美的GRAND
ボディケア
2023.8.13

フレグランスとは「自分自身」である【このコスメが、すごい!/フエギア 1833 インディゴ】美的GRAND

エディター・松本千登世さんが厳選。『このコスメが、すごい!~フレグランス編~』

纏うだけで、「これこそが私」という静かな意志

Brand/ FUEGUIA 1833
Item/ インディゴ

2010年、ブエノスアイレスでジュリアン・ベデルが創業したブランド。クラフツマンシップ、イノベーション、エキゾティズム、サステナビリティが信条。静けさの中に力強い息吹を感じさせる。100ml ¥41,800

フレグランスとは「自分自身」である

10年以上前になるでしょうか。フレグランスコンサルテーションを受けました。経験豊かなフランス人のスペシャリストとマンツーマンで事細かにやりとりをして、ひとりひとりがぴたりと合うフレグランスを見つけるというものでした。写真を見たり、音楽を聴いたり、言葉を選んだり。視覚や聴覚を通して、秘めていた「何か」があぶり出されるようで、どこか落ち着かないような、でも、高揚するような、不思議な気分になりました。不意に、こんな質問。「記憶を遡れるだけ遡って、最初に『幸せ』と感じたときの情景を教えてください」。場所、季節、時間、天気。それはいつの記憶? どんな記憶? 導かれるように、過去に旅をすると……。幼い頃、一面、シロツメクサで埋め尽くされた野原にしゃがみ込んで、花で首飾りを作ったり、四つ葉を探したりした瞬間。そういえば、時間がたつのをすっかり忘れていたなあ……。気づきました。ああ、あの青く苦い匂いが、私にとって幸せの香りであり、私の香りの核なのだって。それまでもそれからも、「青さ」と「苦み」の要素をもつ香りに惹かれているのだと確信したのです。

実は私、この「インディゴ」に「一目ぼれ」しました。これはまさに、青さと苦みを混じりけのないまま研ぎ澄まし、磨き上げたかのような上質で神聖な香り。つけた瞬間のシダーウッド、香りの骨格をなすパチョリ、余韻を残すインディゴフェラ……。今まで経験したことのないような香り立ちの奥深さに、感情が揺さぶられるような気がしたから。初めて自分のルーツにようやくたどり着けたような、そんな気持ちになったのです。これはきっと、南米の歴史、芸術、音楽、自然など、文化に触発された唯一無二のブランド、FUEGUIA 1833だからなせる業。真の香り好きの心を捉えて離さない理由は、ここにあるのだと思います。感情が揺さぶられる香りに出合えたら。これぞ私という香りに出合えたら。大人ってこんなにも、面白い。

エディター・ライター

Chitose Matsumoto

『美的GRAND』2023夏号掲載
撮影/シバサキフミト(DONNA) スタイリング/高橋尚美 構成/松本千登世、三井三奈子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事