『深夜!天才バカボン』パパ役の古田新太「一生懸命働いている女性はキレイ」
ギャグ漫画の金字塔であり、赤塚不二夫さんの代表作とも言える『天才バカボン』が、18年ぶりに細川徹監督のオリジナルストーリーでTVアニメ化。『深夜!天才バカボン』として、7月10日からテレビ東京系ほかで放送されます。 今回、「これでいいのだ!」でお馴染みのバカボンのパパの声を担当する古田新太さんを直撃! “深夜”に繰り広げられる新たな『天才バカボン』の魅力や、男性陣の憧れのキャラクターでもある、美人なバカボンのママを通して、魅力的に映る女性像を語ってもらいました。
コンプライアンスギリギリ!?時事ネタに絡めた攻めたセリフがたっぷり
——『天才バカボン』の漫画やアニメの印象はどういったものでしょうか?
古田:赤塚先生の漫画は、子供の頃から読んでいます。『天才バカボン』って、最初はホームドラマな感じでしたが、途中からガンガン実験的なことをやるようになり、後期はすごくアバンギャルドな作品になりました。でもアニメは、夕方に子供が見るものだったから、ちょっとソフトにされていたイメージです。
今回のアニメは深夜枠での放送だから、実験的なことができる。それこそ時事ネタとかガンガン入れて、赤塚先生が思いっきり実験的な時にやっていたものに近づけるんじゃないですか。
――これまで攻めた作品を生み出している「大人計画」の細川徹さんが監督・構成を手掛けますが、そういう“過激さ”という部分に期待が集まりそうですね。
古田:細川くんは戦ってますよ。そこは本当に頑張っています。今回、時事ネタに絡めた攻めたセリフが多い。細川くんのギリギリ、コンプライアンスに引っかかるくらいのことをやりたいという思いがヒシヒシと伝わってくるんです。
オイラもどちらかというと舞台屋なので、「コンプライアンスなんてない」って思っている人間。「誰に気を使わなきゃいけねぇんだよ」っていう考え方をしてるんで、なるべくならそうしていきたいなと思っていますが、現場では「あのセリフ、許可おりませんでした」ってことが必ずある。いくらテレビ東京とはいえ、コンプライアンスはあるみたいです(笑)。
――どんどんテレビの規制が厳しくなっていますが、こういう攻めた作品は貴重だと思います。
古田:本当に頑張って欲しい。今はネットやSNSとかでみんな匿名で怒り出すけど、誰が怒っているのか、はっきりしないじゃないですか。そこらへんはちゃんと戦っていかないと、表現というものは弱くなる気がします。
なので、今回のアニメでは、くだらない部分やアバンギャルドな部分を楽しむだけでもいいし、「やりやがったな、『深夜!天才バカボン』」と、はしゃいでくれる視聴者の方がいたらうれしいですね。まぁ……「ヒドっ!」って言われたいです(笑)。
何をやってもいいし、怒られることを恐れる必要はないと思う
――赤塚先生の作品の魅力はどこにあると思いますか?
古田:赤塚先生って、常にチャレンジしているんです。あと、「何をやってもいいし、怒られることを恐れる必要はない」みたいなことをおっしゃっていて、オイラはかなり影響を受けていて、怒られることは別に怖くはないんですよ。
――もしかしたら今の若い世代の方の中には、赤塚先生の作品を知らない方もいるかもしれないですが、アニメではそういう方にも影響を受けてもらえたら嬉しいですね。
古田:ぜひともそうしていただきたいです。オイラはいつもそう思いながら演劇をやってるんですけど、若いヤツは観に来てくれないんだな(苦笑)。
オイラは、「あらゆる芸術は、怒られることから始まる」と思ってます。「それはありえない」っていうことをやった人が偉人になっていることが多い。なので、子供の頃から大人の顔色をうかがうようなことは辞めてもいいんじゃないかな。きっと大人がなんとかしてくれるっていう……(笑)。
『バカボン』のパパのように悪気がない人でいたい
――古田さんが演じるバカボンのパパは、いい意味でも悪い意味でも“ひどい”キャラクター。“『深夜!天才バカボン』のパパ”は、深夜枠ということで何か変わっていたりするのでしょうか? パパの魅力を教えてください。
古田:オイラは何事も忖度じゃないけど、気を遣うっていうことが、すでに悪気につながるんじゃないかなと思ってます。例えば、3歳の子供が「おじいちゃん、ハゲてるね!」って言ったって、おじいちゃんは怒らないでしょ? でも大人がそれに気を遣った時点で、もうそこは悪気が出てるんじゃないかな。
バカボンのパパは、すぐ本官を殴ったり、レレレのおじさんを蹴ったりするんですけど、そこにまるで悪気がない。蹴りたかったから蹴ったし、殴った方が面白いと思ったからそうしただけ。バカボンのパパは、ずーっと無邪気な子供なんです。また、まともな事も時々言うんですけど、それにも自分が偉く見られたいとか一切ない。
今の世の中では、忖度をしたり、気を遣ったりするじゃないですか。でもバカボンのパパは、いい意味で気を遣わないというか、やらない(笑)。まっすぐ生きているキャラクターなんです。うらやましいし、なるべくオイラも悪気がない人でいたいなって思います。
この作品を見てゲラゲラ笑える女性はかっこいい
――『天才バカボン』の中での清涼剤的な存在といえば、“バカボンのママ”。男性が愛してやまない“ママ”の女性としての魅力はどういったところにあると思われますか?
古田:パパのことを愛しているところじゃないですか。あんな無茶苦茶な人、相当愛してなかったら一緒にいれないでしょ? 子供も2人いるし。パパがよっぽど魅力的だったのかなと思います。
でも昔のシリーズだと、パパは腕の良い植木屋っていう設定があったんですけど、今回は無職なんで、どこに魅力が…とは思いますけどね(苦笑)。ま、自分の信念を曲げずに、家族愛に溢れていて、ママや子供たちのことを守る、そういうパパの男気がかっちょいいのかもしれないです。
――古田さん的に、ママはやっぱり魅力的な存在でしょうか?
古田:そうですね、現場もママのファンだらけですから(笑)。当然アニメーターの連中もママを可愛く書くし、不必要に出してくるんです(笑)。
――ちなみに、古田さんはどんな女性に惹かれたりしますか?
古田:「あたしゃ、一人で生きていける」みたいな、仕事をバリバリしている人が好きです。一生懸命、成果を出したいと思って働いてる女性はキレイだなと感じます。それは水商売でも、お花屋さんでも、ケーキ屋さんでも、どんな仕事でも一緒だと思います。
――『美的.com』の読者の方々に向けて、この作品の魅力やエールをいただけたら。
古田:この作品を見てゲラゲラ笑える女性はかっこいいと思うので、ぜひ見て欲しいです。出てくる人たちがちょっと行き過ぎた人たちばっかりなんで、それを見てたくさん笑って、明日の仕事を頑張る気力につなげてもらえたらうれしいです。
©赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会
『深夜!天才バカボン』は7月10日より毎週火曜25時35分~テレビ東京系にて放送。
(※初回の7月10日は25時40分~)
【公式サイト】http://shinya-bakabon.com
【公式ツイッター】@shinya_bakabon
撮影/五十嵐美弥(小学館) 取材・文/高山美穂 衣装協力/SmallChange高円寺 電話:050‐3803‐2224
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