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2012.7.20

大高博幸の美的.com通信(108) 『テイク・ディス・ワルツ』『スノーホワイト』『あの日 あの時 愛の記憶』 試写室便り No.29 + 映画館便り!!

©2011 Joe’s Daughter Inc.All Rights Reserved.

かけがえのないものが、なぜ色褪せてしまうのだろう――。
愛する人と時間を育んだことがある人なら、誰もが重ねる“自分”の姿。
人間の深い感情の奥にある隙間を、サラ・ポーリーが強く温かく描く。
『テイク・ディス・ワルツ』
(原題=take this waltz)
8月11日からロードショー。
詳しくは、takethiswaltz.jpへ。

この映画は、未婚・既婚を問わず、特に20~30代全般の女性達に、恋心と愛情と結婚生活に関する重要な問題を突きつけてきます。とは言っても少しも固苦しい内容ではないし、何気ないタッチの“スケッチ”でも眺めるような気持ちで観ていればいいのですが、観ているうちに、惹句にある通り、「愛する人と時間を育んだことがある人なら、誰もが重ねる“自分”の姿」を見つめるコトになるはず…。そして見終えた後には、さざ波が立つかのようではあるけれど、一種のショックを受けるコトになるはず、です。

以下、ストーリーをフライヤーから抜粋します。
「フリーランスのライター、マーゴと、料理本を作る夫ルーは、結婚して5年目。2人の間に子供はいないが、いつまでも恋人同士のように仲睦まじく暮らしている。朝は一緒に目覚め、ベッドの中でひとしきり冗談を言い合い、キッチンで新しい料理を研究するルーにマーゴがちょっかいを出す。恋愛時代の情熱やときめきは薄れつつも、何ひとつ不満もなく穏やかな愛情を育む毎日。ある日、マーゴは仕事で訪れた島で、ダニエルという一人の青年に出逢う。情熱的な眼差しをもつダニエルに、強烈に惹かれる何かを感じてしまうマーゴ。ダニエルとの束の間の時間を楽しむが、彼が偶然にも自分たちの家の真向かいに住んでいることを知り、激しく動揺する。意図せずダニエルと過ごす時間が増え、夫とは正反対の彼に惹かれていくマーゴ。どうにもならない思いが募ったとき、マーゴが決めた道とは――」。

ラストシーンは、2通りにも3通りにも、それ以上にも受け取れるような演出がなされていて、男の僕でも心がざわめき、後髪を引かれる思いを味わいました。皆さんは、1人で観てアレコレ考えるのもいいけれど、できれば尊重しあえる友達2~3人と一緒に観て、各人の解釈を自由に話し合ってみる方がいいと思います。解釈は決して1つではないし、この場合の解釈に正解や優劣はないはずなので、本当に感じたコトだけを話し合ってみてください。
この映画、若い今のうちに、一度は必ず観ておくべき。“後悔 先に立たず”で、マーゴを通しての間接体験は、皆さんの人生に必ずプラスとなるはずです。

マーゴを演ずるのは、『マリリン 7日間の恋』などで3度もアカデミー賞候補となったミシェル・ウィリアムズ。ふっくらした頬が愛らしい童顔の彼女は、ほとんどノーメークに近いメークで登場。いつも微笑しているような顔に浮かぶ微妙な感情の波が、観る者の目を惹きつけます。
マーゴとの結婚生活が永遠に続くものと信じている夫・ルー役は『50/50』で注目されたセス・ローゲンで、今回も適役を好演。ダニエル役はセクシーな新人のルーク・カービーで、左側から撮られた顔が特にいいのは、多分、左右の眉山の高さの違いのせい。
アルコール依存症に苦しんでいるルーの姉・ジェラルディン(サラ・シルヴァーマン)は、脇役ながら非常に重要な人物。ラスト近く、マーゴに向かって、虚ろな目を一瞬真剣に開いて言う彼女の台詞は意味深い。そこは全神経を集中して聞いていてください。単なる酔っぱらいの戯言(たわごと)ではないからです。

 

奇跡とも呼べる数奇な運命を生き抜いて…。
信じられないような実話から生まれた、衝撃のラブストーリー。
『あの日 あの時 愛の記憶』
(原題=DIE VERLORENE ZEIT、英題=Remembrance)
8月4日からロードショー。
詳しくは、ainokioku.jpへ。

