俳優・鈴木亮平さん「力が試される悪役は役者冥利に尽きます」｜映画『孤狼の血 LEVEL2』スペシャルインタビュー

今年注目の鈴木亮平さん出演の映画「孤狼の血 LEVEL2」。演じる上で鈴木亮平さんが心がけているこだわりとは？

極悪非道を正気でやるから怖い―。力が試される悪役は役者冥利に尽きます

必ず天誅が下ってほしい。そう願う程、スクリーンの中の鈴木さんは残忍で極悪で震えた。警察と暴力団の攻防を描いた今作『孤狼の血 LEVEL2』で演じる“最凶最悪のヤクザ”上林の凶悪さは、早くも日本映画史に残るといわれる程。鈴木さんがこれまで演じてきた役とのギャップは半端ない。

「ここまで強烈な悪役のオファーをいただけて、役者冥利に尽きます。悪役は、役者としての共感力が試されるんです。自分と役の正義がかけ離れているときに、どれだけ自分が役の味方になれるか、それができないと見てくださる方にも失礼になる、という部分でも演じがいがありました。僕の中の負の要素をぶつけています（笑）」

何が彼を凶悪にさせるのか。映画に描かれていない部分まで掘り下げて考えた。ときに、自分の何かを削られるようなきつい思いをしながら演じた上林は、狙った人間の追い詰め方、命の奪い方、すべてにおいて残忍酷薄。

「芝居では、特別怖く見せようとはしていないんです。狂っていない、正気だからこその恐ろしさがあるので、普通に存在するだけで恐怖が伝わると思いました。（松坂桃李さん演じる）日岡は刑事なのに平気でうそをつきますが、実は上林の行動にはうそがない。そういう意味では、彼は最も人間くさい存在かもしれません。今作は僕にとって、ある意味、転機にもなった作品だと思います」

幅広い役を感じ、演じるために、日頃から健康には気を遣う。今、「腸内環境を整えるように意識している」という理由も、知的な鈴木さんらしい。

「人類は火を使うことで進化しましたが、火で焼いたものを食べることで消化が良くなり、それまで消化に使っていたエネルギーを脳に使うことで文明が発展したといわれています。そう考えると、腸内環境は非常に大事なんだな、というわけで今、毎日乳酸菌をとっています（笑）」

空の青さ、思いがけず出合った夕焼けの美しさに「東京も自然の中にある」と感じて癒されるという。空のほかに美しさを感じるものを尋ねると、「悪い男（笑）」と答えた。

「悪い男には色気があるといわれますが、今作の暴力組織の男たちは衣装もスタイリッシュです。むせ返るような色気とバイオレンスのエネルギーを楽しんでもらえたら！」

It’s my it！

アクリル絵の具

最近使い始めたら、水に溶けるのに乾くと耐水性があり、水彩や油絵風にも描けるし楽しい。絵は描いていると無心になれます。

ヨルダンのペトラ遺跡

世界遺産好きとしては『美的』読者にオススメ。美容大国ですし、死海周辺は標高が最も低く、酸素濃度が濃いので天然の酸素カプセル感覚です！

【Movie】『孤狼の血 LEVEL2』

（c）2021「孤狼の血LEVEL2」製作委員会

3年前、暴力組織の抗争で殺害された伝説の刑事・大上の遺志を継ぎ、刑事の日岡は広島の裏社会を取り仕切っていた。だが、悪魔のような男・上林の出所でその危うい秩序がくずれ、日岡は窮地に追い込まれていく。
監督：白石和彌　
出演：松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎ほか　公開中

Profile

すずき・りょうへい／1983年兵庫県生まれ。2006年に俳優デビュー。NHK大河ドラマ『西郷どん』など主演作多数。放送中のドラマ『TOKYO MER～走る緊急救命室～』（毎週日曜21時～、TBS系）に主演。近藤勇を演じる映画『燃えよ剣』が10月15日に公開予定。世界遺産検定1級をもつ。

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