ボディケア
2009.9.25

ゲラン 新フレグランス発表会

調香師って知っていますか? そう、香水をつくる人のことです。ものすごい鼻のよさで数千もの匂いを嗅ぎわけるなんて、そこには情熱大陸的な熱さがあるに違いない…と、常々興味深くて、フレグランスの発表会に行く度、うまくいけば話をし、できなければじっと観察(怪しい?)していたのですが、今日はその調香師と会える発表会。

しかもそれが、フレグランスメゾンとしても名高いゲラン初の、一族以外から迎え入れた調香師。180年以上ものゲランの歴史の中で、代々一族が引き継いできたポストに、新しい風が吹き込むなんて、どんな変化が見られるのかが、最大の興味でした。

いざ会場へ。まず、芸能人・美容有名人集団がエレベーターから降りて来るのに遭遇。さすがゲラン…と、すでにラグジュアリーっぷりにめまいが。そして新フレグランス「イディール」とご対面。もう、ご対面の前から、香りが空気の中に溶け込んで、アップな気持ちに…。

そう、「これ、何の香り?」と尋ねずにはいられない、若々しいのに、地に足のついた、意思のある香り。花だけど何の花? バラ、すずらん、あとは? ブーケになっていてすぐに判別が付かないし、肌に吹きつけてクンクンしていると、ほどなく、私が勝手に焚き火の香りと呼んでいるパチュリがほのかに。暖かく、ちょっと渋さがあって、それがフレッシュな部分を引き立てる、深みのある香りをつくり上げていて。地に足付いてる感、一本筋の通った女性を思わせます。

作った調香師とはどんな人物? PRの方に通訳していただいて(ちなみにフランス語です)、インタビューにチャレンジ。すると、5代目調香師のティエリー・ワッサー氏は、とってもチャーミング。ひたすら香料をかぎ、香りを構築していくという、職人的なイメージとはちょっと違って、オープンマインドなオーラのある人。シャツやネクタイのセンスも華やか。この現代的な香りを作り出したのは、この人だったのか! と、子供を見て、親の顔を見たような気持ちに…。「恋をしたときに贈るブーケをイメージした香り」と話しながら、「恋をしたとき、何の香りをつけているの? と聞かれたいでしょう?」と笑みを浮かべて…。

なるほど、複雑なブーケの香りに、何だろう? 何だろう? という気持ちにさせられたのは、まんまとワッサー氏の思惑通りになっていたわけでした。創作のインスピレーションとなったのはギリシャ神話。塔に幽閉された王女ダナエに恋をした神ゼニスが、黄金の雨に姿を変えて塔に入り込み、恋をかなえるというもの。テーマは「LOVE Dream」。フレグランスには不変のテーマに、この香りはまさに直球。「イディール」はフランス語で純愛の意味だそうで、これも然りです。

ワッサー氏に写真撮影をお願いしたら、バックに暮れゆく窓辺を選び、シックな雰囲気でポーズを。撮ったショットを見せて、薄暗いのでは? と尋ねると、この感じが素敵(という意味のことだと思う、たぶん)と言っておられました。

香水といえば、ルックスが大きく貢献するところ。見た瞬間、ガーン! とやられてしまう、このなめらかなフォルム、この親はどんな人? と、ボトルデザイナーのオラ‐イト氏とも会話にチャレンジ。若々しくいたずらっぽい笑顔で迎えてくれた彼は、「黄金の滴をイメージしているけれど、それはつまり女性の身体のラインなんだ」と話す。直観的に女性らしさを感じさせてしまう、不思議なオーラを持つボトルのように、彼も、シャープな直観に満ちた人であろう、知的な眼差しでとっても魅力的。もう真っ暗になってしまう! というこちらの心配をよそに、夜景バックの撮影を希望されて、撮ってみたらそれも彼のシャープさが際立って素敵。クリエイティブな人は写真の直観もあるのかも。

クリエイティブの人柄があまりに興味深くて、話が長くなりましたが、新しいフレグランス「イディール」は、フレッシュなイメージにあふれた香り。ゲランを濃厚なフレグランスいっぱいのメゾンだと思っていたら、いい意味で裏切られるはず。発売日は10月2日。老舗メゾンに新しい風を吹き込んで生まれた、魅惑の香りにぜひご注目を!

ゲラン 「イディール」(オーデパルファン/50mL・11,865円) 10月2日発売
[HP]http://www.guerlain.co.jp/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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