スキンケアニュース
2024.1.25

男性もエイジングケアに興味を持ってほしい!【中年男性、トキメキ美容沼へ vol.6】

こんにちは、ライターの伊藤聡と申します。私は男性のためのスキンケア本『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社)を出しました。みなさんは、スキンケアに興味がありますか。スキンケアという言葉から、どんなことをイメージしますか? こちらの連載では、スキンケアに親しんでいく上で役に立つかもしれないあれこれをテーマに書いていきます。トライしてみれば楽しくて奥が深い、スキンケアの世界を一緒に探求していきましょう。

エイジングケアにあまり興味がない男性

 今回は、男性のエイジングケアについて考えてみたいと思います。肌にハリを与える、シワを目立たなくさせるなど、肌の加齢現象をケアするエイジングの製品は数多く出ています。こうした製品は、歳と共に増える肌悩みを解決してくれる人気アイテムなのですが、男性におすすめしてもあまり興味を持ってもらえないことが多いです。わりと自信を持って製品を紹介するのですが、「あまり加齢を気にしたことがない」ですとか、「自然なままの自分でいいから」といった理由で、エイジングケアに興味を持たない男性は思いのほかいることがわかりました。自分には不要だ、と思っている方が多いんですね。女性であれば、比較的早い段階からエイジングケアを始める割合が多く、美容医療なども含め広く取り入れられていますが、男性には響かないことが多い。男性はエイジング対策にそこまで積極ではありません。これはなぜなのでしょうか。

美容に興味を持つ前の自分について考えてみた場合、私は単純に自分の顔をよく見ていませんでした。自分の顔にあまり興味がなかったんですね。この話を女性にすると「自分の顔を見ないって信じられません」とあきれられるのですが、かつての私は1日のうちで顔を見るのが、ひげを剃ったあとにシェービングクリームが顔に残っていないかチェックするタイミングだけでした。これをしないと、あごのあたりに泡をつけたまま出勤してしまうことがたまにあるのです。そんな調子ですから、顔を鏡に近づけて、どんな風になっているか確認したことなど、ほとんどありません。たまにスマホをいじっていると、間違った場所を触ってインカメラに切り替わってしまい、自分の顔が画面いっぱいに映ってビックリすることがあります。あれは本当にイヤな気持ちになりますね。自分の顔ってこんな感じなのかと、急にむき出しの現実が飛び込んできて唖然とするといいますか……。なにか、見てはいけないものを見てしまったような気がして、うわっと声を上げながらスマホをオフにするのでした。かつての私は自分の顔をあきらめていたし、もうどうにでもなれという投げやりな態度がありました。

自分を省みる習慣がなかった

少し考えてみると、そもそも男性は女性にくらべて、加齢に悩む経験をあまりせずに済むのではないか、という気がします。私自身の経験でいっても、自分が歳を取っていくことにそこまで実感がありませんでした。自分の内面、精神的な自意識は20代半ばくらいで止まっているような錯覚があったのです。30代になったから、これまでと違う服装をするわけではなかったし、40代になっても、口調や態度を40代らしく変化させようなどとは考えませんでした。気持ちが若いのは悪いことではないのでしょうが、もちろん現実にはどんどん加齢しているわけですし、下の世代からすればただの「中年男性」でしかないわけですが……。女性とくらべると、男性は加齢で悩む経験がかなり免除されているような感じもします。そんな状態ですから、エイジングケアにぴんとこないというのも察しがつきます。私自身も、加齢が怖いと感じることもなく、のん気に生きてきました。

結果的に私は、あまり加齢による変化に対して鈍感に生きてきた気がします。ある意味では「気楽に暮らしている」幸福な状態とも言えそうですが、実質的には「自分を省みる習慣がなかった」が正しいような気がします。ただ、なにもかも放っておいて、あまり考えてないようにしてきた。男性が加齢を認めて、自分をケアする方向へ持っていくには、意識的なギアチェンジが必要な気がします。これは服装も同様で、多くの人は20代の頃に流行ったファッションを引きずってしまっています。中年男性はなにしろジーンズが細い。2024年のいまもピチピチです。いまの中年男性が20代だった頃、ジーンズはタイトなシルエットが流行っていたので、そのとき脳に刷り込まれてしまったのでしょう。昨今のゆったりしたファッションがどうにもしっくりこないのです。そんな自分に気づき「時代に沿って自分を変えたい、このままではいけない」と決意した私は、意識して「ズボンを太くするぞ、なにがなんでも太いズボンを履くのだ」とみずからに言い聞かせてお店へ出かけたものでした。スキンケアも同様に、加齢を認めつつ自分をいたわっていく過程だと考えて、ぜひ日々のルーティンに取り込んでみてほしいと思います。いまの私は、加齢に対して適切に不安を感じつつ、自分をケアする方法を試している状態です。

おすすめエイジングケアアイテム

個人的に、エイジングケアで効果が出ると思うのは、乳液と美容液です。こっくりとしたテクスチャーの製品の方が、いかにも「肌に効きそうな何かを塗ったぞ!」という感じがして、満足度が高いんですよね。資生堂の「エリクシール リフト モイスト エマルジョン SP」は、お手頃価格で使えるエイジングの乳液。肌のハリがよくなる美容成分配合で、製品イメージキャラクターの石田ゆり子さんのようなフレッシュな見た目に近づけそうです。しっとり系からさっぱり系まで、3種類が準備されているので、お好みの使用感で選んでみてください。SUQQUの「ヴィアルム ザ スムージング クリーム」は、シワ改善が期待できるエイジングのクリームです。目のまわりなど、気になる部分にピンポイントで塗れば効果抜群。香りがよいのも嬉しいです。エイジングケアの製品はややお値段が張るものが多いのですが、思い切って買ってみると、思ってもみない効果が感じられて楽しいジャンルです。

エイジングケアでいちばん楽しいのは、自分の肌が「手入れをしないと崩れていってしまう」ものであると感じられることです。ケアを怠れば肌は水分を失い荒れていきますが、日々のケアを継続していくと、うるおいやツヤを得て輝いてきます。そうした地道なケアをしてあげられるのは自分だけなのです。まずは男性がエイジングケアを日々続けてみることで、歳を取ることに対してもっと寛容になれるのではないでしょうか。自分をいたわりながら年齢を重ねていきたい、そんなおだやかな気持ちでいられるように、私はエイジングケアをしているような気がします。

 

伊藤 聡(いとう・そう)
会社員兼ライター。50代にして美容の楽しさに目覚める。著書に『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社刊)

イラスト/green K

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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