【速報】ディオールと京都大学iPS細胞研究所が共同研究をスタート!エイジングケアの広がる可能性に期待!
エイジングケアの新しい扉が開く大ニュース! パルファン・クリスチャン・ディオールの研究開発施設である「LVMHリサーチ」と、世界最先端のiPS細胞研究機関である京都大学iPS細胞研究所「CiRA(サイラ)」が今年、共同研究をスタート。そのお披露目会が9月12日、京都にて行われました。
京都大学iPS細胞研究所が海外ブランドと初の共同研究
会場は京都大学iPS細胞研究所「CiRA」。京都大学の山中慎弥教授が「iPS細胞」の作成に成功して、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞、大きな話題を呼んだのはご存知の通り。その山中教授が所長を務めるのが「CiRA」です。設立は2010年。約30の研究グループがあり、基礎研究を始め、再生医療、薬剤の開発、生命倫理など、日々幅広い研究が行われています。「CiRA」が海外のコスメブランドと共同研究を行うのは、今回が初めてのことだそう。
20年以上も幹細胞研究を続けてきたディオール
初めに、LVMHパフューム&コスメティックス 研究開発ディレクターのブリューノ・バヴーゼ氏が登壇。
「エイジングケアは美容において最大のテーマであり、私たちは長年研究を行ってきました。シミやシワ、たるみなど、エイジングにはさまざまな現象がありますが、それらひとつひとつだけでなく、背後にある肌の状況についての理解を深めてきました」(バヴーゼ氏)。
具体的には、たとえば皮膚常在菌や時計遺伝子、神経の老化など。そして、幹細胞については20年以上研究を続けてきたそうです。
「これまで、世界でも有数の研究機関と共同研究を行い、その素晴らしいパートナーシップによってエイジングへの理解を深めています。そして今回は幹細胞研究の飛躍的な進化を目指し、『CiRA』とパートナーシップを結ぶことになったのです」(バヴーゼ氏)
iPS細胞の特徴とは?
続いて「CiRA」のクヌート・ウォルツェン准教授のお話。(写真中央)
「iPS細胞は成人の組織から人工的に作られます。皮膚や血液の細胞に、特定の4つの因子を導入すると、細胞が初期化され、何にでも分化する新たな能力を持った幹細胞になります。これがiPS細胞で、4つの因子を私たちは“山中因子”と呼んでいます。iPS細胞には、体のあらゆる細胞に分化する“多能性”、ほぼ無限に増えていく“増殖能”、どんな人の細胞からも作れてそのDNAを共有する“個別化”という、3つの特徴があります」(ウォルツェン准教授)。
ディオールの研究所が「CiRA」を訪れたのは2018年のこと。
「私たちはお互いに、それぞれの異なる研究分野に興味を抱き、共同研究契約を結ぶことにしたのです」(ウォルツェン准教授)
iPS細胞によって、エイジングケアの可能性が広がる
今回のパートナーシップの目的は、iPS細胞を使った製品開発ではなく、あくまで“基礎研究”。ディオールは20年来幹細胞の研究を続けてきましたが、数多くの細胞の中から幹細胞を特定するのはとても大変なことだそう。iPS細胞を用いることで、幹細胞研究のハードルが下がるのでアンチエイジングの研究がますます進み、またさまざまな成分の効果を検証するのも容易になります。
「iPS細胞を使う目的は、人の肌の仕組みをより深く理解するため。それにより、肌のエイジングを緩やかにし、美しく歳を重ねることのサポートをできたらと思っています」(バヴーゼ氏)
「CiRA」の研究室探訪も!
最後に、「CiRA」の広報の方からiPS細胞にまつわるわかりやすいお話を伺い、全3棟と広大な「CiRA」の研究室を見学させていただきました。医療におけるiPS細胞の活用はまだ研究段階で、人の治療に使えるようになれば、健康寿命の延長に大きく寄与するそう。
人生100年時代、健康で美しく歳を重ねるための両者の研究に、期待が高まります。
撮影・取材・文/大塚真里
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