メロン胎座エキス|シワ・たるみを防ぐ植物プラセンタ【美容成分大全】
メロン胎座エキスは、メロンの花の特別な部分“胎座”から抽出されるエキスで、植物プラセンタの1つです。胎座は哺乳類の“胎盤”に似た働きをする部分で種子の生育に不可欠なため、さまざまな有用成分が含まれていることが期待でき、シワ・たるみやシミを防ぎます。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!
プロフィール
成分名 | メロン胎座エキス |
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表示名称 | メロン胎座エキス(医薬部外品には配合されません) |
主な配合アイテム | スキンケア、UVケア、ボディケア |
成分のはたらき | エラスターゼ活性阻害、チロシナーゼ活性阻害、抗糖化 |
医薬部外品としての効能効果 |
どんな「効果・働き」があるの?
- エラスターゼ活性阻害
- チロシナーゼ活性阻害
- 抗糖化
シワ・たるみを防ぐ
エラスターゼ活性阻害
真皮にあるエラスチンは肌の弾力を保つ役割をしています。しかし、このエラスチンを分解する酵素である“エラスターゼ”が、紫外線などによる皮膚の炎症をきっかけに過剰につくられると、エラスチンが変質し、肌の弾力低下やシワ・たるみの原因となります。メロン胎座エキスはエラスターゼの作用を阻害することでエラスチンの変質を抑え、シワ・たるみを防ぎます。
美白・シミを予防する
チロシナーゼ活性阻害
シミの元となるメラニンは、表皮の基底層にあるメラノサイトという細胞内でつくられます。メラノサイトの中で、“チロシナーゼ”という酵素がアミノ酸の一種であるチロシンに働きかけることで、黒褐色の色素であるメラニンが生成されます。
表皮細胞が紫外線を浴びて刺激を受けると、メラニン生成を促す情報伝達物質が放出され、メラニン生成指令を出します。この指令を受けるとチロシナーゼが活性化され、普段よりもメラニンが過剰につくられるとシミの原因となります。メロン胎座エキスは、チロシナーゼの活性を阻害することで、メラニンが過剰に作られるのを抑制し、シミを予防します。
くすみを予防する
抗糖化
皮膚の中のタンパク質に糖が結合してしまう糖化反応(メイラード反応)が糖化の最初のステップです。その後、反応が進むと最終的にAGEs(最終糖化生成物)がつくられ、このAGEsが蓄積すると、肌のくすみやシワの原因となります。メロン胎座エキスはAGEsの生成を抑制する作用が確認されているため、肌のくすみなどを防ぐ効果が期待されます。
美容賢者からの「アドバイス」
「植物プラセンタ」は、動物由来原料を好まない人からも熱い視線!
メロン胎座エキスを含む「植物プラセンタ」は、近年、動物由来原料を好まない人のニーズから、盛んに開発が行われています。プラセンタエキスが豚や馬の胎盤から抽出されるのに対して、植物プラセンタは、植物の種子を支える部位である“胎座”を哺乳類の胎盤に見立てた成分です。表示名称はプラセンタでなく「○○胎座エキス(○○は植物名)」として、メロンを含め13種類のエキスが表示名称に登録されています。(2023年1月現在)
植物プラセンタは「エキス」を付けない!
植物プラセンタは、“哺乳類の胎盤”から抽出されるプラセンタエキスとは異なるので、誤認を避けるため「エキス」を付けずによばれています。ただし、プラセンタエキスが細胞を活性化する働きが期待できるのと同じように、植物プラセンタにも美容効果が期待できます。
「歴史・由来」その他の雑学
植物プラセンタは、通常の植物エキスと異なり、“胎座(たいざ)”と呼ばれる花の特別な部分だけを利用して抽出したエキスです。胎座は、花の雌しべ(めしべ)の下のほうにある子房(しぼう)の内側で胚珠(はいしゅ)が付いている部分です。花が受精してやがて実となる子房と種となる胚珠をつないでいることから、子宮と胎児をつなぎ合わせる胎盤や臍帯に似ています。
また、胎座部分には、未熟な胚珠に刺激を与えて成長を促したり、その植物により特徴となる成分が集中しているとされていて、アミノ酸などの有用成分が含まれています。メロン胎座エキスは、メロンの果実の“ワタ”と呼ばれる部分を利用したエキスです。このワタの部分は通常捨てられる部分なので、環境にやさしいアップサイクルな成分ともいえます。医薬部外品への配合は認められていません。
歴史
プラセンタは“胎盤”を意味し、紀元前の古くから若さを保つために愛用されていたといわれています。しかし、化粧品において、ヒト由来のプラセンタエキスは倫理上の問題で、2000年にはウシ由来のプラセンタエキスは狂牛病(BSE)の問題から使用されなくなり、現在では、豚や馬由来のものを中心として使用されています。近年、動物由来原料を好まない人のニーズから、動物以外のものを利用した原料開発が行われており、「植物プラセンタ」だけではなく、「海洋プラセンタ」(魚由来)も注目されています。
主な原料の由来
植物(メロンの胎座から抽出)
医薬品やサプリメントには?
医薬品には配合されません。美肌目的でサプリメントに使われます。
注意事項
特にありません。
<引用元>
科学と生物, 53(5), 299-304 (2015)
FOOD Style 21, 19(4), 65-67 (2015)
Fragrance Journal, 臨時創刊号(4), 98-101,167-176 (1983)
香栄興業株式会社 製品資料
一丸ファルコス株式会社 技術資料(プラセンタ物語)
日光ケミカルズ株式会社他, 新化粧品ハンドブック, 2006, p.534-535
厚生労働省「ウシ等由来物を原料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保の強化について」(医薬発第1069号平成13年10月2日)
三省製薬株式会社 Webサイト(三省製薬の歴史)
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日本化粧品検定協会代表理事、日本薬科大学客員准教授、北海道文教大学客員教授、東京農業大学食香粧化学科客員准教授、各種協会の顧問、学会幹事を歴任。化粧品開発者として科学的視点から美容、コスメを評価できる専門家「コスメコンシェルジュ」。最短最適な美容で無駄を省く「時短美容家」としても活躍中。著書は『美容成分キャラ図鑑(西東社)』など13冊、累計56万部を超える。