内田有紀さん「日々の時間をいとおしく思えるように生きることが、美しさを育むと思う」|美的GRAND
30代は先を見ようとしなかった。40代は悩みや不安と向き合うようになった。そして50歳で迎えた、人生のいくつかの転機。今夏、地上波ドラマに主演。喜びも、悲しみも積み重ねてきた月日は、ゆっくりと、でも確かに、自信と美しさを育んでいる。
内田有紀|酸いも甘いも、抱きしめて。

目元に色、口元はヌーディが気分。セルフケアは、やりすぎず、毎日続ける。日々を楽しみながら、肌や体の持久力をつけていきたい

トップス¥440,000、パンツ¥286,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン〈ジョルジオ アルマーニ〉) イヤーカフ¥112,200、ネックレス[短]¥207,900、ネックレス[長]¥110,000、ブレスレット¥223,300(ヒロタカ 表参道ヒルズ〈ヒロタカ〉)
撮影でグレーの衣装に合わせたのは、同系色のアイカラー。グレーを少し濃く入れるメイクが気に入っているという。
「少しずつまぶたが下がってきて、気づくと撮影で目に力が入りがちに。それが年齢に抗っているようで悔しくて(笑)。最近は濃いめの色で目元に奥行きを出すのが好きです。若い頃の私だと化粧っ気が強く見えていましたが、今の年齢だからこそ似合う気がしています。目元はしっかり、唇はヌーディというメイクが今の気分です。普段のアイメイクはベージュ系中心でしたが、最近1950〜’60年代のメイクに触れる機会があり、当時主流だった青や紫のアイシャドウがとても新鮮でした。伏し目になると色がキレイに見えるのが素敵で、気分を上げてくれる色のメイクにも挑戦したくて。ただ、上手に入れないと大人は表情がきつくなることもあるので、目下、研究中です」
年齢による顔の変化はメイクを味方につける。その土台となる肌や体のケアも怠らない。しなやかでヘルシーなスタイルを維持する内田さんにとって、「夏は体を絞るチャンス」だそう。
「衣装で突然タンクトップを着ることもあるので、毎年夏になると焦って始めるんです。優先しているのは自発的に汗をかいて代謝を上げ、血流を良くすること。家事や散歩をするときはサウナベルトをおなかや太ももに巻くんです。サウナベルトは2,000円くらいで買えるもので十分。じわじわと汗をかいてスッキリできる気がしています。筋トレは三日坊主になりがちなので、家で“ながら”でできるケアを取り入れています」
毎日5分間、両腕を大きく回して肩胛骨を動かす。朝と夜、10分ずつヨガをする。それは「5〜10分なら苦にならないから」。忙しい中でも「続けられる」セルフケアをしている。
「夏は保冷剤を保冷バッグに入れてもち歩いています。お芝居でテンションが上がったり、冬服を着たりして汗をかきそうなとき、わきの下などに保冷剤を仕込むと顔周りは汗をかかずに保てますし、首の頸動脈の辺りを冷やせば顔のむくみも取れやすいので助かっています。20代から続けているのがコットンパック。ポイントで保湿もできますし、コットンは必ず家にあるので思い立ったときにできますから。これがないとできないというケアだと怠け者の私は本当に続けられないので、手軽にできる方法で、その代わり毎日続けるようにしています。何もしないのは良くないけれど、やりすぎずに無理なく続けることが、今の年齢でのセルフケアでは大事な気がしています」
日常にあるもので手軽にケアを続けること、食べることも大好きで「遅い時間に食べるときもおいしく頰ばる(笑)」こと。内田さんの自然体で完璧すぎないセルフケアから、自分を慈しむ心地よさが伝わってくる。
「夏に体を絞るのも、食べたいものを食べたいときに罪悪感なしで食べる自分でいたいからなんです。時には仕事でストイックにケアすることもありますが、普段は好奇心や欲望を我慢しすぎて冒険できないのはつまらないので、さりげなく頑張りながら、肌や体の持久力をつけられたらと思っています」



ジャケット¥94,600、パンツ¥57,200(YOHEI OHNO) イヤーカフ[ダイヤ]¥110,000、イヤーカフ[ダイヤ×ゴールド]¥71,500、ブレスレット[シルバー]¥105,600、ブレスレット[ゴールド]¥143,000、リング[右手薬指]¥79,200、リング[右手中指]¥385,000(ヒロタカ 表参道ヒルズ〈ヒロタカ〉) その他/スタイリスト私物

