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2025.1.17

土屋アンナさん母娘鼎談「母娘、似ている似ていない問題」|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.6」第3話

「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がリニューアルスタート。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第6回のゲストは、土屋アンナさんと母親の眞弓さん。LiLyさんの母親の由美子さんも招き、4人の鼎談がスタート!

第1話▶▶土屋アンナさん母娘にとっての「センス」とは?
第2話▶▶土屋アンナさん母娘鼎談「繊細な人はロックンロール!?」

アンナのロックには、親から継いだ品のよさが滲み出ていると思う――LiLyさん

土屋眞弓さん(以下、M) 当たり前だけど、子供は思った以上に、親からの影響を大きく受けているものかもしれないわね。

土屋アンナさん(以下、A) そしてその影響が、どこでどのように出るかはわからないものだよね。たとえばママは厳格な家庭で育てられて、一度は海外に飛び出して暮らしたけれど、今は着物の着付け講師として、改めて和の文化を尊ぶ人生を送っている。

M 一方アンナは、とにかく厳しく育てたなかで、モデルとしてデビューし、私が予想もつかなかったロックという音楽に携わっている。

A ママは自立した人ならではの強さを携えているし、私は自由でいるための強さを備えつつある。それぞれ違うスタイルでもあるよね。

LiLyさん(以下、L) でもアンナを見ていると、親から受け継いだものが滲み出ているのがよくわかるよ。スタッズだらけのレザージャケット着て、脚をガッと開いて座ってタバコ吸いながら「アッハッハ」って笑っていても、品のよさというかクラシカルな育ちのよさが細部に宿っているんだよね。

由美子さん(以下、Y) そうね、だからこそ私もアンナちゃんのロックに惹かれたんだと思う。

L ちなみにお母さんは、私が生まれたとき、いちばんの親友から「あなたが隠していた部分が全部LiLyちゃんに出たわね」って言われたんでしょう?

Y そうそう、そう言われて本当にそうかもしれないって。時代もあったとは思うんだけど私も母がとても厳しかったから抑圧されていたものがあって、それが我が子としてこの世界に現れたのかもしれないわ。

L 私がよく覚えているのは、グアム旅行で喧嘩したときのこと。私が号泣しながらタバコに火をつけたら、お母さんがその姿を見て「LiLyちゃんばっかりずるい」って泣き出したの。「私だってお化粧して可愛くしたり、かっこよく煙草を吸ったりしてみたかった。でもやり方がわからない!」って、まるで赤ちゃんのように泣いたんだよね。この少女性、信じられる? 当時は喧嘩中だったし「は? やりたいならやれよ」ってうんざりしたけど(笑)、驚くほどのピュアさをもち続けている人。凄まじい魅力だと思うし、才能。純粋さ以上の狂気ってないの。

A ああ…やっぱり由美子さんと私、どこか似てるかも。

Y 本当? 私たち、同士なのね(笑)。

「ちょっと羨ましいな」という気持ちを大切にしている――土屋眞弓さん

L 私が魅力を感じるのは男女ともに母に似ている人なの。対極の部分が相性よいのかも。似たもの同士って難しくて、親子でもきつい部があるかもね。

M 似すぎていても辛い、ということね。そして由美子さんが少女のように泣いたという話、ちょっと羨ましいな。私はあまり人を羨むことが少ないのだけど、「ちょっと羨ましい」というのは大切にしているの。これまでの人生で、そういう感覚を抱いた人とは長く付き合うことができるという経験則があるから。

L なるほど! 持論なんだけど、逆立ちしても自分からは出てこないものをもっている人にしか「羨ましい」という感覚は正確には当てはまらないものだと思っていて。的確な意味での「羨ましい」はライバルにすらなり得ない人に向けた羨望なのよ。多くの人が「羨ましい」の意味を履き違えているなかで、眞弓さんのそれは的確で健やかな感情だから関係が続くんだと思う! 性格もハッキリとサバサバしてるし♡

M ちなみに、私に備わっている強さは、どうやら筋金入りなのよね。男兄弟に囲まれて育ち、誰よりもサバサバとしていて、父母や祖父母からも「女の皮を被った男」なんて言われていたの。お嬢様が通うような学校は嫌だと主張して、将校の子息たちが集う学校へ進学したけれど、そこでもずば抜けて、男らしさを発揮していたと思う。

A そんなママが産んだのが、ふたりとも娘だったというのも面白いよね。

M 姉妹というものに触れたことがなかったから、最初は戸惑ったわ。女同士という環境に慣れてないこと、またきちんと育てないといけないという責任感も相まって、とにかく厳しく躾けたのよね。そうしたらアンナは穏やかで優しくて反抗期もなく、ずっといわゆる「いい子」だった。そのまま育つと思ったら…

L ロック期が到来したと!(笑)

A そ! 革ジャン着て、スカルモチーフのアクセサリーをジャラジャラと付け始めたってわけ(笑)。

M やっぱり当初はすごく戸惑ったの。突然豹変したように見えて「なぜ? どうして?」が頭から消えなくて。私も周囲もよかれと思って「いい子だね」って言い続けてきたけれど、本人にとってはプレッシャーだったのではないか、って思ったりもした。

L 私の母は逆に「『いい子ね』っていうといい子になるから先に言っておくの」って解説しながら、私と弟に「いい子ねいい子ね」って頻繁に言ってたんだけど、解説つきだったからなのか、いっつもいい子って褒められるから私は素直に毎回めっちゃ嬉しかったんだよね(笑)。でも、本当に母親ってよくも悪くも子供に影響を与えすぎてしまう存在だよね。怖いくらいに…! 

A それ、最近ネーミングされたよね。「母原病」だっけ? 私、そのことには一家言あるんだよね。

L そのワードもよく母が嘆いていたよ! いいねいいね、続き聞かせて!

土屋アンナ
モデル、女優、歌手、タレント。日本アカデミー賞新人賞 ・助演女優賞ほか受賞歴多数。歌手として多数のアーティストとのコラボレーションやオリジナル楽曲提供ほか、フェスへのゲスト参加など世界を舞台に活動中。
Instagram:@annatsuchiya0311
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LiLy
作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。今年ベッド内美容ブランド「Bedin」をローンチ。
Instagram:@lilylilylilycom

次回は1月31日公開予定!
第4話「女が○○なんて、の時代」
お楽しみに!

イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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