40代の冬肌が14日で変わる!「美肌菌」 と 「ヒアルロン酸」の正体とは?|美的GRAND
スキンケアでアプローチすると結果が出やすく、40代の肌に変化をもたらしてくれる「美肌菌」と「ヒアルロン酸」のケア。それぞれを熟知した化粧品の研究員に取材しました。
肌に指令を出し、すこやかさを守り抜く守り神「美肌菌」
Q.美肌菌はどこにいる?
A.肌表面だけでなく内部にもいて、肌に影響を与えています。
「皮膚常在菌は、生きた細胞と密にコミュニケーションをとる性質をもちます。このことから、角層や毛穴の中だけでなく、肌の奥の真皮にもいると考えられています」
Q.美肌菌の働きのメカニズムは?
A.菌が生み出す化合物が肌にさまざまな指令を出します
美肌菌が皮脂などを食べる
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菌が化合物を生む
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肌細胞にさまざまな指令を出す
「『美肌菌』を含む皮膚常在菌は、皮脂などを食べ、短鎖脂肪酸などの代謝物を生み出します。その代謝物が細胞とコミュニケーションをとり、肌にさまざまな影響を与えます」
「美肌菌」は大人の肌をエイジングが加速しにくい状態に導く
「人間は免疫力が未熟な状態で生まれ、時間をかけて成熟します。免疫力が未熟だったときに存在した菌が、その人の『皮膚常在菌』となります。その中の一種である『美肌菌』とは人が作った概念で、表皮ブドウ球菌など、肌に良い働きをする菌をそう呼びます」とは、資生堂で皮膚常在菌の研究を担当する柴垣奈佳子さん。
「よく知られるアクネ菌は、普段は肌の潤いを保つ働きをするものの、その量が増えると皮脂を炎症性物質に変えてニキビの原因となる『日和見菌』の一種。その他、菌のバランスがくずれると肌あれの原因となる、黄色ブドウ球菌などの『悪玉菌』も、皮膚常在菌の一員です。皮膚常在菌は皮脂や汗をエサにして代謝を行い、生み出した短鎖脂肪酸などの分子が肌に指令を出して、自分たちが繁殖するための良い環境を保とうとします」
いわば、皮膚常在菌は肌の守り神のような存在。加齢によって、皮膚常在菌はどう変わるのでしょうか。
「女性は加齢によって皮脂分泌量が減るため、エサが減る分、皮膚常在菌も減ります。また、『美肌菌』である表皮ブドウ球菌は、肌の免疫力を育てたり、エイジングケアのカギとされる脂肪幹細胞にアプローチする働きをもちますが、それらの働きが加齢や紫外線によって低下することがわかっています」
皮膚常在菌のバランスは外的環境によって変化しやすく、スキンケアによる高い可能性を感じる、と柴垣さん。『美肌菌』を増やすお手入れアプローチは、大人の肌をすこやかに、エイジングが加速しにくい状態へと導いてくれます。
肌の厚みや透明感、みずみずしさを保つクッション剤「ヒアルロン酸」
Q.ヒアルロン酸は元々肌に存在する?
A.肌だけでなく体全体に存在。その半分以上が肌にあります
「ヒアルロン酸は肌の表皮にも真皮にも存在し、細胞に栄養を運んだり、さまざまな指令を送る役目を果たしています。数日ですべてが入れ替わり、加齢によってその量が減ることが知られています」
Q.ヒアルロン酸が減ると肌はどうなる?
A.表皮は “菲薄化” 。さまざまなエイジング現象が発生します
「表皮において、細胞と細胞の隙間を埋めるヒアルロン酸の量が減ると、肌の厚みが減り、透明感やふっくら感の喪失につながります。真皮においては弾力の低下と関連します」
右は健康な肌のイメージ図。ピンク色の部分が表皮。左はヒアルロン酸の減少により菲薄化した肌のイメージ。
(資料提供/花王)
「ヒアルロン酸」は、土台が失われ始める肌にふっくら厚みをもたらすカギ
ヒアルロン酸というと、スキンケアコスメに配合されている美容成分というイメージがありますが、元々肌の中にもある物質です。花王の吉田浩之さんは、肌のヒアルロン酸について何十年も研究を続けているエキスパート。
「肌の中で、ヒアルロン酸は細胞と細胞の間を埋めるように存在し、潤いやハリを保ったり、細胞に栄養を運ぶ通路としての働きを担っています。さらに、細胞にさまざまな指令を送り、肌のすこやかな美しさを保つ働きもあります」
そんなヒアルロン酸も、加齢や紫外線によって減少し、肌の見た目印象を低下させてしまう要因の物質のひとつ。
「真皮のヒアルロン酸は長期的に操り返し紫外線を浴びることで減少し、表皮のヒアルロン酸は加齢によって減少することがわかっています。表皮のヒアルロン酸が減ると、表皮が薄くなって透明感やふっくら感が失われる〝菲ひ薄はく化か〟という状態に陥ります。細胞に栄養が運ばれにくく、表皮の代謝も妨げられます」
外から目に映る表皮は見た目の印象を左右し、かつ、スキンケアコスメが浸透しやすいのでお手入れの手応えも得られやすい場所です。「ヒアルロン酸は体内で合成と分解が繰り返されていて、わずか数日ですべてが入れ替わります。だからこそ、ヒアルロン酸の産生をサポートするアプローチは重要で、結果もわかりやすいお手入れだといえます」
ヒアルロン酸を増やしてふっくらとした厚みをキープすれば、肌の土台が失われ始める40代も、大人の柔らかそうな美肌をかなえることができるのです。
『美的GRAND』2024冬号掲載
構成/大塚真里
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
植物の研究を経て、2011年より皮膚常在菌の研究をスタート。美肌の可能性に挑んでいる。