たくさん間違えてきたから今がある。いくつになっても新しい景色は見える。
日々の時間をいとおしく思えるように生きることが、美しさを育むと思う

シャツ¥121,000、スカート¥185,900(イザ〈パトゥ〉) ピアス[左耳]¥667,700/両耳価格、リング¥700,700/参考価格(TASAKI) サンダル¥149,600(JIMMY CHOO)
19歳で観て以来、ずっと好きな映画『恋文』や『東京ラブストーリー』などのトレンディドラマ。多感な時期に観た作品は内田さんの芝居の原点であり、その感性を形作っている。改めて見返すと、当時とは違うところに心を動かされるという。
「たわいもない会話や、主人公がただ走っているような日常のシーンで泣けたり、心が温かくなったりするんです。ふとした瞬間に訪れる心の機微がわかることが大人になることなのだと、改めて、年齢を重ねることの素敵さを感じています」
言葉にならない感情をくみ取り芝居に落とし込んでいく中で、大人世代の心に響く作品を届けたいという意欲が募っていた内田さん、今夏、ドラマに主演する。挫折を経験しながら、後悔などないようなふりをして生きてきた49歳の会社員・葵が、抑圧されながら生きる19歳年下の男性・澄晴と出会い、惹かれ合う。内田さんにとって久しぶりの恋愛ドラマだ。
「作品に彩りや深みを添える役に憧れがあり、助演を極めたいという思いがありました。それが私の性格に合っていると思っていましたが、熱意をもってお声がけしてくださる方の期待に応えていくことも必要だと感じて、主演をお受けしました。恋愛ドラマには気恥ずかしさがあり、さらに年の差恋愛がテーマですから、私で大丈夫だろうかという不安もあります。でも、私が演じる葵のように、50代はもうこのままでいいんじゃないかという思いや、酸いも甘いもわかってきたからこそ、臆病になっているようなところが私自身にもあるんですね。だからこそ演じられる役でもある気がするし、今までとは違うお芝居を試されている感覚もあって、逃げずに向き合おうと思いました。作品を通して、誰かと出会って純粋にときめく気持ちを思い出してもらえたらうれしいですね。相手役の寺西拓人さんとは現実でも20歳差ですので、母親世代の私がどこまで魅力的に演じられるかがチャレンジになると思います」
ミッドライフクライシスに陥りやすいともいわれる世代で、これまでとこれからの人生に悩み、葛藤することも多い。その中で、コツコツと積み重ねてきたことが結果につながっていること。日本では大人のドラマが少ないといわれる中のドラマ主演。心機一転、所属事務所から独立し、長年のパートナーとは家族に。50歳でいくつかの人生の転機を迎えた内田さんの姿は、私たちにとっても明日への力になる。
「トレンディドラマを観ていた頃、大人の素敵な恋愛に憧れていました。でも、いざ大人になると現実は夢見たようにはうまくいかず、泣いたり、落ち込んだりの連続でしたし、年齢を重ねても自分は完璧な人間ではないことを目の当たりすることが多かったです。50代を迎えるにあたり、私には子供がいないのでこのままでいいのだろうかという漠然とした不安もあって。まさに“第二の思春期”ですよね。そこで改めて仕事のこと、夫への感謝、将来のことと向き合い、一歩前に進めてみようと思ったんです。そうすると、本当に多くの方が応援してくださっていることに改めて気づかされました。悩んでいるときは今も立ち止まってしまうし、将来への不安が消えたわけではないけれど、自ら現状を変えてみると、何歳になっても新しい景色が見えるのだと感じています」
もう人生に変化は望めないと諦めを抱いたり、このまま現状に安住してしまいたいと思う大人世代に、その活躍は年齢に関係なく、望めば自分は変えられることを教えてくれる。
内田さんは最近、「感謝ノート」をつけている。うれしかったことがあると、鉛筆で綴っているのだという。
「些細なことでも心に残った喜びを書き綴ると、幸せは日常にちゃんとあることに気づいて感謝でき、心の中に余白ができていく実感があります。イライラしそうになると、『感謝ノートに書けなくなるからやめよう』という抑止力にもなり、嫌な気持ちも引きずることがなくなりました。いつも鉛筆や色鉛筆で書くんです。不思議と、書いているときも呼吸がしやすくて心地がいいですし、手書きすることで内容が自分の内側に浸透していく感覚があるんですね。言葉を綴ることが幸せにつながっているようで、今、いちばん好きな時間です」
「人生のギアを入れ直したところ」という内田さん。ここからさらに全力疾走して、目指すのは「かわいげのある大人」。
「これまでの人生でたくさん間違えてきたからこそ、今の私があります。時間という誰にも平等に与えられているものをいとおしく思えるように過ごしていきたいですね。そうすることで心が柔らかくなり、苦しみやつらさも笑いに変えられる。それが、その人らしい経年美化につながると信じています。時間は美しさを育み、積み重ねる程心の器も大きくしてくれるもの。年齢を重ねていく自分がこれまで以上に楽しみになっています。見てくださる方の心がふと優しくなれたり、思いを代弁できるような芝居をできているのかということを確認しながら、日々をしっかりと生きていきたいです」
Information
ドラマ『ラストノート』
年齢や経験を重ねる中で、「これ以上何の変化もいらない」と現状維持の日常を送る49歳の一瀬葵と、育った環境によって夢を諦め、抑圧された中で生きる30歳の樋口澄晴。それぞれの事情から流れるままに生きてきたふたりが、あるきっかけで出会う。互いにフタをしてきたはずの本当の思いに触れることで、運命は後戻りできないものに変わっていく…。出演:内田有紀、寺西拓人ほか 7月9日より、毎週木曜22時〜、フジテレビ系にて放送。
Profile
うちだ・ゆき/1975年東京都生まれ。,92年に俳優デビュー。近年の主な出演作に、ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』シリーズ、NHK連続テレビ小説『まんぷく』、『最後から二番目の恋』シリーズ、『華麗なる一族』、『フィクサー』シリーズ、『燕は戻ってこない』、映画『劇映画 孤独のグルメ』など。『新美の巨人たち』(テレビ東京系、毎週土曜22時〜)にアートトラベラーとして不定期で出演。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。