「肌に良くない」とされる化粧品成分の真実|無添加の方がいいと言われがちだけれど…
化粧品には美容成分だけでなく、たくさんの成分が配合されています。その中でも気になるのが防腐剤や香料、界面活性剤など、あまりいい響きではない成分。実際、肌にとってはどうなのでしょう?
「無添加の方がいい」と言われがちだけれど…
肌に良くないとされる化粧品成分の真実
「考え方次第の場合もあります」
地球環境を守るという観点と混同されがち
成分の善し悪し以前に、天然のものが良くて合成が悪い、という一般的なイメージも根強く存在しています。
「オーガニックコスメブランドにおいては、石油由来のもの、自然界に存在していない合成のものを避ける傾向にあります。Webに出ているオーガニック認証の基準を読むとわかるのですが、これは“自然環境を守る”という観点においてのこと。合成イコール肌に悪いという意味ではありません」と岡野さん。石油由来原料は、二酸化炭素排出低減の観点から近年向かい風が強くなってきていますが、安定性が高く安価な原料であることから、すべてを排除するのは難しいそうです。
これを踏まえ、悪いイメージのある成分について教えていただきました。
防腐剤 適度な配合量であればむしろ使用すべき
「過去に防腐剤を多量に入れた製品があり、肌刺激が多く発生したことからマイナスイメージをもたれがちですが、本来は品質保持のために積極的に使用すべき。現在、防腐剤の多くは配合上限が公に定められています」(岡野さん/以下同)
界面活性剤 種類と量、使い方によって肌への刺激は異なる
「界面活性剤は汚れを落としやすくしたり、水と油を乳化させるのに必要ですが、配合量が多いものを肌に長時間のせていると、バリア機能を壊す原因に。良質な乳液やクリームに配合されている分はまず問題ありません」
香料、着色料 種類と肌質によってはアレルギーを起こすケースも
「香料や色素によるアレルギーは、種類によって一定数報告されています。肌に不要なものをつけたくないという考え方なら無香料・無着色を選ぶといいと思います。ただ、香りには脳に届いて自律神経に作用するなど利点も多いです」
鉱物油 安定性が高く感触も良く、肌にとっても悪くない原料
「石油由来だから肌に悪いという先入観があるようですが、安定性が高く、感触が良く閉塞性に優れ、かつ安価な良い原料だと思います。ただ、高度に精製されているためコスメの個性が出にくい一面も」
シリコーン 現在の化粧品のシリコーンで毛穴が詰まることはない
「過去には毛穴が詰まるなど安全性の観点、また環境への悪影響も懸念されていましたが、その後データの集積が進み、現在は正しく使われている限りどちらも問題ないとされています」
『美的』5月号掲載
撮影/渡邉宏基 監修/岡野利彦(カラーズ) イラスト/浅生ハルミン 構成/大塚真里
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
スキンケアを中心とした化粧品の研究開発に約20年携わる。成分・処方の高い専門性をもち、サイエンスと植物の可能性を追究。