井川 遥、透明感が増していくのはいったいなぜ?『美的GRAND』カバーインタビュー
ドラマで、映画で、CMでも雑誌でも……。このひとが放つ、穏やかでいて曇りのない、独特の「空気」に、思わず目を奪われる。大人世代がずっと憧れ続けている女性、俳優・井川遥さんが、満を持して、『美的GRAND』カバーに、初登場。時を経る程に、美しさが研ぎ澄まされ、「透明感」が増していくのは、いったいなぜ? 写真から、インタビューから、その秘密に迫る!
美を更新し続けるひと
井川 遥
経験の積み重ねが生むピュアさこそが、透明感
光と影のコントラストで浮かび上がった美しさ。感情の奥行きを想像させる表情。井川さんが見せてくれたのは、今まで見たことのない、新しい「顔」。
「『透明感』と聞いて思い浮かぶのは、実直に生きているひと。たくさんの人生経験を積み重ねた上でのピュアさを持ったひとなんです。信念を持って目の前のことに真摯に向き合っているからこそ、その人から伝わってくるものが『透明』であるような気がして。今回の撮影では人、服、ヘア、メイク、空気…そういうものをぎゅっと吸収して感情の赴くままに今を切り取ってもらいました。」
俳優としての活躍はもちろん、自らディレクションするファッションブランド「loin.」も高く支持される。
「俳優という職業は、作品の中でどれだけ自分が求められた役割を果たせるか、ある意味『受け身』でもあるんですよね。作品全体のひとつとなって1度限りしかないそのシチュエーションにすべてを集中させる。それに対して服作りは、何もないところから生み出す『自己発信』。何度も手直しを現場で行い修正していく……。対極にある両者を自分の中で『循環』させることで、それぞれのエネルギーが生まれる感覚があるんです。私の手を離れてから、演じる仕事は観てくださった方の、創る仕事は着てくださった方の、大げさかもしれないけれど、心に、生活に、彩りや活力を与えられたらいいなと」
真摯に向き合う姿勢。循環が生むエネルギー。圧倒的な透明感が、ここに。
“出会う人や感じたことを大切にして近い将来に繋げていきたい”
新しい自分と出会うことで美が更新されていく
「実は、自分の個性を意識したのはこの10年ぐらい。子育てを通して変化しなくちゃいけない自分とそれでも変わらないもの。限られた時間の中で目いっぱい取り組んでいると得意も不得意もくっきりしてきて。子どもたちの個性を見つめる中で私自身のことも客観的に見つめるようになりました。そしてこうしたらうまくいく、こういうものがあったら快適、と日常を豊かにするものやことに私は興味が強いんだと気づき始めたんです。そんな中、40歳から始めたブランド。自分のひらめきを手を動かして形にし、創意工夫することはワクワクするし、その先に着てくれる人の喜びがあるのはなんて嬉しいことなんだろう。自分らしさが生かされるのは幸せなことと感じるようになりました」
自身に対しても「創意工夫」の毎日。
「体作りやケアもどんなふうにすればいいのか、知ること、アレンジすることにとてもマニアック。自分と対話しながらよかったことは身近なひとに伝えたくなってしまうんです」
日々新しい自分に出会いながら前に進み、その積み重ねを楽しむひと。
「大切にしたいことを見つめ直すことで新しい可能性が見えたり、今あるものやなんとなく済ませていることにも改めて注目することで、続ける努力が必要と気づいたり。最近は『気になったらまずやってみる』がモットー。その日出会う人や感じたことを大切にして近い将来に繋げていきたいと思うから」
いがわ・はるか/1976年、東京都生まれ。俳優としてドラマ、映画などに出演する他、ファッションブランド「loin.(ロワン)」のディレクターとしても活躍。現在放映中のドラマ『罠の戦争』(カンテレ制作・毎週月曜22時〜)に出演。
『美的GRAND』2023春号掲載
撮影/高木健史(SIGNO) スタイリスト/池田奈加子 メイク/水野未和子(3rd) ヘア/hiro TSUKUI(Perle Management) 文/松本千登世
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。