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2015.2.17

大高博幸の美的.com通信(274) 『くちびるに歌を』『きっと、星のせいじゃない。』『女神は二度微笑む』 試写室便り Vol.87

© 2015 『くちびるに歌を』製作委員会 ©2011 中田永一/小学館
© 2015 『くちびるに歌を』製作委員会 ©2011 中田永一/小学館

十五歳のあなたへ。かつて、十五歳だったあなたへ――。
孤独なピアニストと離島の生徒が奏でる最高の<合唱(うた)>。
くちびるに歌を』 (日本/132分)
2.28 公開。www.kuchibiru.jp

【STORY】 長崎県・五島列島の中学校。ある日、天才ピアニストだったと噂される柏木ユリが 臨時教員としてやってくる。合唱部の顧問となった柏木は、コンクールに出場を目指す部員に、“15年後の自分”へ手紙を出す課題を出す。そこには、15歳の彼らが抱える 悩みと秘密が綴られていた。その手紙は 悲しい過去からピアノを弾けなくなっていた柏木の心を動かして…。(試写招待状より)

試写招待状のスティル(右のチラシとは異なる写真)を見た瞬間、「昭和20年代の物語?」と想ってしまったのですが、本作は 物語の展開上、携帯電話が重要な役割を果たす現代劇。原作は、2012年の小学館児童出版文化賞を受賞した 中田永一の同名青春小説。
「どうして、こんなに」と不思議に感じたほど、涙が溢れ続けた映画です(補助席まで満員となった試写室では 泣いている方が非常に多く、特に男性ジャーナリストさんたちが目立って泣いていました)。「私のピアノは人を不幸にする」という柏木顧問(新垣結衣)の頑なゝ思いと、クライマックスの感動を高める要素=「妊婦(木村文乃演ずる産休中の音楽教師)の特異な体質が出産を難しくするだろう」という伏線とが、共に やゝ弱く感じられはする…。しかし、中盤からラストに向けて、合唱部の少年少女たちの 真っすぐな心、ひたむきさ、懸命さに胸を打たれ、観客は誰もが感情移入してしまう…。それだけの説得力のようなモノが、本作には あったのです。
メインとなる少年(下田翔大)の母親役を演じている木村多江(右下のスティル)が、ごく自然に いゝ味を出していました。監督は『ホットロード』の 三木孝浩。

 

きっと、星のせいじゃない
(C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX

生きていれば傷つくこともあるけど、
その相手は選べる。
君に傷つけられたら本望だ。
きっと、星のせいじゃない。』 (アメリカ/126分/PG12)
2.20 公開。Kitto-hoshi.jp

【STORY】 ヘイゼル・グレースは 末期のガン患者。今は奇跡的に薬が効いているけれど、学校にも行けず、友だちもなく、酸素ボンベが手放せない。ある時 ヘイゼルは、両親に言われて いやいや参加したガン患者の集会で、片脚を切断して骨肉腫を克服したガスと出会う。ガスは 独自の感性が光るヘイゼルに恋をするが、ヘイゼルは 彼を傷つけまいと頑なに距離を置く。そんな彼女に、素晴らしい贈りものをするガス。ヘイゼルが大好きな作家にメールを送り、返信をもらったのだ。二人は作家に招待されて、オランダへ行くことになる。ヘイゼルが知りたいと切望する、彼の小説の“その後”を教えてもらうために。誰よりも好きなのに、“友だち”として旅立つ二人。だが、彼らを待っていたのは…。 (プレスブックより。一部省略)

“不治の病と恋がテーマの青春映画”と聞くと、僕は引いてしまうのが常ですが、本作の少女と少年の健気さには 心が洗われる思いでした。ふたりとも周囲の人々に心配りができる性格で、しかも幼さが自然に表れる言動に好感を抱きました。「誰か ひとりでも自分のコトを憶えてくれていれば、それで幸せ」というストーリーのコンセプトが、強いインパクトを放つところまで到達していなかったコトは残念でしたが…。
主役のヘイゼルには『ファミリー・ツリー』の美少女:シャイリーン・ウッドリー、ガス役には『キャリー』の アンセル・エルゴート。共に ティーン・チョイス・アワードの主演賞に輝いています。オランダを訪れた ふたりのディナーの場面が とても愛らしく、アンネ・フランクの隠れ家を訪れる場面も印象的でした。
原作は「ニューヨーク・タイムズ」の2012年度ベストセラーリスト第1位となった ジョン・グリーンの小説で、この映画は 全米オープニング興行成績 No.1ヒットを記録しています。監督は 新星:ジョシュ・ブーン。
P.S. ヘイゼルの母親役の ローラ・ダーンが好助演。かなり難しい役だったと想像しますが、映画全体を しっかり支えた彼女の演技は、称賛されて然るべきです。

 

re女神は二度微笑む:チラシ表面 緻密な伏線、壮大なトリックが
予測不可能なサプライズを呼ぶ、
失踪ミステリーの<驚愕の真実>とは?
女神は二度微笑む』 (インド/123分)
2.21 公開。megami-movie.com

【STORY】 コルカタの地下鉄で起きた毒ガスによる無差別テロ事件から2年。失踪した夫を捜してロンドンからコルカタにやって来た身重の妻は、地元警察と共に捜索を開始するが、手がかりはゼロ。迷宮の街の路地裏のような謎が広がるなか、やがて夫に似た男の存在が浮かび上がってくる…。(試写招待状より)

歌わない踊らない インド映画最大の話題作。混沌とした熱気が渦巻く巨大都市 コルカタ(旧名:カルカッタ)に展開する サスペンス・エンターテインメント。謎が謎を呼び、意外な事実が次々に浮上するという内容で、衝撃的なドンデン返しがラストに用意されています。
123分という長尺ながら、体感時間が短く感じられる出来。僕は 松本清張の『ゼロの焦点』や『張込み』、そしてまた 江戸川乱歩の怪奇小説の味を感じつつ鑑賞しました。
主役(ヴィディヤ役)の ヴィディヤー・バーランの演技は 繊細かつ力強く、警察官には珍しく柔和な性格のラナを演ずる パラムブラト・チャテルジー、職務遂行力に長けているカーン警部役の ナワーズッディーン・シッディーキーが熱演。少々気になったのは、物語の展開上、特に重要性があったとは思えない子供(ホテルで使い走りをして働く少年)の場面が なぜか相当 多かったコト。これは インドの観客の嗜好を満たすための 約束事のひとつなのかも…。
監督は、本作で フィルムフェア賞 最優秀監督賞を受賞した スジョイ・ゴーシュ。

次回の試写室便りの配信は3月上旬、注目作『パリよ、永遠に』etcを紹介する予定です。では!

 

 

 

 

 

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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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