健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2020.8.26

リモートワークだからこそ! “優しい言葉”を送れる人になろう|優しい気持ちにさせてくれるメールのポイントは?

美容の大先輩たちからの一言一言が、『美的』編集部で評判! リモートワークで改めて思う、「言葉」の大切さ。トータルビューティアドバイザーの鈴木ハル子さんと、美容エディターの松本千登世さん、言葉のプロフェッショナル2人に教えてもらいました。

メールで“優しい言葉”を送れる人に

慣れや技術でまとめず普通の言葉で思いを伝える

リモートワークが定着する中、メールで伝えることの難しさを改めて実感します。業務連絡のみだとそっけなくなり、ちょっと砕けてみるとかえって残念な印象を与えたり。必要なことを、相手への気遣いや信頼と共に伝えることは難しいもの。

実は『美的』編集部には、お手本にしたい程優しく温かいメールが届きます。送り主は、『美的』読者からも絶大な信頼を得る美のメンター、松本千登世さんと鈴木ハル子さん。そのメールは、簡潔でわかりやすいのに、さりげなく優しくて、受け取った人の心を潤してくれます。慣れや技術でまとめるのではなく、「一緒に仕事ができてうれしい」という思いもちゃんと伝わる素敵なメール。おふたりが大事にしていることを参考に、メール美人を目指したいものです。

優しい気持ちにさせてくれる松本千登世さんからのメール

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自然について触れると柔らかくなる。新聞の投稿欄は参考になります

「いつからか、メールの最後に空や植物を見て感じたことを書くようになりました。自然について触れると、ビジネスメールのそっけなさが和らぎ、言いにくいことをお伝えするときも、『よい関係をつなげていきたいからです』という思いまで受け止めていただける気がして。お願いごとをする場合は、『○○さんとご一緒したい』『とても楽しみにしている』という思い入れを伝えます。その一文には同時に、私自身も頑張ろうという気持ちを込めているんです。文章はテクニックでまとめると、とたんに色あせる気がします。私がいつも勉強させていただくのが新聞の投稿欄。計算された言葉ではない、素直に思いを表現する言葉が心を打ち、伝え方について考えさせられます。」(松本さん)

編集Aさんの感激
松本さんが偉そうにしたり、上から目線なのを見たことがありません。急いでいるときでさえ、こちらを気遣ってくださる一文に頭が下がると同時に、私まで人に優しくなれそうです…。

優しく背中を押してくれる鈴木ハル子さんからのメール

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いつもの言葉で、飾らずに。相手を思えばおのずと優しい言葉に

「メールは同じフォントなのに、不思議と書いた人の思いが表れます。電話口で、謝りながら本気で頭を下げると誠意が伝わると言われますが、メールも美辞麗句は伝わらない。自分を良く見せようとせず、普段どおりの言葉で、取り繕わずに簡潔に書きたいと思っています。書くときは、必ず相手を思い浮かべながら。一度しかお会いしていなくても、その1回の中で感じたことを書きます。自分がいただくメールでも、そういうふとした文章の方がぐっと心に入り込んできますし、『ちゃんと向き合ってくださっていたんだな』と感じます。ちなみに、夜遅くに書くと変なところにこだわって、相手によけいな気を遣わせてしまいそうなので、なるべく翌朝送るようにしています。」(ハル子さん)

編集Fさんの感激
いつも私の原稿を褒めてくださる度に、頑張ろうと前を向けます。メールにもエレガントで愛あるお人柄があふれていて。担当連載の最終回にいただいたメールは宝物です!

