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2025.6.6

中野信子さん×EXITりんたろー。さん対談本『「見た目が9割」をどう生きる』スペシャルインタビュー

中野信子さんとEXITりんたろー。さんが共著『「見た目が9割」をどう生きる』で語り切れなかったトークを大放出! 「人は見た目で判断される」―このエビデンスに裏づけされた不条理な現実さえも糧にして、美容でもっと幸せになろう♡

新時代のビューティ論 今、私たちに必要なのは戦略的美容計画だった!


(左)脳科学者・医学博士 中野信子先生
2008年、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。近著『咒(まじない)の脳科学』(講談社)など著書多数。

(右)お笑いコンビ「EXIT」 りんたろー。さん
2017年、兼近大樹さんとお笑いコンビ「EXIT」を結成。漫才のツッコミを担当。著書に『自分を大切にする練習』(講談社)がある。

嫉妬や妬みの感情には、ものすごいエネルギーがある。それを燃料に変えないなんてもったいない!(中野先生)

中野先生  今回の共著『「見た目が9割」をどう生きる』で、りんたろー。さんのキレイになりたい気持ちを隠さないところが魅力的だな、と改めて思いました。人は他人からよく見られたいと思うものです。そして、それを隠さないといけないと思い込んでいる人がほとんどです。けれども、りんたろー。さんとの対談で、その思い込みについてはうまくお伝えできたんじゃないかと思っています。

りんたろー。さん  良かった! 人間の脳は美形に反応してしまうって身も蓋もないテーマの本で、しかも男性は男前だと評価されるけど、女性は美しいと評価されにくくなる話とか、禁断の話題に触れていますよね。今まで美容ってそういうことを抜きに語られてきた部分もあって、どこかファンタジーな世界観だった。そのふわっとしたところに、中野先生がエビデンスやファクトに基づいた見解を交えて切り込んでくださって。もうザクザク刺さりました! おかげで新しい価値観で美容と向き合えるようになったし。

中野先生  元々「美」は人間が主観的に決めた基準で、時代で変遷するもの。私たちは、意外なほど曖昧な世界に生きているんです。

りんたろー。さん  細眉が流行った時代からしたら、太眉が流行るなんて思わないですもんね。人間ってこうやって逆張りを繰り返すものなんですか?

中野先生  繰り返されますよね。それは、同じ基準が続くと、それがハックされるからです。美を認知する場所は脳の前頭前野の一部ですが、ここは倫理的な正しさを認知する領域とも密接に関わっています。だから、「見た目がいい人が言ったこと=正しい」と安易に操作されないように、定期的に暗号を変えるみたいなことかな。

りんたろー。さん  本能的にですか!?

中野先生  自動的にそうなるんですよね。そうやって勝手に変わっていってしまう美の基準に対して、狭義の美容で合わせるのか、あるいは広義の美容で合わせるのかは本人次第。広義の美容は、笑顔を心掛けたり振る舞いに気を遣ったり、容姿の魅力以上に雰囲気など全体をステキに見せる考え方。いくらでも改善の余地があるんじゃないかな? 『美的』読者の皆さんのように、向上心が高い方はそこも追求したくなると思うんです。狭義の美容だけでなく、こういう点に関しては、40代以降の男性にもこの本を通じて、ぜひ「美しく」なってほしい。今まで美容に関心が薄かった層でも、広義の美容を心掛けることで、ぐっとステキになるポテンシャルがあると思うんです。

りんたろー。さん  確かに、男性は「男のくせにキレイになろうとしてる」って思われたくない傾向がまだ根強いかも。改善できることは容姿以外にもあるのに、固定観念で思考を止めるのはもったいないですね。女性の場合は、見た目が良い人の方が仕事の評価が低くなりがちという衝撃的な話もありましたが、それって美しくありたい人にとってはモチベーションをどう保てばいいのか迷いそうな…。

中野先生  ファクトとしてありますが、これこそ広義の美容を当てはめてほしいです。周りを見渡して、仕事ができるステキな女性の振る舞いや言葉遣いも含めて調べる「戦略的美容計画」を練ることも美容道、みたいに考えていくのが面白いんじゃないかと思うんです。

りんたろー。さん  自分の容姿で落ち込んだり、嫉妬や妬みでネガティブになるよりやれることはあると!

