“肌がきれい”とは?友利新さん、大草直子さん、今を輝く人たちにインタビュー|美的GRAND
“肌がきれい”とはシミやシワがない、若いというだけではない。何よりも大切なのは、自分自身が肯定できること。そんなポジティブなマインドをもち、今を輝く人たちにインタビュー。
自分がいいと思う肌を作ることが幸せや自信につながる
ブラウス¥53,900(サン・フレール〈セブンティヴェネツィア〉) パンツ¥35,200(チェルキ〈レストレーゲ〉)
「45歳のわりにきれいだよね」くらいが私にはちょうどいい――――皮膚科医 友利 新さん
いちばんの肌がきれいな状態とは、まず色ムラがない。そして水分がしっかりあり、キメが整っている状態。これは肌のバリア機能がきちんと整った“健康”な状態です。肌を健康に保つために必要なケアは、紫外線をしっかり防ぐ、自分の肌に合う油分を与える、肌を摩擦しないこと、とごくシンプル。その結果、肌は光をきれいに透過し、美しい肌を象徴する透明感や明るさ、ハリ感がかないます。肌をきれいに見せるために、特別なことをしなくてもいいのです。
私自身は仕事柄、肌のことを常に考えていますし、その気になれば最先端の美容医療を試すことも可能。でも、あれこれ手を尽くして、シワやたるみのない若く見える肌であり続けることが美しいの?と疑問を感じます。今まで積み重ねてきた経験や価値観があってこその私ですから、肌だけが若く見られることが、必ずしも人生にとってプラスだとは思えなくて。「45歳のわりにきれいだよね」と言っていただけるくらいが、私にはちょうどいいと思っています。
どんな肌も、実はきれい。言葉を尽くして自分の肌を褒めよう――――スタイリスト 大草直子さん
ざらっとドライなリネン、とろりと甘いシルク、しっとりと潤みのあるカシミヤ。コーディネートに使う、こうした素材のイメージは、そのまま“着る人”の印象につながっていく。
だとしたら、体のほとんどを覆う肌を、どんなプレゼンテーションにするかは、服を着る前に、とても大切なこと。その際、目指す方向が、“きれいかきれいじゃないか”の2択だと、例えばそれは、シミやシワがあるとかないとか、毛穴があるとかないとか、“あるなし”の判断だけになってしまう。
冒頭で述べた素材が、どれもすべて美しいように、どんな肌も、実はきれい。つけ加えるとしたら、シャツやワンピースの素材を選ぶように、“自分の肌”も選択して決断できたら最高。
具体的にいうと、海が好きで日焼けもしている私が目指す肌は、ゴールドがかったテラコッタカラーで、エネルギーにあふれた肌。フレンドリーでおおらか、もキーワード。シミはあるし、当然シワだって。たるみだって気にはなるけれど、洗いざらしのコットンみたいで、とても気に入っている。
私の肌はきれいじゃないから、なんて言わないでほしい。私は、その日着ているお気に入りの服を愛でるように、言葉を尽くして自分の肌を褒めよう、と決めている。
自分の顔は自ら創り上げるもの。毎日ワクワクしながらメイクして、肌をコーディネートしよう――――ヘア&メイクアップアーティスト 中野明海さん
職業柄というよりは、昔からずっとメイクが大好き。新しいコスメを試すことも大好きですし、流行りのメイクやコスメを研究するのも楽しい。自分の顔でひたすら試して、「ここに光が入るとハリがあるように見えるのか」など研究して、その結果創り出されたのが現時点の私。実は私、メイクをしていないと誰だかわからないくらい顔が違うんです。朝起きたての顔を見て、「今日は落語家の○○さんに似てるなぁ(笑)」なんて、自分でも驚いてしまう程。でもメイクをするとちゃんと“自分が思う今の私”になります。毎朝、それが楽しくて!メイクでどうにもできなくなったら、ある意味、考えどきかも。でも若返りたいわけではなく、年齢を重ねた素敵な人になれたらいいな、と思います。“中野明海さん”といういい感じのお婆さんになるのが夢ですね。後は気もちが健康であること。健やかな人こそ素敵ですから。
40~50代の250人『美的グラニスト』にアンケート
「自分の肌のことをどう思うか」という質問に対し、エイジングに抗う切実な声よりも、自分の肌と大切に向き合いながら美容を楽しむ、ポジティブな声が多く寄せられました。
Q.理想とするのはどんな肌?
くすみや濁り、シミや肝斑、シワやたるみ…と日毎に肌のエイジングを実感するグラン世代。肌への思いも美容への意欲も強く、上記4つの肌すべてが理想!という人がほとんど。
Q.年齢は今のまま、肌だけ若返りたいと思いますか?
なんと、YESは半数以下。「今の年齢に無理をしていない、自分らしい美しい肌を手に入れたい」「肌がというよりも、コスメやメイクを楽しんでいた頃に戻りたい」という声が。
Q.肌とはどんな存在ですか?
「健康状態や生活を映す鏡」「肌をお手入れすると自信につながる。人と会うときも堂々とできる」「自己肯定感が低い私に自信をくれる存在」「肌のコンディションによってメンタルが変わる」と、肌と心が強くリンクしていることを感じているよう。
『美的GRAND』2023秋号掲載
撮影/福永俊樹 ヘア&メイク/岡田知子(TRON) スタイリスト/大沼こずえ モデル/樋場早紀 構成/松村有希子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。