松村北斗さん(SixTONES)、30歳の本音。「心の余白を持つことが幸せの条件なのかも」

SixTONESデビュー5周年イヤーに、大好きなアニメ映画の実写化で映画単独初主演。そして、『美的』に初登場にして初表紙では、頰に触れそうな仕草にドキッ。朝時間をイメージした撮影も楽しみながら、30歳の本音を語ってくれました。『美的』11月号スペシャルインタビューです。

松村北斗さん|幸せ上手になる方法。
頑張りすぎると心が疲れる。心に優しくし続けると不安が生まれる。コーヒーがゆっくりと落ちるのを待つような穏やかな時間をもち、心の余白を保つこと。それも幸せの条件なのかもしれない。
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「本当においしいチョコレートは少量で満足できますよね」「勧められる前に食べてすみません!」。差し入れのチョコレートをおいしそうに食べてくれた松村さん。チョコ愛にあふれる一方で、最近は朝食にもこだわっているそうで…。
朝ごはんはちゃんと食べる。肌から役作りも
「一時期、朝はスムージーだけにしていたら、日中にダウンしてしまったことがありました。そのときは塩分も不足していたみたいで。ちゃんと食べることは大事ですし、そうしないとやせにくくなる気もします。かむことは脳への刺激にもなると聞くので、朝は海藻やヨーグルト、軽くごはんを食べ、自宅で自重トレーニングをしたりと、できるときは朝もゆったり過ごすようにしています」
健康への意識の高まりも手伝ってか、スキンケアブランドのアンバサダーを務めるその素肌はなめらか。俳優として、役へのアプローチを肌作りから始めることも。
「役と肌の見え方のバランスは意識していて、役によってはあえてガサガサの肌にすることもありますが、一貫して清潔感は保つようにしています。となると、大切なのはやっぱり洗顔だな、と。汚れが残ると酸化して黒ずみの原因にもなるので、メイクも日焼け止めもちゃんと落とすようにしています」
松村さんが「引き算の肌」で挑んだのが、初の映画単独主演となる『秒速5センチメートル』の主人公・貴樹役。新海 誠監督の叙情的な原作アニメは、繰り返し観てきた作品。
「もの寂しさに惹かれていた学生時代の僕に刺さった作品です。3部構成も魅力的で、観る度に今もちゃんと好きなシーンや雰囲気があって、安心できる作品。好きな作品だけに、貴樹を演じる喜びと怖さがすごかったです。映画は、舞台となった種子島の圧倒的な自然も必見です」
少しずつ心を通わせながらも離れ離れになった少年・貴樹と少女・明里。すれ違いながら大人へと成長する中で、松村さん演じる30歳の貴樹は明里への思いと共に、自分だけが取り残されているような孤独を抱え、社会になじめずにいる。
「貴樹はどこか過去に生きているようで、周囲の思いを反射させて自分を保つような生き方で、“ 不幸上手” な印象でした。でも演じてみて、本作のロマンティックさや切なさと共に、時間や気持ちの進み方は人それぞれだということを実感しました。自分を守るために自分を卑下したり、謙虚になりすぎて苦しくなるようなとき、この映画との出会いはすごく意味があるような気がします」
孤独や居場所のなさから一歩踏み出すのに大事なことのひとつは「心のもちよう」だと感じ、自身も日々、試行錯誤しているという。
不幸がないのが幸せ。アクションにも挑戦したい
「身の丈を知ろうと日々がむしゃらに頑張っていたら、自分の思いが疎おろそかになってしまって、心がSOSを発したことがありました。でも、心に優しい考え方をしていると、ある種のストイックさとは離れて、『こんなんじゃダメだ』と自己否定が始まるんです。常に心が幸せでいることは難しいけれど、ひとつ言えることは、宿題を終わらせた後のゲームは楽しいということ。だからやっぱり僕は、やるべきことをとことん頑張っていきたいなと思うんです」
今、幸せに感じるのは、「不幸じゃないとき」。30代を迎え、欲しいものを手に入れるようなプラスの幸せより、「マイナスがない幸せ」を大切に考えるようになったそう。
「お芝居の仕事では、出演作が世に出るまでは反響も含めてずっと不安です。褒めていただけるとうれしくて、次の作品までの期間はプレッシャーを感じることもないので『人生最高!』と思っちゃうんですよ。そう思うと、やっぱり物理的な時間は必要だなと思います。ゆったりと過ごしていると、興味をなくしたと思っていたかつての趣味をまた始めて楽しくなったり、どうしても仕事モードで見てしまうので遠ざかっていた映画も面白く感じたりしますし。時間と気持ちの余白を保つことも幸せの条件なのかもしれないですね。食事を作って食べて、寝て、みたいなシンプルな日常も大切にしながら、コーヒーがゆっくりと落ちていくように、自分の気持ちが整うのを待ってあげたいなと思います」
「30歳になった記念になるものを探している」という松村さん。少し前にぎっくり腰を患ったときのこと。動けない反動で「思いっきり動いている人が見たい」と、映画『ベイビーわるきゅーれ』を鑑賞し、次の目標を見つけた。
「めちゃくちゃカッコいい作品で、アクションをやりたくなりました。いつか勢いよくパンチする僕をお見せしたい!(笑)。30代はより丁寧に生きていけたらいいですね。それも、自分に感じる清潔感や美しさであるような気がしています」
HIS FAVORITES
土鍋で蒸し野菜
野菜の甘みがおいしい。前半は何もつけず、後半はポン酢や塩で。にんじんなどの赤い野菜ときのこ類は必ず入れます。エリンギとハナビラタケが好き。
ホームプラネタリウム
映画『夜明けのすべて』のチームからの贈り物。サウンドも搭載されていて、〝草原の音〟を聴きながら、ピントを合わせ、星空を眺める時間がたまらなく好き。
家から眺める夕方の空
茜あかね色に美しく染まる時間があるんです。映画『君の名は。』みたいな、新海 誠監督が描くような空で、眺め続けています。僕は空が好きみたいです。
INFORMATIONS
映画 『秒速5センチメートル』
少年時代、明里と思いを寄せ合いながらも離れ離れになった貴樹。その18年間を、幼少期、高校生、社会人の3つの時代で描く。新海 誠監督の劇場アニメを実写映画化。原作:新海 誠
監督:奥山由之 出演:松村北斗、高畑充希ほか
10月10日公開
『美的』11月号【SPECIAL EDITION】
『美的』2025年11月号掲載
撮影/嶌原佑矢(UM) ヘア&メイク/星野加奈子 スタイリスト/坂上真一 構成/松田亜子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。