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2019.2.28

新井賞受賞の話題の漫画『ダルちゃん』の著者・はるな檸檬さん×『大家さんと僕』の著者・矢部太郎さんのスペシャル対談

三省堂書店・新井見枝香氏が主宰する個人賞「新井賞」を受賞したことで話題の漫画『ダルちゃん』。第9回となるこの賞は、2014年7月にスタートし、以後、芥川賞・直木賞の発表に合わせ、新井氏が推したい本を「新井賞」として三省堂書店の店頭およびSNS等で発表しているもの。今回、『ダルちゃん』が選ばれましたが、コミック作品が受賞するのは新井賞史上初となりました。

そんな話題の漫画『ダルちゃん』著者のはるな檸檬さんが、『大家さんと僕』の著者・矢部太郎さんとスペシャル対談! “普通”に縛られない生き方について語ります。しんどいけれど、読まずにいられない―― 。多くの世代から大反響を集める『ダルちゃん』について、お互い「会いたかった!」というふたりが語ります。

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(右から)
はるな檸檬さん
はるな・れもん/漫画家。東村アキコさんのアシスタントを経てデビュー。著書に『ZUCCA×ZUCA』(講談社)、『れもん、うむもん!』(新潮社)など。
「あなたが、あなた自身を裏切らないでほしいなと思います」

矢部太郎さん
やべ・たろう/お笑いコンビ「カラテカ」のボケ担当。俳優としても活躍。エッセー漫画『大家さんと僕』(新潮社)が大ヒット。『週刊新潮』で連載中。
「僕にとっての“擬態”は、芸人をやっていることかも。でも、お笑いのおかげでコンプレックスがなくなった」

納得して生きること。幸せの芽は身近にある!

矢部 『ダルちゃん』は、誰もが自分ごととして読める本で、僕も励まされました! 人に貸すと、皆、ずどーんと落ちていましたけど(笑)。特にぐっと来たのが、「普通の人なんていないよ」と言われるシーン。

はるな 普通という概念は便利なんですよね。ダルちゃんみたいに、「普通っぽい型」に入っていれば、職場でその場はしのげますから。でも、普通=他者目線だから、ダルちゃんがだんだん悩み始めるんです。

矢部 テレビの世界にはわかりやすい普通があって、その中で与えられた仕事を全力でやると僕みたいなダメ芸人でも居場所ができるんですよ。芸人をやっている僕は、ある意味、ダルちゃんの擬態に近いかもしれない。

はるな 私も派遣社員時代は同じでした。でも、朝身だしなみを整えるのも、職場でちゃんとした人のフリをすることにも疲れてきて。家でダルダルのまま仕事をしたかったのも、漫画家を志した理由のひとつでした。

矢部 わかります! 僕は人が多い場所に行くと、周りとのチューニングに時間がかかるし、実家滞在も2時間が限界(笑)。

はるな 普通への擬態はダメじゃなくて、自分が納得できていたらいいんですよね。でも納得するには、ありのままの自分を認めないといけない。

矢部 僕はやせて身長が低いことが悩みでしたが、お笑いを始めて笑いにすることで、今のままでもいいかと思えるようになったんですよ。今も前髪のくせ毛だけは克服できずパーマ頼みだし、自分の本を読む度、「人によく思われたい自分が出てるなぁ」と反省しますけど。

はるな でも、自分のままでも悪くないって思えると、擬態もつらくなくなりますよね。かつてアトピーに悩まされ、コンプレックスが強かった私を助けてくれたのが服。好きな服を着ると、自分の中でのときめきがすごくて、徐々に自己肯定感が高まっていきました。

矢部 メイクでも服でも、楽しめることを見つけるのは大事ですよね。ダルちゃんにとってはそれが詩を書くことだった。

はるな はい。私、幸福の基本はクリエイティブであることだと思うんです。それは芸術的なことばかりではなく、掃除の時短方法を編み出すみたいに、日常のあちこちで見つけられて、積み重ねると自己承認欲求が満たされる。幸せの本質は他者の評価ではなく、自分で自分を認めてあげること。自分を裏切らないこと。そう思うと、別に何者かになろうとしなくてもいいのかもなって思うんです。

矢部 僕も、お笑いや漫画で「天下とったる!」とかはなくて、楽しいから続けているだけ。これからも現状維持で頑張れたらいいなって思ってます!

矢部さんがぐっと来た『ダルちゃん』

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「このとおりだなって思いました。“普通”っていうのはひとりひとり違う。それぞれが他人の普通は違うことを尊重することが大事なんですよね!」(2巻掲載)

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「まずは自分を幸せにしてあげること。それには自分で自分を認めてあげることなんですよね!」(2巻掲載)

『ダルちゃん』とは…

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気持ち悪がられないよう“ダルダル”な自分を隠し、「働く普通の24 歳」に必死で「擬態」中の“ダルちゃん”が、本当の自分を見つける傑作コミック。
全2 巻 各¥850 /小学館

『美的』4月号掲載
撮影/田中麻以(小学館) 構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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