スキンケアニュース
2023.10.31

紫外線や摩擦からの防御、潤いを生み出す…0.2mmの「表皮」で何が起きてるの?


乾燥、紫外線ダメージ、肌あれ、ニキビetc.…様々な困難から私たちを守るために、日夜頑張っている肌。それぞれの器官などが協力しながら、ものすごいマルチタスクを行っている様子を“グループSNS”に見立てて、覗いてみたら・・・ちょっと難しい? と思いがちな肌の構造が、ぐっと身近に! 自分の肌がもっと愛しく、もっと大切にしたくなっちゃうかも!?

皮膚科専門医

慶田朋子先生

『表皮』村の住人たちの愉快な生態

\キャラ化して解説!/

私たちの体を守る厚さ0.2mmの最前線
表皮の厚さは約0.2mm。その薄さの中に「超絶な機能が詰まっている」と解説する慶田先生。

例えばイラストでは、紫外線を浴びると各器官が連携して紫外線吸収作用をもつメラニンを産み育て、排出するまでの流れが描かれています。シミの要因として悪者扱いされがちなメラニンですが、実は肌を守るために大切な役割を果たしていることがわかります。

「紫外線防御といえばメラニンが有名ですが、実は表皮の細胞そのものも、紫外線防御効果があるんです。『顆粒層』では細胞内に入っているツブツブが、『角層』では細胞が密に整列することで、紫外線を跳ね返しているんです」

そのほかにも、潤いを生み出したり、危険を察知して脳に伝えたり…と、マルチタスクを行う表皮の住人たち。その奮闘ぶりを知ったら、肌のことがもっと愛おしく感じられるはず!

外敵襲来、摩擦と戦う、潤いを生み出す…頑張る『表皮村の住人』たちキャラ紹介

ランゲルハンス細胞

\花粉、摩擦刺激から守れ!外的ダメージを火消しする/


免疫をつかさどる「ランゲルハンス細胞」。肌を常に見回っていて、外敵を発見すると即座に上司に報告。消防車に火消し役(炎症因子)を乗せて現場に急行します。つまり、肌が炎症を起こすのは頑張って外敵と戦っている証拠なのです。無事に敵をやっつけるとマクロファージがお掃除をして、元の状態の肌に戻します。

 

顆粒層の細胞

\徐々に育っていく細胞の中で最もマルチタスクな花形/


基底層で生まれた細胞(ケラチノサイト)は、少しずつ形を変えながら「有棘層」→「顆粒層」→「角層」へと移動していき、最後に垢となって剥がれ落ちます。その中で顆粒層の細胞は、ダントツにマルチタスク。細胞を強化しながら細胞周りの潤い態勢も整えて、隙間のないバリア機能の高い肌を育みます。

 

メルケル&TRP

\快・不快を脳に伝えてさらなる美肌を育む/


肌には快・不快を察知して脳に伝える感覚機能があります。心地よい刺激をキャッチすると幸せホルモンを分泌、その逆に痛い・熱いといった危険につながる刺激をキャッチすると、身を守る防御態勢を敷きます。私たちが熱いものに触れたときサッと手を引っ込めて火傷を防ぐ行動をとるのも、肌の感覚機能のおかげなのです。

 

角層細胞と仲間たち

【勇ましく角層へ旅立つ編】
\潤いを守る強い細胞になるために仲間を募って角層へと旅立つ/


ケラチノサイト(表皮の細胞)は、肌内を少しずつ移動して、最後に「角層細胞」となります。このとき、細胞の核が外れて居なくなってしまいますが、たくさんの遺産(自らを分解したたんぱく質)や遺言(フィラグリンなど、仲間たちへの協力要請)を残します。おかげで角層細胞は立派に成長していくのです。

【お供を連れて最強布陣編】
\角層で乾燥や敵と戦う/


角層は肌の最前線。乾燥、紫外線、ほこり、摩擦など、戦う相手がいっぱいいます。そこで角層細胞は、身を守る仲間をたくさん引き連れています。その正体は、細胞内部やその周りに存在するさまざまな潤い成分。「健やかな肌の基本は潤い」とよく言われますが、細胞を守る仲間が多い程、防御力が増して外敵に強くなるのです。

 

表皮ブドウ球菌

\肌の上で潤いや抗菌成分を生み出す/


肌の表面には常在菌が棲みついていて、潤いを生み出したり抗菌作用を担ったりと、外側から肌を守っています。その養分となるのが、皮脂と汗。また、アクネ菌は詰まった毛穴など悪い環境におくと爆発的に増えてニキビなどの原因に。常在菌をバランス良く育てるためには、適度に肌を洗って清潔な環境に保つことも大事です。
 

『美的』2023年12月号掲載

監修/慶田朋子 イラスト/いしやま暁子 構成/もりたじゅんこ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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