今日からすぐ真似できる!送られてうれしいメールのコツ

言葉を少し足したり、言い替えるだけでOK。美のメンターが実践するコツを聞きました。

【1】言い訳フレーズは削除

「以前、『遅刻は、相手の貴重な時間を奪うこと』と聞いてからは、書いたメールに言い訳を発見すると削除しています。読む時間をいただく中で、言い訳がましいメールは気持ちのいいものではないですよね。それに、何かのせいにしても、自分はだませないから結局、楽にはなれない。言い訳は心の中だけにして、次に同じ事態を招かないことが大事だなと思います」(松本さん)

【2】機嫌はとらない。凜として優しいメールを

「それが、部下へのメールのあり方だと思います。信頼関係を考えると、砕けすぎる言葉やご機嫌とりはダメ。とはいえ、簡潔すぎると気持ちが離れることも。時には厳しく伝えながらも、冒頭で、前回交わした内容をリフレインして、『あれ良かったよね』と伝えたり、メールの最後に『疲れていない?』『ちゃんと食べていますか?』と一言添えたりしています」(ハル子さん)

【3】「どしっと」とか、「ゆったり」とか

「女優の板谷由夏さんのインスタで『どしっと生きたいと思います』という言葉を見たとき、『何があっても、強く、揺るがずに生きたい』という私の思いを、『どしっと』というたった一言で表現された気がしました。日本語は、状態を表す言葉が豊かです。それは、送る人の状況を決めつけない、奥行きのある優しい言葉。擬態語や擬音語から好きな言葉を探すと、自分が伝えたいことがよりわかってくる気がします」(松本さん)

【4】自分の気持ちがどう変わったかを伝える

「今、15年ぶりのショートヘアが気に入っています。髪を切ってくださったAMATAの伸江さんへのお礼は、『髪を切って楽になったのではなく、楽しくなりました』と伝えました。『お礼文がワンパターンになる』という声をよく聞きますが、決まりきったフレーズは、どこか希薄になりがち。お礼というより相手との関係性で、自分にどんな気持ちの変化があったんかを伝えることで、定型文では伝わらない喜びがより巡る気がします」(松本さん)

【5】普通の言葉を少しだけ加える

「メールにポエムは必要なくて、むしろ言葉を美しく飾るとかえって距離感が出て、冷たい印象になることも。最後の締めは、『暑くなってきたのでご自愛くださいね』でも充分。何かを指示されたら、『わかりました』だけでなく、『至急やります』『喜んでやります』のように、普通の言葉を少し足してあげるだけで、ぐっと気持ちが伝わる気がします」(ハル子さん)

【6】指示しっ放しにしない。相手が意見を言いやすいスぺースを作る

「お願いごとをするときは、『忙しいと思いますが、○○さんを頼りにしていますからよろしくね』と添え、『何かあったらすぐに言ってね』と、SOSも全力で受け止めるよ、ということを伝えます。指示するときも、追い詰めるような書き方ではなく、『いついつまでに欲しいのですが、大丈夫ですか?』と、お伺いを立て、相手が思いを伝えやすい余白を作ることも大事です」(ハル子さん)

【7】雨は“あいにく”じゃない。違う見方で伝えてみる

「『“あいにくの雨”と言うけれど、雨が降らないと困る。雨は悪者じゃない』。ある小学生の新聞の投稿がずしりと響きました。思った以上に概念に捕らわれていることが多いのかもしれないなと。それ以来、一方的な見方で書かないように気をつけています。例えば、『暑くて嫌ですね』は『今日は洗濯物が乾きやすいですね』と言い替えたり。なるべく物事のいい面を伝えられたらと思います」(松本さん)

 

教えてくれたのは…
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美容エディター・ライター 松本千登世さん
柔らかで、知性と気品あるエッセイにファン多数。憧れの美肌&美髪のもち主。最新刊は『美人に見える「空気」のつくり方 セルフケアで女を磨く79のテクニック』(三笠書房)。

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トータルビューティ アドバイザー 鈴木ハル子さん
長年、広報として務め、その立ち居振舞、慕われる生き方すべてが伝説的存在。定年後も人材育成など多方面で活躍。著書に『大人は「近目美人」より「遠目美人」』(講談社)。

 

『美的』2020年9月号掲載
構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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