガティブな感情や弱さを抑えることを求められつつ人格が形成されるため、感情の抑制が当然のこととして織り込まれている傾向があるのです。そういえば私はすぐ泣く子どもだったのですが、そのたびに父親や級友がうんざりした表情になっていた記憶があります。感情に振り回されてコントロールできないのは、男として間違った状態だというプレッシャーを私は感じていました。こうした環境で育ってしまうと、相手の「嫌だ」という意思表示が、どこか甘えのように見えてしまう部分があるのかもしれません。
多くの男性にとっては、嬉しい、悲しい、嫌だ、気分が落ち込むといった感情はどれも、余計なものとして排除される傾向があります。お前の気分などどうでもいいから、男としてやるべきことを粛々とやれ、というわけですね。あー、世知辛い。男性的コミュニケーションの根底に「そんな細かいことで、嫌だとか止めてほしいなどと言うな」「少しくらいガマンしろ」という感情の排除があるので、相手からのメッセージを軽視してしまうような部分があるのかもしれません。いずれにせよ乱暴ですよね。私自身に残っていた「どこか納得できない部分」の正体は、こうした「感情の否定」だったような気がしました。とはいえ同じ意思表示であっても、会社の上司や取引先のキーパーソン、先輩など同性からの言いつけやメッセージは一度で理解し、しっかり遵守するので、そのあたりの切り替えの素早さはいまだ謎なのですが……。同じ男性には嫌知らずが発生しないのです。その鋭い注意力を、できれば女性にも向けてくれないでしょうか。
共感ベースのコミュニケーションへ
また、多くの男性が共感ベースのコミュニケーションに不慣れである、という点は別の可能性かもしれません。相手の困りごと、悩みに対してまずは耳を傾け、「気持ちがよくわかるよ」「そうだね」と同意する共感ベースの人間関係に、男性はあまり慣れていません。共感してもらって安心する、心が落ち着く、という経験をしていないのです。そもそも多くの男性にとって感情は邪魔なので、共感してもしかたないという側面もあります。そのため相手が悩みを打ち明けてきても、暗に求められている共感の姿勢を示せず、「君の側も努力が足りないのでは」と冷酷な返答をしてしまうなど、コミュニケーションがあさっての方向に行きがちです。これも実によくない。他者との関係性で「共感する」以外の正解はないのだから、まずはまっすぐに共感してほしい。タモリさんが「いいかな?」と聞いてきたら、返答の正解は「いいとも!」しかないのであって、その基本ルールをわかってほしいと思います。こうしたコミュニケーション観のズレもまた、嫌知らずを生む原因になっているような気がしてなりません。共感を低く見積もっている、あるいは共感などしたら負けだ、というような反発心を持っている男性は、少なくないのかもしれません。
しかし、こうして考えてみると、男女間のコミュニケーションの溝は深く、どうすれば両者を橋渡しできるのだろうかと不安になってしまいます。感情を肯定し、共感をベースにした関係性を作ることができれば、嫌知らずもなくなっていくように思うのですが、その道はなかなか遠いかもしれません。そんな男性に、まずは自分のお肌への共感をしてみてほしいと思います。韓国のコスメブランド、ドクターバイオの「グリーンライス バイオーム トナーパッド」「グリーンライス バイオーム アンチエイジングクリーム」「グリーンライス バイオーム アンチエイジングアンプル」の3点は、どれもお米(緑米)のエキスを使った製品で、肌をふっくらと柔らかくしてくれるアイテムです。特に「トナーパッド」が秀逸で、中に入っているコットンで洗顔後の拭き取りをすれば、気になる毛穴の脂もきれいに落とせて、その後の化粧水や美容液が肌にしみ込みやすくなります。これで肌のトーンも明るく変化するのではないでしょうか。まずは自分のお肌に優しく共感し、周囲の人びとにも同じような思いやりの心を持って接することができればいいですよね。

イラスト/green K
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