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2021.9.9

一瞬で人を虜にする最強の第一印象。
その意外な正体は名前?【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.1】

第一印象の美容は様々に語られてきましたが、最も簡単に確実に相手を引きつけ、たちまち虜にしてしまう方法は、とても意外な方法でした。マスクをしての対人関係、表情も伝わらない中、それは、覚えてすぐの相手の名前を呼ぶこと……。 【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.1】

鏡に映らない、美容ではない美容

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・10分で私を虜にした人

初対面でも10分後には相手を魅了し「この人、好き」と思わせてしまう人がいる。ある男性との出合いで、たまたまその正体を知った。会っていきなり、こちらの名前を呼ぶ人……。「齋藤さんは?」「齋藤さんも?」「齋藤さん」「齋藤さん」。そのたびにハッとし、次第にドキドキし始めた。たかだか10分で相手を好きになっていたかもしれない。人として、少しだけ異性としても。

自分の名前を呼ばれることで、本来あるはずの初対面の壁が一瞬で取り払われ、一気に距離が縮まるのはもちろん、呼ばれるたびに相手の存在が大きくなる。「私」がきちんと認識されている喜びがあり、なんだか相手の温もりまでが伝わってきて、気がつけばその人の虜になっている。同性でも異性でも。とすれば、これ以上の第一印象ってあるだろうか?

・名前を呼ばれると魂に触れられるよう

例えば病院などでも、自分の名前を呼ばれればドキッとする。最近は個人情報の問題から、整理番号で呼ばれる形がほとんどだが、そんな場面ですら小さな衝撃をもたらす自分の名前。おそらく名前には、“言霊”が宿るのだ。生まれてから今日まで生きてきた分の魂が宿っているからこそ、その魂が呼び覚まされる。だから初対面の人にさえ魂に触れられた喜びがあるのだろう。

一方に、名前を呼ばれると、幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されるという説もある。親が子に触れる時にも生まれるから「抱擁ホルモン」また「愛情ホルモン」とも呼ばれるもの。ストレスを解き不安を和らげ、瞬時に多幸感をもたらしてくれる「オキシトシン」のスイッチをオンにする人に、アッという間に心奪われても少しも不思議では無いのである。

もちろん初対面での呼び方は難しい。不自然になれば、逆に不快感を与えるだろう。そもそもそこに心がなければ、親愛の情がなければ、自分の名前も響かない。魂は震えない。

基本的にフレンドリーなアメリカ人は、それこそ初対面から何の衒い(てらい)もなくファーストネームで呼んでくるのが普通だが、それは馴れ馴れしさではなく、むしろ相手への丁寧な敬意の表れなのだとか。あなたにきちんと心を向けていますよと言う。日本人同士でいきなりファーストネームはやっぱりありえないが、苗字でなく下の名前には別の言霊があるようで、だから、これもなんだか心が震える。

・そう、“人たらし”になろう

いずれにせよ、こちらが名前を呼ぶ時には、心を込め、近づきたいという思いを込め、体温と敬意を乗せて一緒に発するべきなのである。マスクで表情が伝わらない初対面では尚更、掛け替えのない引力を持つはずだから。

ちなみに冒頭で書いた男性は、もちろん相手が誰であろうと同じように名前を呼ぶのだろう。関わった人のほとんどが、彼を好きと言う。彼を素晴らしいという。外見ではない、滲み出るような人としての魅力で相手の心を掴み続けているのだ。明らかに「人たらし」。そうと分かってていても、やっぱり心惹かれる。

だからつくづく思うのだ。この人は、どれだけ素晴らしい人生を生きているのだろうと。鏡に映らない、美容ではない美容! 最強の第一印象の作り方! 大人ならばこそ身に付けたいのだ。一瞬で愛される、世にも短いメソッドを。

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美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『美人だけが知っている100の秘密』(角川春樹事務所)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)など著書多数。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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