齋藤薫の馨る女 EX
2018.7.22

運命の人は自分で見分けられる!【齋藤 薫さん連載 vol.76】

マッチングアプリなどが流行る時代。ただ、そのシステムを使わずともちゃんと運命の出会いを果たす男女もいます。「あっ、この人だ!」と思える、その根拠はどこからくるのでしょうか? そして、出会うことがゴールじゃない!お互いを高め合って、人生をとてつもなく素晴らしいものにするための生き方を薫さんに教えてもらいます。

201808gp104-105_%e3%81%8b%e3%81%8a%e3%82%8b%e5%a5%b3

お互いをトロフィーと思い合い、敬い合い、だから高め合える、類い希な“有能カップル誕生”に、思うこと

“トロフィーワイフ”と言う言葉がある。言うまでもなく、社会的に成功を手にした男性がその証として手に入れる若く美しい女性……。逆を言えば女性の方も自らを丁寧に磨きこんだ成果として、自分自身がトロフィーになるのは理屈抜きのサクセス。見事に利害関係が一致する。
わかりやすいのは、IT長者が女優やトップモデルを妻にするというパターンだが、つい先日の熱愛報道に見えたのは、それとは全く趣の異なる関係性。形としては確かに、ITの成功者とトップ女優の輝かしい組み合わせ。でも、不思議にそういう見方にならないのは、やはり“石原さとみ”という人の存在の重厚感のなせる技だろう。ましてやお相手の方が、IT系起業家では極めて稀有な、女っ気ゼロの人でそれ自体が不気味がられるほど。ずっとその気が熟すのを待っていたのかもしれない。他のどんなトロフィーもいらない。石原さんでなければいけなかった的に。

改めて思い知るのは、石原さとみという人は、単に“皆がなりたい顔を持ったキュートな女優”ではないということ。ちょうど今から10年前、「パズル」と言うドラマを見て度肝を抜かれた。役どころは、謎解きの天才で高校教師。一見清楚でしとやかだが、本性は傲慢でがめつく、素行も悪い。金に目がなく、男は容姿よりも資産。強気の反面、危機的状況に陥るとなりふり構わず逃げ腰になる……若い女優にとっては半分“汚れ役”的なヒロインを演じていて、この人一体何者?と唸ったもの。大変な才能であると。この時二十歳そこそこなのに、言葉は悪いがある種“怪演”とも言いたくなるほどの名演技。調べてみたら既に映画の新人賞やら助演女優賞やらを取りまくっていた。心底、末恐ろしさを感じたものだが、正直ビジュアル的には未知数だった。それがしばらくすると、美しさ可愛らしさでも頂点を極めてた。だから思ったのは、この人は知性で自分を進化させられる類い稀な才能の持ち主であること。女優としても、女としても。自分自身をどんどんと前に進められる稀有な女性であると。
だって「シン・ゴジラ」 を見ただろうか。日系アメリカ人の合衆国特使の役で、英語と日本語が混じった早口の超絶技巧は見る者を圧倒した。まさに怪演。40代でアメリカ大統領になるのを目指している女という奇想天外な設定にも、不思議に嘘くささを感じないほど、ただならぬ人物に見えた。そういう超実力派女優が、なりたい顔でもNo.1って、これはかなり奇跡的。正直私たちが思っている何倍も、この人は大物なのだ。何十年に1人の、というくらい。そこまでの存在だからこそ、逆にトロフィー男子を手に入れたのだとしても違和感はない。誰もが納得するだろう。

ところがこの男性の方も、ただのIT系ではなかった。元外資系証券会社勤務のエリート。でも5年も彼を待ったというDeNAに入社。瞬く間に関連会社社長。有能さでも人柄でも、また人間力でも信じられないほど評価が高い。女子人気もすこぶる高く、こちらもまた負けていないほどただならぬ存在。
つまりこれは、大層な組み合わせ。お互いがお互いをトロフィーと思い合い、敬い合い、だから高め合える、類い希な組み合わせ。極上の関係がそこに成立している。これが成就すれば、恋愛に価値を見出せなくなった国、日本の男女に新しいテーマを投げかけることになるはずだ。お互いを、これまでの“人生の成果”にし合える関係ほど素晴らしいものはないと、彼らを見て改めて思い知ったのである。

