土屋アンナさん母娘にとっての「センス」とは?|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.6」第1話
「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がリニューアルスタート。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第6回のゲストは、土屋アンナさんと母親の眞弓さん。LiLyさんの母親の由美子さんも招き、4人の鼎談がスタート!
作家・LiLy × 今回のゲスト 土屋アンナさん、土屋アンナさんの母親 土屋眞弓さん、LiLyさんの母親 由美子さん
LiLyさん(以下、L) さて、今回はスペシャルバージョン! 土屋アンナさんとお母様の眞弓さん、そして私の母親・由美子を交えて母娘鼎談を行いたいと思います!
土屋アンナさん(以下、A) さすが!貴重な機会をありがとう!
土屋眞弓さん(以下、M) 本当にそうね。この度はありがとうございます。
由美子さん(以下、Y) 私はこのような会は初めてで、ドキドキしています。どうぞよろしくお願いします。
L 今年の夏、中学生になった娘に浴衣を着せながらフラッシュバックしたのが、アンナとお祭りに行くときにアンナの実家で眞弓さんに浴衣を着せてもらったこと。あれは約20年前で、あの頃の私とアンナはまだ「娘」として生きていたんだなって感慨深くて。と、同時にあの頃20代の娘の「母」だった私たちの母たちは、そこから20年後を今生きている。今こそ話を聞きたいって強く思ったんだ!
A なるほど。母親はいくつになっても人生の先輩というわけか。
L ずーっと大先輩だよね。だから母と娘、それも2家族でクロストークすることで、これからの人生をどう歩んでいくべきか、そのヒントを探っていけたら楽しいなと思ったの。
A 今回の趣旨、よーく理解しました。
M 最初から水をさすようで悪いけど(笑)、「これからの人生をどう歩むべきか」、答えは既に出ているわ。
A え! ほんとに?
M もちろん。それも一文で終わるわね。「好き勝手に、やりたいように生きるといい」。私が伝えられることはそれだけ。もちろん予測不能なことはたくさん起こると思う。でもあなたたちふたりは、それらにめげたりしない力が既に備わっていると思うの。
L パンチのある心強いメッセージ!
Y 私も眞弓さんと同じ考えかもしれないです。あなたが中学生のとき、親が作文を書く機会にお父さんはこう書いたの。「好きなことをやるのが人生だ」って。
L ふたりの母親の意見が一致したわけだけど、今だからそう言えるのではと思っていて。一筋縄では行かない娘の母親として葛藤した時期もあるはずで、10代の頃はめっちゃ激しい喧嘩をしていたし、アンナもそうだと聞いて、すごく安心したことも思い出した(笑)。
Y あんなに喧嘩できたのも当時はすごく若かったんだわって今になると思うの。子供と向き合うって物すごくパワーが必要だから。
L そのパワーも愛だよね。母という立場で娘と喧嘩をする今になってよくわかる。あとアンナから「お母さんがLiLyのこと、『すごくいい友達ね』って言ってたよ」と言われてうれしかったことも思い出すの。自分も我が子の友達を見て「この子いいな」って思うことあるでしょう? 親の立場になってまた違う角度から二度うれしく感じるんだよね。
A 私は、LiLyが由美子さんと一緒にライブに来てくれたことを覚えてる。だって由美子さん、終演後にこう言ってくれたんだもん。「アンナちゃん、すごくいいわ。死にたくなるわね」って。最高の褒め言葉でしょ!
L 私は母の隣で大爆笑! アンナはすごく喜んでて、あれは瞬間美だった!
Y だって私、本当にそう思ったのよ。
A シンガーとして、死ぬ気で思いを込めて歌っているわけだから、それが伝わったってこと。だからめちゃくちゃうれしかったなぁ。
L アンナとの出会いは、当時の私の音楽連載でアンナの1stアルバム『strip me?』について書いたエッセイがきっかけだもんね。
A そう、LiLyが私の人間性と音楽性を的確に捉えていて、すごく驚いたの。自分ですらうまく言葉にできないことを「よくぞ言ってくれた!」みたいな感覚があった。
L 会う前から大好きだったのよ。繊細で、だからこそ激しくて。表現者としての才能をもって生まれた人間で、だからこその生きづらさも抱えていて。さらにアンナは、家族を守っていこうと頑張っている。ずーっと尊敬しているよ。あと、私たちは似ている部分もあるけど、正反対の部分もあるからいいよね!
A LiLyは頭の回転が早くて、勢いよく言葉で展開してくるタイプ。一方、私はゴロンって寝転がって、「へー、そうなんだー、すごいねー」ってのんびり聞いてるタイプ。私たち、恋人同士だったら相当相性いいよね(笑)。
L さらにアンナはシャイで繊細。私はそこが抱き締めたくなる程好き。なぜって私の母がそうだから。繊細ゆえに不器用で、小さな頃から器用だった私は「お母さんを守らなきゃ」という使命を感じて生きてきたの。
Y そうね。子供って母親を守ろうとするのよね。
M 母と娘は違う性質でバランスをとっているのかしら。私はアンナと真逆で、小さな頃から強いと言われて生きてきたの。
A でも、強烈な個性の私たち姉妹を育てるのに、より強くならないと生きていけなかったんじゃない?
L 母娘の強さと繊細さの相関関係、これは興味深いね。この話、掘り下げていきたいな。
アンナのことが心から好きで、表現者としても尊敬している――LiLy
LiLyが、私の人間性と音楽性を的確に捉えていて驚いた――土屋アンナさん
どう生きるべきか?好き勝手に、やりたいように生きるといい――土屋眞弓さん
親として子に伝えたいこと。「好きなことをやるのが人生だ」――由美子さん

Instagram:@annatsuchiya0311

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次回は1月3日公開予定!
第2話「繊細な人はロックンロール!?」
お楽しみに!
『美的GRAND』2025冬号掲載
イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。