『美的GRAND』編集長・天野佳代子が語る“強い女”とは?「自分の弱さと向き合うことが“強さ”の始まりです」【美的GRAND】
自分の弱さと向き合うことが“強さ”の始まりです
お恥ずかしい話をさせていただきます。先日、神保町の駅の階段から転げ落ちました。履き慣れないヒールの高いブーツで足を踏み外したと思われます。転げる体を止める術もなく、一緒にいた編集部・三井さんの「佳代子さん!」という叫び声が遠のいていく中、落下していきました。
誰かに心配してもらえば不安もショックも恥も薄れるような気がして、その日以来知り合いの女性に会うごとに話しました。そうしたら、出てくる出てくる階段から転げ落ちたエピソード。しかも私よりも10も20も30も年齢が若い人たちがです。何回も落ちている人、捻挫、骨折などのひどいケガを負った人など、人生において階段落ちはついて回るものだということがわかりました。ホームに電車が滑り込んでいても急いで下りない、下りるときは手すりに手を添える、このふたつは絶対です!という強いアドバイスもありました。時間を気にするよりも、見た目を気にするよりも安全を優先するのが階段落ちを回避する最大の手段なのでしょう。
実は私もこれが最初の階段落ちではありません。30代後半で一度ひどい落ち方をして足首を捻挫し、完治に何か月もかかりました。そのとき強い体を作ろうと思い立ち、トレーニングで体幹やら脚の筋肉をそれなりに鍛え、転ぶことも落ちることもずっと無縁だった…はずなのに…なぜ落ちた…。
でも、ひとつだけ救われたことがありました。派手に落ちたわりには無傷だったのです。後で三井さんが言ってくれました。「落ち方がとても良かった」と。受け身の姿勢をとるように丸まりながらゆっくりと落ちていったらしく、擦り傷も打撲もありませんでした。唯一、パンツのひざが汚れたくらい。筋肉はそのときちゃんと機能したのでしょうか。自分ではわかりませんが、長年のトレーニングで多少なりとも強くなっていた筋肉が自分の身を守ったと信じることにしました。
今月のテーマは「強い女は美しい」です。コロナ禍で弱くなっている人のために、へこたれない肌や体や心を作るための1冊を作りたくてこのテーマにしました。私の階段落ちは今号を製作中の出来事だったので、ますます強さは大事だと実感しました。今後はヒールのある靴を履いてもコケないように、ふくらはぎと足首を鍛えようと思います。皆さんも、肌と体と心を強靱にして、揺るぎない美しさを得てください。そしてくれぐれも階段には気をつけましょう。
『美的GRAND』2021冬号 発売中
ご購入&ためし読みはこちら
『美的GRAND』2021冬号掲載
イラスト/湯浅 望 構成/中尾のぞみ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
『美的』創刊メンバーで17年間エディトリアルディレクターを務めた後、2019年『美的GRAND』創刊で編集長に就任。初の美容本『何歳からでも美肌になれる!』が6度の重版を経て、今なお大ヒット中。奇跡の63歳としてテレビ出演のオファーが絶えない。