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2025.9.16

“Mattママ”桑田真紀「SNSでの交流も楽しそうだけど 大切にしたいのはリアルでの繋がり」|美的GRAND 連載 Vol.09

夫は野球界のレジェンド・桑田真澄氏、次男は現在アーティストとして多方面で活躍中のMatt Rose氏。専業主婦から一念発起し、彼らを公私ともに支え、現在は化粧品会社も経営する桑田真紀さん。「優れた才能を発掘して応援したい」という根っからの「応援気質」で周囲の人々をサポートする真紀さんの「応援力」は、夫、子供、義理両親など身内だけでなく、上司・部下・同僚やママ友、すべての人間関係の参考になるはず。

あなたの何気ないSNS発信でも、その言葉や知見を待っている人がいるかもしれない

桑田真紀
東京都生まれ。航空会社CA、専業主婦を経て、現在は夫・桑田真澄(読売ジャイアンツ二軍監督)と次男・Matt Rose(アーティスト)のマネジメント会社を経営。趣味はゴルフ。

SNSでの交流も楽しそうだけど大切にしたいのはリアルでの繋がり

今や、SNSは情報インフラと化していて、やっていない人は少数派。やらないと「なんだかこだわりが強そう。もしかして気難しい人?」なんて、ちょっと色眼鏡で見られてしまったり。

MattはSNSを楽しんでいるようですが、私はどうも重い腰が上がらなくて。日々の大部分が地味な作業が多い毎日で、決して華やかなだけの日常ではありませんし、自分を実際より大きく見せようなんて気持ちもありません。だから、あえて世間様に公表する程のこともないか……なんて思ってしまうのです。先日、知人に「桑田さんはSNSをされていませんが、どうしてですか?」と聞かれ、そのときは「なんとなくやってないんです。やるタイミングを逃してしまって」と答えてしまったのですが、よく考えてみたら、自分でもはっきり整理できていなかったことなので、この機会に改めて考えてみました。

今の時代、たくさんの方々がSNSを通して自分の日常や自身の考えを発信することを当たり前のように、そして実に軽やかになさっています。それを生き生きとポジティブに楽しんでいる様子、もっといえば「ハマっている」様子は、ちょっぴり羨ましいなと思うこともあります。私は積極的には行ってきませんでしたが、もちろん、発信の力を軽んじているわけではありません。ただ、私にとってSNSは「自分の生活や仕事のすべてを切り取って皆さんに知ってもらう場所」というよりも、「本当に伝えるべきことだけを届ける場所」でなければなんて、重く考えてしまっているところがあります。

人の視線や評価を意識しすぎると、言葉が少しずつ本来の形から離れてしまう。私にとっての言葉は、自分が心から納得できるかどうかがすべてです。だからこそ、時には沈黙を選ぶこともあります。発信しない時間は、私にとって「考える時間」であり、「自分を整える時間」でもあるのです。

仕事を通して、たくさんの方々と出会いましたが、第一線で活躍されている方ほど、意外なほど静かで、内に強さを秘めていらっしゃいます。そうした方々に接するたび、人は「声の大きさ」ではなく、「言葉の重さ」で動くのかもしれないと学びました。SNSでにぎやかに声を上げることは楽しい一面もありますが、私は自分の言葉がしっかりと届く瞬間を大切にしたい。そのために必要なのは、むやみに更新を重ねることではなく、必要なときに、必要な言葉を選びとることだと思っています。もしかしたら、自分を誤解されたくないのかもしれません。発信したことが、意図したことと違うように独り歩きしてしまうのが怖いのだと思います。

とはいえ、仕事をしていると、「良かったら今度出演する番組の告知をしてくださいよ」とか「新製品のご紹介をお願いできますか?」とか、プロモーション的に必要な場面も多くなってきました。「苦手だから」といって、やらないですますことができなくなってきた、というのが正しいかもしれません。皆さん、食事やちょっとした日常、お友達とのスナップなど、スマートフォンで上手に写真を撮られますよね。だからSNSにアップしようかな?と思うのかもしれませんね。実は私、写真を撮ることが本当に少なくて。それもSNSをやっていない原因なのかもしれないなと、今回いろいろ考えたときに気づきました。この連載で「日常のスナップ画像をください」と言われると、本当に写真がなくて毎回慌ててしまうくらいです。

いつの日か、子育てに関することをSNSで発信してみたい

こんなことを言っていても、ある日ふと、自分の思いや日常を自由気ままに発信したくなるかもしれません。そのときは、きっと今よりももう少し肩の力が抜けていると思うし、自分らしい言葉で考
えをお届けできるのではないか……と、機会をうかがっているところです。「SNSは怖い。うかつに発信なんてできない」なんて後ろ向きに構えてしまう私ですが、もしかしたら、もっと気楽に、そしてポジティブに捉えられる日が来るかもしれません。……と考えたら、それはそれで楽しみだったりします。

知人には「今どきSNSをやっていないなんて」と呆れられながらも、「じゃあ、もし何かを発信するとしたら、どんなことを誰に伝えたい?」と聞かれたのですが、即答したのが「子供に関すること。子育てで悩んでいる人へのアドバイスがしたい」ということ。息子たちが少年野球をしていた頃、今振り返れば、「何をあんなに悩んでいたんだろう」と思うことばかり。過剰に周囲を気にしていたり、人と比べたり、周りに相談もできず、ひとりで思い悩んでいました。恐らく、野球少年(とその母親)たちを取り巻く環境って、今もそんなに変わってないんじゃないかなと想像します。だから、自分が通ってきた道を、しかも今だから言えることを、お伝えすることができたらいいなあ、とは考えることがあります。その手段がSNSが良いのかどうかは正直わからないのですが。

それに、そんなに張りきったところで私はSNS初心者。最初はそんなに堅苦しいことではなく、息子たちや若い友人たちを見習って、肩ひじ張らない、サラッと軽やかな投稿ができたらいいなと考えている今日この頃です。私たちグラン世代は、SNSをやる人とやらない人、二分されていませんか? 私のように、二の足を踏んでいる人もたくさんいらっしゃると思います。でも、もしかしたら、皆さんや私のふとしたひとことが、見知らぬ誰かを勇気づけるかもしれません。そう考えたら、何だかワクワクしてきました。そして、SNSを通じて人とつながる時代であっても、私はきっと、これからも「対面」ファーストなんだと思っています。SNSはこれからさらに発展すると思うし、それどころかどんどんAIが台頭してきてリアルとフェイクが混在し始めている世の中だからこそ、直接お会いすることでしかわからないことを大事にしたいなと思うのです。

Maki’s 今号のキレイの源


Mattがロスの友人に頼んで、アメリカの著名なアートディレクターに作ってもらったコースター。本人はもちろん、家族全員気に入って使っています。


7月のMattの誕生パーティーの際、室内をバルーンで飾りつけしました。優しい色合いがキレイだなと思って写真に収めました。

桑田真紀【全方位「推し活」力の磨き方 】そのほかの記事はこちら

『美的GRAND』2025秋号掲載
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ 構成/三井三奈子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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