中野先生  そうそう。ところで、嫉妬や妬みって必ずしも有害ではないんですよ。必要だからわき起こる感情で、モチベーションを刺激してくれるガソリンのようなもの。努力させるためのエネルギーになるんです。ほかの感情ではこんな風には出ません。せっかくのエネルギーを、他人の足を引っ張ったりすることに使うと一時的な爽快感は味わえても、エネルギーとして消費されず脂肪に変わるだけ、みたいな…。どうせなら自分のプラスになることにつなげた方がいいですよね。

りんたろー。さん  本の中でも熱く語りましたよね。そのエネルギーは自分を磨く努力に注ごう! でも自己肯定感が低い人にとっては難しいことだったりするのかも…。

中野先生  自己肯定感とか自分の魅力をわかるとかって、永遠に追い求めているくらいがちょうどいいんじゃないかなと思いますよ。逆にわかって動いている人は、下手すると支持を失いかねない。

健康で穏やかにいられるような美容が、僕にとってのゴール(りんたろー。さん)

りんたろー。さん  うおー、既に肯定されている! 救いになります。

中野先生  たんぱく質が体にいいからって摂取しすぎて、腎臓の限界値を超えるまでとる人と似ているというか、何事も適量が大切。いわゆる自己肯定感も、よく間違った解釈をされていますよね。肯定をやりすぎちゃダメっていうこともあるんです。

りんたろー。さん  すごい刺さるな。じゃあ、コンプレックスも悪いものではないから、残しつつ、受け入れつつでいいんですか?

中野先生  むしろ自分の改善点を見つけるアンテナって大事な機能ですよね。弱い部分を削って完璧な人になることがゴールではなくて、それはあくまでも目安として、その経過を楽しむ方が豊かなんじゃないかな。

りんたろー。さん  僕は弱い部分をもった人たちの気持ちを察して、そこに寄り添って、笑いを提供していく仕事です。だからこそネガティブな自分がいないと寄り添えないし、抑え込む必要もないんだと思えます。無敵MCって、誰からも共感を得なさそう(笑)。

中野先生  無敵MCならAIもできるしね。私たちはもうAIと闘うようなフェイズにはいない。時間の問題で、勝ち目はありません。だからこそ、「私たちはなんのために生きているのか」ということを、改めて考える時期に入ったんじゃないかと思うんです。

『美的』読者の皆さんは、手もちのカードをたくさんもっているはず。その使い方を改めて考えるきっかけになってほしい(中野先生)

りんたろー。さん  それって「見た目が9割」というファクトに勝ち目がないのと一緒で、「私たちは何のために美容をしているのか」を考えるべきという話にもつながりますね。

中野先生  そうですね。『美的』読者の皆さんは本当に美意識が高くて、研究熱心な方が多いと思います。多分、手もちのカードもたくさんある。でも、何が自分にとっての満足なのかを意識している人は少ないのかもしれない。自分のゴールをどこに設定していいかわからなくて、しがみつくように強いカードを求めても、時代が変われば強いカードも使えなくなる。変化を前提に、手もちのカードを切る戦略が必要なんですね。相手を強いカードでねじ伏せる爽快感なんかよりも、カードの使い方を駆使しながら自分のために時間を使う方が楽しいでしょう。

自己肯定感はありすぎると危険って、なんか救いだ!(りんたろー。さん)

りんたろー。さん  僕も美容が大好きだけど、自分が心地いいと思うものを考えたとき、健康で穏やかにいられるために美容を突き詰めていきたいと思ったんです。中野先生との対談で新しい発見もたくさんありましたが、これで良かったんだと答え合わせができたものもあって。僕の中のモヤモヤをひもといて、言語化してもらえている気持ち良さが終始ありました!

中野先生  私自身のエサはそういうモヤモヤです(笑)。人間は無意識の偏見や思い込みから、自分だけは自由だと信じ込んでいるフシがあるのですが、見た目に左右される残念な認知機構からは、どなたも逃れることはできません。この残酷な現実をどうサバイブしていくか。この本がその一助になればうれしいです。

『「見た目が9割」をどう生きる』中野信子、りんたろー。


脳の「人は見た目」で判断してしまう現実にどう向き合うか。「美」にまつわる社会の課題や新時代の美容の役割など、幅広く語り尽くした対談本。
¥1,870(小学館)

『「見た目が9割」をどう生きる』 詳しくはこちら

『美的』2025年7月号掲載
撮影/藤井マルセル(t.cube) ヘア&メイク/yumi(中野さん分/Three PEACE)、美樹(りんたろー。さん分/Three PEACE) 構成/宮田典子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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