スキンケアニュース
2025.12.22

友利 新先生が解説! 世界のエイジングケア前線を見つめて

次々と明らかになる美しい肌の未来。老化のメカニズムを深く見つめ、先進研究から生まれる若々しい肌への歩みは、かつて想像もしなかったところまできています。

EDIT: 美的編集部

美的編集部

美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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SOURCE: 美的 2026年2月号


「究極の夢だった「若返り」がディオールのリバース エイジング研究で現実になってきています」by Arata Tomori

医師
友利 新先生
都内のクリニックに勤務する傍ら、医師という立場からさまざまな美容情報を発信し、多くの媒体で活躍。皮膚科学はもちろん、化粧品の処方にも詳しくわかりやすい解説が人気。

REPORT 1|酸素無くして、肌にハリも生まれない!?

世界で650名以上の研究者を有するディオール サイエンスは、化粧品業界をリードする新たな発見を次々と生み出していることでもおなじみ。

若々しい肌をかなえる皮膚細胞に酸素が必要であることは漠然と感じていましたが、それを科学的にしっかりと解明したのがディオール。酸素運搬体が適切に働くことで、幹細胞をはじめ、ケラチノサイト、線維芽細胞、NK細胞という主要な4つの細胞が活性化するということも今回新たにわかり、酸素によって細胞呼吸を最適化することは、肌老化を防ぐ大きなポイントであることが改めて理解できました」(友利先生)

REPORT 2|幹細胞の呼吸力は年齢と共に低下する

「幹細胞はあらゆる細胞を生み出す源ですが、年齢と共にその再生能力が衰える理由に“酸素供給の低下”が関係していることがわかりました。細胞内のいわば発電所でもあるミトコンドリアが活動に必要なエネルギー(ATP)を作り出しているわけですが、加齢によりミトコンドリアが変異し、細胞の呼吸機能が低下することで、エネルギーが減少。それこそがエイジングを進め、新しい細胞も生まれにくくなるとのこと。そこで開発されたのが、酸素運搬を活性化する“OX-Cトリートメント”です。一時的に酸素を増やすのではなく、酸素を適切に送る細胞の機能自体にアプローチすることでコラーゲン産生を増加させ、皮膚の再生能力を高めることが実証されています」

REPORT 3|肌の構造に関わる主要なコラーゲンはこの4種

25年以上にわたるディオールの幹細胞研究からたどり着いたことのひとつに、幹細胞が多く存在する基底膜から真皮にかけてのコラーゲンがあります。

「肌のハリを維持するコラーゲンにはさまざまな種類があり、大部分を占めるのは強度を保つI型コラーゲン。そのほかにはベビーコラーゲンともよばれる柔らかなIII型コラーゲン基底膜を形成するIV型コラーゲン基底膜と真皮をつなぎとめるVII型コラーゲンが主要4大コラーゲンとして挙げられます。それぞれがきちんと連携を取り、バランスよく強化することが新たなコラーゲン産生や弾力のある肌へとつながります」


垂直方向のI&Ⅲ型コラーゲン、水平方向のIV&VII型コラーゲンの組み合わせにより、美しく立体的なハリを形成。

REPORT 4|他のパーツに比べ、目元の肌はより早く老化

「目周りは頰などに比べて皮膚が薄いのはもちろん、日常的に酷使されやすいパーツです。それゆえ目元のコラーゲンは顔の他のパーツと比べて1.3倍も失われやすいという事実を聞いて納得。また、まぶたのコラーゲン密度は25歳から減り始め、75歳までの間に50%近くも減少するというデータもあるほど。私もアイケアは早くから始めた方がいいというのは常々お伝えしてきたことなのですが、このデータによって25歳からというのがひとつの目安であることがわかりました」

アイケアをスタートすべき年齢は25歳!

世界のスキンケアエキスパートも証言

京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 准教授
クヌート・ウォルツェン氏
2010年より京都大学iPS細胞研究所(CiRA)主任研究員を務め、2018年より准教授に。ほ乳類幹細胞とゲノム編集において20年以上の研究歴をもち、幹細胞を用いた遺伝性疾患の変異修復を行う新規技術の開発にも取り組む。

OX-Cトリートメントの結果は素晴らしい未来への一歩
「今回、私はiPS細胞を通してOX-Cトリートメントが幹細胞の呼吸に及ぼす影響を試験しました。結果としてミトコンドリア数を増加させる可能性がある事実がわかりました。これは、リバースエイジングという旅路のとても興味深い一歩だと思っています。この仕組みをさらに解明することで、これからのエイジングケア研究を大きく躍進させることにつながるのではないかと期待しています」

スタンフォード大学
ヴィットリオ・セバスティアーノ氏
2010年より京都大学iPS細胞研究所(CiRA)主任研究員を務め、2018年より准教授に。ほ乳類幹細胞とゲノム編集において20年以上の研究歴をもち、幹細胞を用いた遺伝性疾患の変異修復を行う新規技術の開発にも取り組む。

細胞の再活性化が新たなムーブメントを起こす
「これまでは細胞が老化すると、その機能自体が物理的に失われるのではないかと考えられていました。しかし今回の研究結果を通じ、老化したとしてもその機能自体はまだ生きていて、再活性化する適切なツールを用いることによってもう一度元気にすることが可能ということがわかりました。OX-Cトリートメントによる適切な酸素管理は、表皮と真皮の再生力も向上させるというデータを導き出したのです」

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT: 美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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撮影: 塩谷哲平

イラスト: green K

構成: 安井千恵

SOURCE: 美的 2026年2月号

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