更年期のホットフラッシュにも体を冷やす食べ物はよくないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「野菜で温活」について。更年期のホットフラッシュにも体を冷やす食べ物はよくないってホント? 食糧学院 学院長で医師の馬渕知子さんにお話を伺いました。
Q:更年期のホットフラッシュにも体を冷やす食べ物はよくないってホント?
ホットフラッシュはのぼせ、ほてり、発汗などが起こる更年期障害の代表的な症状です。「冷えは万病の元」ということわざがありますが、ホットフラッシュで暑いときでも体を冷やす食べ物はよくないのでしょうか。さっそく、この疑問について食糧学院 学院長で医師の馬渕知子さんに聞いてみました。
A:ホント
「ホットフラッシュの場合は気温の影響で体が熱くなっているわけではないため、体を冷やす食べ物は控えたほうよいです」(馬渕知子さん・以下「」内同)
ホットフラッシュ症状中でも体を冷やさないほうがいい理由
「体が熱くなり、発汗も起こるので冷やしたほうが良いと思われがちですが、ホットフラッシュの場合は女性ホルモンが関係する話で根本的な原因が違います。
冷やすと一時的には楽になりますが、女性の生殖器の機能を正すためには体を温めるほうが良いです。更年期症状は冬場のほうが出やすくなる傾向もありますし、更年期症状が出ているときは体を冷やす食べ物は夏でも控えたほうが良いでしょう」
冷えが引き起こす美容への悪影響は?
「体が冷えると血流が悪くなります。そうすると、必要な酸素や栄養素などが全身に行き届かなくなり、肌の新陳代謝も悪くなり、育毛にも影響するため髪も薄くなる可能性があります。
神経などの動きも悪くなるため、筋肉がこわばったり、むくみにもつながることもあります。血液の中にある酸素や栄養素、水を体中に巡らせ、いらないものを回収し、リンパに戻す、排出するという機能も筋肉が動かないとうまくはたらきません。食事や運動も含め、体を温めることがむくみの解消にもつながります。
冷えは悪いほうの相乗効果が出てしまうので、美容と健康のためにも体を温めることが大事です」
Point
【美容への悪影響】・血流が悪くなる
・肌の新陳代謝が悪くなる
・育毛にも影響する
・むくみ
冷えはプチ不調のもとになる?
「はい。冷えは免疫力の低下や血行不良、代謝低下、ホルモンバランスの乱れを引き起こすひとつの原因となります。血流が悪くなることで起こりやすい不調は頭痛、肩こり、むくみ、冷え性などプチ不調といわれている症状です。
たとえば、冷え性から血流が悪くなったり筋肉がこわばることで肩こりが起きたり、その延長線上で頭痛が起きたりすることもあるのです。
プチ不調の解消には温活がおすすめです。温活は体を温めることを意識し、健康を促進する活動を指します。冷え性や低体温など、体が冷えることによる健康への悪影響を防ぐことができます。
食生活では体を温めてくれる野菜とタンパク質をしっかり摂取することを意識しましょう。野菜は冬が旬の根菜類やショウガやネギ、ニンニクなどが体を温めてくれるのでおすすめです。
朝ごはんを食べることでも体温は上がります。朝ごはんを抜いている人は、朝ごはんを食べることも温活のひとつだと思って習慣にして欲しいと思っています」
Point
【冷えが原因で起こるプチ不調】・免疫力の低下
・頭痛
・肩こり
・むくみ
・冷え性
熱中症になりそうな暑いときも体を冷やす食べ物はダメ?
「いいえ。熱中症の緊急的な対応は外部から体を冷やすこともお勧めです。熱中症の予防には、内部から体を冷やす動きに期待が持てる野菜を食べることはおすすめです。また、新鮮な野菜は水分補給としても役立ちます。
汗をたくさんかいたり、睡眠不足などの不規則な生活も影響するのが熱中症です。同じ環境でも生活習慣によってもなりやすい人となりにくい人がいるので、生活習慣にも気をつけて過ごしていただきたいと思います」
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
東京医科大学医学部医学科卒後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後、マブチメディカルクリニックを開設、現愛に至る(院長)。平成23年には学校法人食糧学院理事及び東京栄養食糧専門学校の講師に就任、令和5年から同学院の学院長も務める。内科医・皮膚科学が専門であるが、あらゆる科と連携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。