【ニールワン】日本初の「しわ改善」有効成分
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
概要
成分名 | ニールワン |
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成分の働き | 真皮構成成分の分解抑制 |
医薬部外品としての効能効果 | しわ改善 |
表示名称 | 【医薬部外品】三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na |
主な配合アイテム | 【医薬部外品】スキンケア |
由来・歴史
主な原料の由来
合成
歴史
2016年日本で初めて「しわ改善」の有効成分として認められた成分です。株式会社ポーラにより開発され、現在(2022年6月時点)は特許により、ポーラの商品にのみ配合されています。
その他成分情報
バリン・プロリン・バリン・グリシンの順で構成された4つのアミノ酸誘導体です。(三フッ化メチルバリルプロリルバリルテレフタロイルグリシンナトリウム)
開発期間15年、申請期間8年もかけて、新しい医薬部外品有効成分として、それまで認められていなかった「しわ改善」という効能効果が初めて認められました。ニールワンが配合された製品が承認されるまでは、化粧品に対して認められた「乾燥による小じわを目立たなくする」が、唯一のしわに対する表現として認められていました。
2006年に皮膚科医を中心とした学会と化粧品業界が共同で研究を進め、しわの評価基準(「まったくない:グレード0」~「著しく深い:グレード7」の8段階)を定めました。これをもとに、2011年にグレード1~3の初期段階の乾燥小じわに効果がある化粧品に、「乾燥による小じわを目立たなくする」という表現が許可され、医薬部外品に対してはグレード3~5という深いしわの改善効果の基準が決まり、2016年にニールワン配合の医薬部外品が第1号の「しわ改善」の効能効果で承認されました。
“ニールワン”の名前の由来については、表示成分があまりに長いため、
・Neutrophil(好中球)
・Elastase(エラスターゼ)
・Inhibitor(阻害剤)
・License(ライセンス)
・1(第1号)
それぞれの頭文字をとり、ニールワン(NEI-L1)と呼ばれることになりました。
効能効果・はたらき
「化粧品」に配合したときの働き
- 好中球エラスターゼの働きを抑制
日常浴びてしまう紫外線(UV-AとUV-B)は、皮膚内部で活性酸素を発生させ、さらに炎症を引き起こします。その結果、光老化とよばれる表皮や真皮の変性(性質の変化)が徐々に進んでしまいます。中でも、皮膚の弾力性や構造に関係している真皮のコラーゲン線維やエラスチン線維の変性は、しわの原因の大きな1つです。
ニールワンには、紫外線による皮膚内部の炎症により放出される好中球エラスターゼの働きを抑制する作用が確認されています。好中球エラスターゼとは、炎症が起きた際に血管から皮膚内に移動する免疫細胞の一種で、好中球が放出するエラスチン線維を分解するタンパク分解酵素です。
しかし、好中球エラスターゼはエラスチン線維だけでなく、真皮のコラーゲン線維やヒアルロン酸の仲間であるプロテオグリカンや基底膜なども直接分解することが分かっています。さらに、同じく紫外線を浴びることで増加するコラーゲン線維を分解する酵素(MMPs)の活性を促すことも知られています。
好中球エラスターゼの働きを抑制することにより、直接的・間接的に真皮の構造に関係するコラーゲン線維やエラスチン線維をはじめとしたタンパク質の分解を防ぎ、しわの予防やしわの改善が期待されます。
「医薬品」としての効能効果
医薬品としては配合されていません。
「食品、サプリメント」に配合したときの働き
食品・サプリメントとしては利用されていません。
注意点
特にありません。
豆知識
日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか
「ニールワンは水溶性の成分です。ただし水に溶けると効果が下がるため、油溶性の物質だけでつくられたクリームの中に配合されています。また、ポーラの試験によると、シワグレードが平均3.93に対して24週間使用して改善効果が見られたとのことです」
小西さやかさんの記事一覧
<引用元>
香粧会誌, 43(1), 24-27 (2019)
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.90-91
株式会社ポーラ リリース, 2016年11月17日
株式会社ポーラ Webサイト (商品開発秘話 私たちの想い2020/01)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。