趣里さん「自分とは何か?の答えは見つからないけれども…」|映画『零落』スペシャルインタビュー

この秋、女優・趣里さんが朝ドラのヒロインに大抜擢!役を演じる中で感じる「自分とは何か」について教えていただきました。
32歳の今がスタートライン。日々の小さな幸せが楽しいんです!
趣里さんは「目がコンプレックス」だと言う。「離れ目なので、自分でメイクをするときは、目頭にシャドウを入れて、目の間を少しでも狭く見えるようにしているんです」
でもその表情豊かな瞳は、映画『零落』での「猫のような目の女性」そのものだった。“元・売れっ子”の漫画家・深澤が自堕落な生活で出会うミステリアスな女性が趣里さん演じるちふゆ。
「原作でもつかみどころのない、どこか夢みたいな女性です。存在の確証がない美しさや儚さがある一方で、彼女なりの孤独を抱え、人を求めているような人間らしさもあります。原作ファンとしてはプレッシャーが大きかったのですが、ちふゆのような女性を演じる機会はきっとないと思って、挑戦しました!」
商業主義に抗い、崇高な作品作りを求める程、孤立していく深澤。その姿は観ていて苦しいけれど、どんな仕事にも共通するものを感じる。
「深澤は、人が思っていても絶対に言わない、見せない部分をさらけ出しています。私を含め、誰かに認められたいと思う一方で、求められることとやりたいこととのギャップに身に覚えがある人は、彼の慟哭に共感できると思います。そして、私はそういう人間くささを作品で見たいのだということを改めて実感しました」
趣里さんも、「自分とは何か?」と考え込んでしまうことがよくあるという。
「その答えは見つからないのかもしれない、ということを最近は受け入れつつもあります。落ち込んだり、ストレスを感じる状況も避けては通れないのなら、『来ましたね、これ』と、感情を自覚するようにしています。そうしないと次に進めなくて。一方で、常に一筋の光みたいなものはもつようにしています。回転寿司に行くとか、恋愛リアリティーショーを観るとか(笑)。些細な幸せで、また頑張れるんですよね」
日々を地道に積み重ねてきた実力派は、秋から、朝ドラのヒロインを務める。
「やっとスタートラインに立てた感覚です。けがでバレエを諦めたときも、そして今も、私自身がエンタメに救われてきたように、誰かに寄り添える表現ができたらと思っています」
It’s my it!
回転寿司
タイやつぶ貝が好き。フェアをやっていると行っちゃう(笑)。しゃぶしゃぶの食べ放題も好きです!
ピーリングソープ
最近のお気に入り。スキンケアはいろいろ試し中。化粧水はエトヴォスやアルビオンが好きです。
PROFILE
しゅり/1990年東京都生まれ。2011年に俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ『DCU』『サワコ~それは、果てなき復讐』など。’18年の主演映画『生きてるだけで、愛。』で映画賞を多数受賞。秋からのNHK連続テレビ小説『ブギウギ』でヒロインを演じる。
【Movie】『零落』
(C)2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会
連載が終了した漫画家・深澤は、次の作品が描けず、SNSでは酷評され、妻とは離婚の危機。ある日、猫のような目をした風俗嬢・ちふゆと出会う…。浅野いにおの衝撃作を映画化。
監督:竹中直人 出演:斎藤 工、趣里ほか
3月17日公開。
『美的』2023年4月号掲載
撮影/杉江拓哉(TRON) ヘア&メイク/カワムラノゾミ スタイリスト/中井綾子 構成/松田亜子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。