世界最高峰の学術誌にも掲載された新知見も！ 老化細胞を除去する「ツバキ種子発酵抽出液」【加藤智一さん連載Vol.24】
いま美容業界で、注目の美容成分をピックアップ！ 友だちとの美容トークでも「この成分、知ってる？」と思わず話したくなる話題の成分をご紹介します。今回は細胞生物学、分子生物学分野のおける世界最高峰の学術誌「Ｃell」に掲載された技術から誕生した成分「ツバキ種子発酵抽出液」をピックアップ。老化細胞を除去するという画期的な知見とともにお伝えします。
世界初！ 老化細胞を選択的に除去する「ツバキ種子発酵抽出液」
新作美容液の「アルティミューン パワライジング セラム」は、“私は除去する”という、インパクトのある製品コピーで話題です。これはライフサイエンス分野では世界的権威の学術誌「Cell」でも発表した、“老化した細胞を除去する”という新知見をイメージしたコピー。「Cell」は京大・山中伸哉教授のiPS細胞に関する論文などノーベル生理学・医学賞の対象になった論文が多いことでも知られている媒体で、世界的な研究だったようです。
加藤智一（以下、加藤） 学術誌「Cell」に掲載されたのは化粧品業界初の快挙のようですね。
國澤直美さん（以下、國澤） ありがとうございます。事実、研究員が「免疫細胞CD4 CTL（以下、メモリーT細胞）が老化細胞をやっつけているらしい」と、研究所のボスに話しても、当初は「実験の間違いでは？」と言われたそうで信じてもらえなかったそうです（笑）。でも、実験を繰り返して間違いがなく、再現性がとれたことで、今回の発表、そして「Cell」誌での掲載に至りました。
加藤 今回の研究発表のポイントは、そもそも、このメモリーT細胞は悪者がやってきたときに“指示を出すだけ”の機能しかなかったと思われていたものの、実際はスナイパーのように老化細胞を選択的に攻撃していた、という発見ですね。
國澤 その通りです。そして、そう考えると、メモリーT細胞の働きを活性できれば、老化細胞を積極的に除去できて、肌は若々しさを維持できるはずだと仮定しました。そこで、そのための成分を探求した結果、ツバキ種子発酵抽出液に、メモリーT細胞を活性させるタンパク質を増やす作用があることを確認。晴れて、新しい成分を開発することに成功しました。
加藤 ただ、ツバキの種子由来のエキスは油をたっぷり含んでいるので、発酵は難しかったのでは？
國澤 まさにおっしゃる通りで、そのためツバキの種子は油ではなく、その絞粕を採用することで、安定した発酵プロセスを確立できました。ただ、その前に、“どの素材で発酵させるか”ということにも実はハードルが多々ありまして。
加藤 菌は無限にありますものね。
國澤 こちらもトライアンドエラーを繰り返したのち、姫路にある老舗のヤエガキ酒造との共同研究のもと、黄麹によって発酵させることで、メモリーT細胞をケアできる成分に仕上げることができました。
加藤 新知見から成分開発まで、さまざまなハードルを乗り越えた技術ですね。今回は“老化細胞を除去する”というインパクトあるコンセプトから、単なる保湿とかエイジングケアとかではなく、そういう既存のカテゴリーを超越した新たな効果を期待できますよね。
國澤 ありがとうございます。たとえばアンチエイジングなどは、すでに現れている肌ノイズやトラブルに対処する方法ですが、こちらはそれだけではなく、未来のエイジングも予防することが期待できると考えています。
加藤 つまり、予防エイジングのようなアプローチということ。
國澤 はい。しかも資生堂にはメモリーT細胞だけではなく、NK細胞や毛細血管、睡眠不足へのアプローチなど、先進のアンチエイジング技術を研究しています。その点でエイジングの予防はもちろん、さまざまなエイジングサインや肌ストレスにも対応できる技術を開発しています。
加藤 ハイエンドなオールインワン美容液も夢ではないですね（笑）
國澤 事実、プレス発表会では「この技術を搭載したひとつだけで、すべてをケアできるのでは」というお声を多くいただいております。その点からも、老若男女問わず、すべてのかたに提供したい技術です。肌レベルを格上げしていくケアとしてもおすすめしたいと考えています。
スゴイ成分「発酵カメリアエキス+」を配合した傑作
SHISEIDO アルティミューン パワライジング セラム 50mL ￥15,180
※価格表記に関して：2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
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2001年資生堂入社。皮膚計測機器や測定法の研究開発に携わった後、現在はアルティミューンやオイデルミンなど、ブランドSHISEIDO製品の技術情報開発を担当している。