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メイクアップニュース
2023.11.27

井川遥さん出演。自分の顔が好きになる、水野未和子さんの「ディファインメイク」|美的GRAND

自分の顔が好きになる。私は私でいいと思える。これからの人生をより楽しむために。自分の魅力が際立つ、水野さんの「ディファインメイク」を。

モデル 井川遥、メイクアップアーティスト 水野未和子の「読むメイク」

「40代。もう一度、自分の顔と出合い直そう」

ジャンプスーツ(オーダーモデル)¥308,000(リュンヌ) 左手のダイヤモンドバングル¥2,530,000、ブレスレット¥880,000(ルドゥテ) シルバーバングル¥29,700、右手のバングル¥52,800(エスケーパーズオンライン〈アダワット トゥアレグ〉) ピアス/スタイリスト私物

ヘア&メイクアップアーティスト

水野未和子

1.今のメイクに思うこと

美しさや若さへの思い込みを手放そう

メイクアップアーティストとして仕事をする中で、違和感を覚えることがあります。それは、「◯◯さんみたいになれるメイク」というキーワードが多いこと。メイクでいつもと違うイメージをまとうことも時には楽しいものですが、皆、どこまで違う自分になりたいのだろう、違う自分の顔で、この先の人生を生き続けたいのかしら、と思ってしまうのです。

美人=魅力じゃない。可能性を狭めないで

私の仕事でも、メイクで「目を大きく見せる」「肌を白く見せる」「若見えする」というテーマを求められることがあります。目は大きい方がいいなんて誰が決めたの?若見えしたいのはなぜ?40代からのありのままの素顔は誰が愛してくれるの?そして思うのです。憧れや理想を追い求める余り、自分を狭いケージに閉じ込めているのは自分自身なのではないか、と。

そんな話をすると、「美人はいいよね」という話になりがちですが、美人であることは、魅力的であることと同義ではありません。少なくとも私は、「美人だから」という理由で心惹かれることはないです。言われるなら、「美人ですね」より、「魅力的ですね」の方がうれしい。

その人だけがもつ美しさや魅力は、自分らしさの延長にしかありません。だから私は、メイクを“脱いだ”顔がどれだけ魅力的か、その魅力=人間性がどれだけ伝わるかをメイクアップでも大切にしたいと思っています。自分の素顔を好きだと思えること。私の活動の原点はそこです。

年齢と共に顔も輪郭も、パーツの位置も変化していきます。けれど、「いちばんキレイだと思うときの自分のメイク」で止まっている人、他人からの評価を気にして、最適解を求めながらメイクをする人は多くいます。

メイクを脱いだ顔をもっと愛せるように

そして、大人メイクをアップデートしようとすると、なぜか「若見え」に向かいがち。特に今は、「若く見えること=美しさ」であると誤変換されているように感じるのです。「若々しさ」と「若作り」は違うのに、そこをすり替えてしまうから、メイクや自分らしさがよけいにわからなくなる。さらにいえば、若見えメイクを手放せない人は今の自分を肯定できず、他者にも同じような視線を向けている人なのかなと感じてしまいます。

美容は、本来はルッキズムとは程遠いヘルシーなものですが、この多様性の時代に、美容がルッキズムを引き寄せてしまっているような感さえあります。外側ばかりを飾って本当の自分を隠すメイクに慣れてしまうと、メイクを脱いだ後はまた、自分を認めることができなくなってしまう。そして、年齢を重ねることがもっと怖くなってしまう。

40代からはそれまでの生き方がはっきりと顔に現れてきます。それは、外見を取り繕っても透けてしまうもの。顔の悩みも増え、メイク迷子になりがちな年代だからこそ、この辺でもう一度、美しさへの思い込みから自分を解き放ち、今の自分の顔と出合い直しませんか?個性を生かしたメイクで「なんだか、いい感じ」と思えたら、本当の意味での自己肯定感にもつながっていきます。そうして自分で自分を認め、慈しむ人は、周りを思いやることができるのだと思います。

「水野さんのは“ディファインメイク”ですね」。ある方にそう言われたとき、とても腑に落ちました。ディファインとは、「明確にする、際立たせる」という意味。顔の輪郭やパーツ、立体感や生き生きとした印象を際立たせ、その人だけの美しさや個性を引き出す。それが、私のメイクの基本です。

個性を掘り起こすと“らしさ”が浮かぶ

ポイントは大きく3つ。顔に影を作るシェーディングと、光を集めるハイライト、そして血色感を添えるチークです。

年齢と共にぼやけてきた輪郭を引き締め、輪郭や骨格を際立たせながら、光と影が生む目の錯覚で顔の魅力を掘り起こしていきます。そして、血色感のあるチークで生命感を与えると、その人の生き方や感情、個性までもが引き立ち、魅力が内側から輝いてくるのです。「光と影」とか、シェーディングというと難しそうだなと感じたり、面倒に思うかもしれません。でも、使うアイテムも多くはなく、メイクをする部分は誰でもほぼ同じ。ディファインメイクは、年齢や顔だち問わず、誰にでも当てはまるメイクです。

私のディファインメイクでは、「完璧に作り込む」ことをしません。例えば、今回の特集に出ていただいた女優の井川遥さんとふたりのモデルさんは、まつ毛は上げていないし、マスカラもつけていません。シミやそばかすもしっかりと隠してはいません(隠しすぎると悪目立ちすることがよくあります)。

ベースメイクは、「くずれない完璧な肌」を目指していません。なぜなら、ファンデーションをしっかりと塗って完璧に作り上げた隙のない肌に色をのせると、仮面のようになるから。その人の血色になりすますはずのチークも、透け感のある色も生かせなくなるからです。

メイクより、魅力が先に輝く

私は、メイクは少しくずれてきたくらいの方が、表情をより輝かせてくれると思っています。そもそも、どんなに素晴らしいプロがメイクアップをしてもメイクはくずれるもの。なぜなら、人は生きているから。笑ったり、話したり、食べたり。時間の経過と共にメイクはくずれていきます。その過程で汗や皮脂と混じり合い、艶が出て、顔とメイクが一体化する。その顔が私は美しいと思うし、生きている中で生まれる顔をゴールにした方がいいと思うのです。

ディファインメイクの目的は若く見せたり、自分ではない別の誰かになることではありません。目指すのは、その人らしい個性や美しさを明確にして、本当の笑顔を引き出すこと。メイクをした自分が「あ、なんかいい感じだな」と思えると、心から笑えるようになって、その幸せの循環がその人を輝かせ、美しさになります。そのための、最小にして最大の効果を上げるのがディファインメイクです。

誰もがもつネガティブな部分にフォーカスしたメイク特集やSNSで流行りのメイクとは真逆の考え方かもしれませんが、それでもいいのです。だってメイクは、自分の顔ありきのものですから。

メイクをしていることを忘れるくらい、その人の魅力がぱっと輝く。メイクを通して、素顔に自信をもてる。40代からはそんなメイクを考えてみてほしいと思います。

光と影を味方につけて、心から笑顔になれるメイクを

2. ディファインメイクとは?

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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