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2026.5.23

【向坂くじらさん連載】見えないものの美|そうでないものの美 Vol. 02

詩人・小説家の向坂くじらさんによる連載が『美的』6月号よりスタート! 第2回目のテーマは「見えないものの美」です。

EDIT: 美的編集部

美的編集部

美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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SOURCE: 美的 2026年6月号

2026年6月号

6 月号

4月22日頃発売 ¥1,610

『美的』6月号は、いよいよ気温が上がり紫外線が増えてきた季節にも、透明感あふれるツヤ高い肌作りを全力応援! 豪華なコス…

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詩人・小説家

向坂くじら

Vol. 02/見えないものの美

運針

かつて 母が布いっぱいにちりばめた

星空の刺繍を指におぼえて育ったからか

夜いっぱいの星たちだって 裏がえしたら

一本の糸で結びあわされているような気がして

駅前では若い女の子どうしが

手をつないだまま言いあらそいをしている

男の人がベビーカーを抱えている

あなたがわたしを待っている

ねえ こころも裏がえしたら

わたしたちのあいだの

暗やみにあるのではないかしら

ちっぽけな体の中なんかではなく

そう言いたくて 言いたくて急いでいく

わたしがひとつの星


ひとりで外を歩いていると、わたしにはときどき、自分の体がこの上なく美しいものに思われる。そして、そのことに自分自身でおどろく。おかしなことに聞こえるかもしれない。もちろん、前を向いて歩いているあいだは、自分の体はほとんど見えない。それでもなお、美しいと思う。おでこや頬に風が吹くと、冷たさで顔がはっきりしてくる。だいたい歩くという動作の、わたしが意図しているものであるのに、同時に体自身がひとりでに動いてもいるかのようなふしぎさ。そして、そのときわたしはわたしを含め、だれにも見られていない。それが、わたしを魔法のように美しくすると思えてならないのだ。

そこからつい、では、見る・見られるという関係を外れたところにも美しさはあるだろうか、と考えたくなる。そのようなものを思い浮かべるのはむずかしい。ひとつのメロディはどうだろう。けれど同じように、だれにも聞かれずして美しい音のひびきもあるかもしれない。それからまた、ひとつの心はどうだろう。だれにも明かされず、ひとりの胸にしまい込まれた心のうちにも、美はないのだろうか。そんなふうに考えをめぐらせていると、そうだ、ないはずがない、と、わたしはまっすぐ立ちたいような気持ちになる。鏡の前に立ってしまえば欠点だらけの体で、しかし踊ってみたいような気が起こってくる。

\過去連載もお見逃しなく!/
「そうでないものの美 」

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT: 美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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イラスト: たなかみさき

構成: 渋谷香菜子

SOURCE: 美的 2026年6月号

2026年6月号

6 月号

4月22日頃発売 ¥1,610

『美的』6月号は、いよいよ気温が上がり紫外線が増えてきた季節にも、透明感あふれるツヤ高い肌作りを全力応援! 豪華なコス…

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