「ハンナは、やさしい夫と娘と共にニューヨークで暮らす ごく普通の女性。けれど、彼女には、自ら封印した過去があった。それはポーランドの強制収容所で出会い、恋に落ちた若き政治犯トマシュとの、美しくも過酷で哀しい愛の記憶…。1944年、二人は収容所から命懸けの脱走に成功する。共に生きることを誓った二人だったが、トマシュは祖国ポーランドのために抵抗運動に向かい、そのまま戻ることはなかった。そして1976年、ある日 突然テレビから聞こえてきた“声”が、ハンナを一気に32年前に引き戻す。死んだはずの愛しい人は、生きているかもしれない。ハンナは、トマシュを捜し始めるのだが…。」(フライヤーより抜粋)

ナチスの収容所から脱出したものの生き別れた恋人達が、39年後に再会を果たしたという実話の映画化で、一人の女性の拭いようもない喪失感と再生への道を描いています。物語や構成が似ているという意味ではありませんが、ソフィア・ローレン主演の名作『ひまわり』に共通するモノがある感動作…。しかし、『ひまわり』以上に複雑な深い要素を含んでいる感じで、僕には十分に理解するコトができなかったのですが、それでも画面に引き込まれっ放しの111分でした。

すべての場面が印象的ですが、ラストの抑制の利いた演出が特に見事。あと30秒ほど続いたら…とも思いましたが、あの一瞬立ち止まるようなロングショットは、過去と これからの時間との分岐点になっているのだと、僕は僕なりに考えました。
常日頃から“人間性”を追求しているタイプの方々にオススメしたい、他に類を見ない一編です。

 

映画館便り、その2 『スノーホワイト』 (6月21日、東京・有楽町、TOHOシネマズ日劇にて観賞)

白い肌・黒い髪・赤い唇、そして美しく優しい心を持つ『白雪姫』の物語を現代的に解釈し、斬新な映像と予想外の展開で描いたダーク・ファンタジー、アクション・アドベンチャー。

美女中の美女との誉まれが高いシャーリーズ・セロンが邪悪な女王(スノーホワイトの継母)に扮し、魔術の力で保っている若さと美貌が燃料不足になって醜く崩れていくシーンがあると聞いて、観賞欲を そそられました(とは言え、僕は彼女のファンではありません)。そのシーンはモチロンCG技術あってこそのモノですが、“崩れては若返る”が3~4回繰り返されるので、ありがたみが稀薄になった感もありました。
ついでに言うと、シャーリーズ・セロンの場面で一番良かったのは、①捕虜として汚れた姿で発見される、彼女の最初の登場場面でのマゾ的な美しさと、②最期のシーンで「あゝ、これで やっと死ねる、若さと美への おぞましい執念から解放される」と心の中で叫んだかのようにも見える、微妙な表情を浮かべた瞬間でした。

But、それよりも何よりも良かったのは、クリステン・スチュワート演ずるスノーホワイトが、いじめられても殺されかけても決してあきらめず、勇気を奮い起こして果敢に戦う姿でした。邪悪な女王から刺客役を強要された若い狩人に助けられ、彼から教えられた戦術と生き抜く術を身につけ、ひるむコトなく突き進むスノーホワイトの姿に、僕は目が釘づけになりました。
彼女のメークアップは、お姫様役としては自然で、白塗りを避けているところが良く、唇は おそらく、ローズレッドにブラウンをミックスしたマットタイプの口紅をしっかり なじませてから、ティッシュオフを繰り返したようなニュアンスに仕上げられています。それにしても彼女の顔はキリッとしていて、とても魅力的でした。

恐怖の“黒い森”と明るく美しい”妖精の森”のコントラストも面白く、大いに楽しめます。ただし、スノーホワイトの危機を救い、逃げ道へと導いた2羽の鳥が、ハッピーエンドの場面に姿を現さなかった(?)いコトや、7人の小人達の活躍が少ないコト等は少々物足りなく、逆に王妃の邪悪な弟の登場シーンと戦闘シーンが多すぎるきらいがあったコトは、誰も否定できないと思います(特に戦闘シーンの多くは見せ場でもあるのですが、フレームそのものまでが激しく揺れるので、パワー不足の僕の目は、かなり疲れてしまいました)。

このスノーホワイト、いずれ結婚するならば、王子様とよりも狩人とのほうがいいな…などと子供っぽいコトを考えながら、僕は館を後にしました。朝9:45からの回に入場しましたが、大人の観客で席は 相当埋まっていました。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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