日々、真剣な生き方をしていれば、必ずわかる。「あ、この人だ!」って。そして、お互いを進化させ合う、スゴイ人生が始まる

今まさに、出会い方の主流となったのが”マッチングアプリ”で、遂にFacebookまでがマッチング機能を搭載した。その始まりが女子学生の格付けだったこで顰蹙を買ったFacebookだが本当にしたかったのはこれではないかと今更ながらに言われている。でも裏を返せば、良い出会いを果たすのは世界的にも難しいという証。世の中は“自分に合う人”と都合よく出会えるようにはできていないから。ただ、実際にはマッチングなど使わずとも、ちゃんと運命の出会いを果たす男女がいる。たまたま運がよかったのでも、首尾よく占いが当たったのでもなく。ではなぜ?ちゃんと生きている人には見えるからなのだ。「あ、この人だ!」と。

IT業界でも最大級の注目を浴びる天才、30歳で独身。境遇的にもとんでもなくモテるはずなのに、全く女っ気がないことが逆に話題になっていた前田裕二氏は、今、人生の指南者としても絶大な支持を集める人。「人に負けたくないのではなく、あくまで自分に課された“運命”に屈したくない。逆境に屈せず、どこまで高みに昇れるのか、自身の人生を通じて証明したい。これが、自分の根源的なモチベーション」とインタビューで語っていて、それも、8歳までに両親とも失い、小学生にして路上ライブで稼ぐという壮絶な人生を既に生きてきた人だから、リアルに胸打つ言葉だ。堂々、運命は自ら切り開くものと言う言葉がこれほど似合う人もいない。一体何をすれば、人生の勝者になれるか、それを20代、いや10代のうちに知ってしまったから、運命の人に会えば、あ、この人だとわかっても不思議じゃない。初めての熱愛報道にさして慌てる様子がないのも、それが運命だから?
実際、政財界、スポーツ界の成功者には、1人の女性を一途に愛し、相手が自分を見てくれるまで待って待って思いを遂げ、添い遂げた人が実は少なくない。自分は人生において何をすべきかがきちんと見えている人は、必ず自分で運命の人を探しだす。仮に相手が別の結婚をしても確信があるから待っていられる、というくらい……。

じゃあなぜ運命の人がわかるのか? “あ、自分はこの人を知っている”、“相手が言う言葉を、自分もかつて言ったことがある”、“相手と自分は同じ目をしている”、そう気づくのだという。様々な不思議がそこに突如現れて運命を知らせるのだ。何かのインスピレーションなのか、前世の記憶なのか、はたまた現実に人生の青写真の読み取りなのか、どちらにしても見える。感じ取れると言うのだ。
でもそれ、特別な人だけに許されたことじゃない。自分の人生を丁寧に丁寧に生きていれば、必ず見える。自分がすべきことを常に考え、それを行動に移す真剣な生き方をしていれば、必ず探せる。日々をぼんやりとやりすごさない、ともかくほぼ365日全身全霊で生きることが、運命の人を自分で見分ける絶対のテクニックなのである。

ちなみに運命の出会いを果たせる“彼ら”は、人一倍人生を緻密に生きてきたから、早々と人間を知り、世の中を知って、会話の材料も若いうちから一生分積み上げてきたはず。だから運命の人同士、初対面での会話が異常なテンションで、三日三晩話し続ける、みたいな傾向にあるらしい。その後も、常に濃厚な会話を重ね、会話するほど人間は磨かれ、日々高め合うから、二人して進化していき、いよいよ他の人では物足りなくなっていくのだろう。結果ますます心が離れることなく、年々絆を深めていく。一緒に高みに昇れるのだ。そこに生まれるのは、この上なく尊い高次元の幸せ。運命の人との出会いは、出会うことがゴールじゃない。出会ってからの高め合いが、人生をとてつもなく素晴らしいものにする。そこまでを知っておいてほしいのだ。

かくして運命が結ぶ男と女は、会話で出会い、最後まで会話で深め合う。だから、まずはひたすら極上の会話相手を探そう。それが人生レべルの幸せに直結していくことを心に刻みつけてほしい。最近の熱愛報道に見る、見事に喋りの達者な二人の運命の出会い、本当に成就してくれれば、この仮説を証明できるのだが。

 

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。「Yahoo!ニュース『個人』」でコラムを執筆中。『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、「The コンプレックス 幸せもキレイも欲しい21人の女』(中公文庫)など多数。

『美的』8月号掲載
文/齋藤 薫 イラスト/緒方 環

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter google+ Pocket

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事