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2020.6.29

「SDGs(=持続可能な開発目標)」について今こそしっかり考えよう! 2030年までに私たちがやるべきこととは?

「SDGs(エス ディー ジーズ)」って、最近よく目にしますけど、どういう意味か説明できますか? 実はこれ、「持続可能な開発目標」の略称なのですが、そう聞くとなんだか難しい、あるいは自分からは遠いお話に感じてしまう人もいるかもしれません。でも実はあなたの身近な生活の中にあるものなのです。SDGsを考える機会があるからこそ、できることがあります。今こそしっかり考えましょう!目指すは「誰ひとり取り残さない」世界。2030年までに私たちがやるべきこととは? 詳しいお話を慶應義塾大学大学院教授の蟹江憲史先生に教えてもらいました。

SDGsってなんですか?

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“当たり前”を支える仕組みや背景について真剣に考えてみる。

蛇口をひねればキレイな水が出て、スイッチを押せば電気がつく。インターネットで世界とつながり、電車や車に乗って行きたい場所へ行き、食事をしたり仕事をしたり。今、私たちが“当たり前”と思っている暮らしや社会の未来を想像したことはありますか?

「地球の資源には限りがあります。そして、私たちが考えている以上に世界は日々変化しています。パソコンやスマートフォンの普及、SNSの浸透で、コミュニケーションはがらりと変わったし、国と国との関係も数年前とは全然違うでしょう?人口増加、環境破壊、エネルギーや食糧問題、貧困や飢餓、テロや紛争、etc…。SDGsとは、そんなさまざまな問題を前に“どんな社会を目指すべきか”について、世界の政治、学術、NGOなどの専門家が3年以上の議論を重ね、その過程をオープンにしながら、目標を取りまとめたもの。すべての国連加盟国がこの目標に合意しています。つまり、未来の理想の社会像を共有するための世界の“道しるべ”といえます」

2015年9月に国連で採択されたSDGsは、2030年の世界を想定し、17個の大きな目標=ゴールと、それらをより具体化した169個の目標=ターゲットを掲げている。

「目標は、経済、社会、環境の3つの側面から考えられ、あらゆる課題を複合的に網羅しています。貧困や飢餓というと途上国だけの問題と思われがちですが、先進国だって格差が起きている。そこで、“誰ひとり取り残されない”世界を目指そうという理念が生まれました。また、17のゴールと169のターゲットは、達成できなかったからといってぺナルティーがあるわけではありません。国や企業、自治体が、あくまで“自主的に”取り組むための目標なんです」

目標が壮大で自分事として捉えにくい上、規則や罰則がないとあっては、やはりどこかひと事に感じてしまう…。そんな人、多いのでは?

「今、私たちが直面している新型コロナウイルスについて考えてみてください。ひとりひとりの“健康”への考え方や意識改革はもちろんですが、医療に従事する人、薬やマスクをはじめ日常生活に必要な物資を作り、運び、売る人など、これまで“当たり前”だと思っていた仕組みを支える人たちの存在が必要不可欠です。日々の暮らしは、誰がどう支えているのか、目の前にあるものはどこから来て、どこへ行くのか。それを考え、想像すれば、SDGsを自分事として捉えられるはずです。例えば、今回の政府の対応に疑問を感じる人は、国会や選挙、政治について真剣に考えるでしょう。何より、新型コロナウイルスは、人々の健康や衛生面だけでなく、働き方や経済活動をも大きく変えようとしています。しかも、世界レべルで。この先、世界はどう変わっていくのか、何が問題で、どうしたら解決できるのか。期せずして起こったトランスフォームですが、このウイルスをきっかけに、世界中が今、国や企業といった枠を超え、個人レベルで社会の未来を真剣に考えています。まさにSDGs的な思考であり、世界が変わるチャンスでもあるといえます」

 

「SDGs」解説

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【1】NO POVERTY
世界には今、世界銀行が決めた国際貧困ライン1日1.9 未満で暮らす人が7億人以上。貧困は、健康や医療面だけでなく、教育や差別など次世代にも連鎖する。途上国・先進国問わず、経済的、社会的弱者への支援が必要。

【2】ZERO HUNGER
世界の努力によって飢餓人口は減ってきてはいるものの、2016年時点では、約8億人いるという。飢餓を終わらせるには、食糧を安定的に確保するほか、偏った栄養状態を改善すること。同時に、持続可能な農業を生み出すことが求められる。

【3】GOOD HEALTH AND WELL-BEING
乳幼児や妊産婦の死亡率、エイズや結核など感染症の罹患率も高い途上国だけでなく、先進国では薬物乱用や交通事故によって健康を害す人が多い。また、現在の新型コロナウイルスへの対策など、予防や対策、医療整備など、新たな課題も。

【4】QUALITY EDUCATION
今、読み書きのできない人の数は世界に7億人。うち3人にふたりが女性。教育や職業訓練は、より良い暮らしをしたいと思ったとき、自分の力で生活を変えるための武器となる。性別、年齢問わずすべての人に質の高い教育と、その機会を。

【5】GENDER EQUALITY
女性に対する差別や性的搾取は途上国で深刻だが、先進国でも雇用や給与、家事分担、財産、社会の意思決定参加など、さまざまな場面で差別は続いている。ジェンダーの平等の実現は、社会や経済の持続的発展に欠かすことはできない。

【6】CLEAN WATER AND SANITATION
世界で、管理された安全な飲み水を手に入れることができない人は21億人以上。土壌汚染された地下水を飲んで下痢になり、命を落とす子供は年間150万人。上下水処理や再利用の仕組みを整え、安全な水と衛生の管理は緊急課題。

【7】AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY
エネルギーの多くは石油や石炭、天然ガスなど有限で温室効果ガスを排出する資源を使っているため、使う人が増えるほど気候変動が深刻化する恐れが。再生可能なエネルギーの利用を増やし、クリーンで安価なエネルギーが求められている。

【8】DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH
途上国では失業率の高さや児童労働が問題となっているが、先進国では過労死が深刻化。併せて、女性や弱者、障害者、移民などの雇用や賃金、労働環境なども問題に。働きがいのある人間らしい仕事と経済成長の実現が目標となる。

【9】INDUSTRY,INNOVATION AND INFRASTRUCTURE
世界的に自然災害が増加し、感染症の流行などが問題化しつつある現在、電力や水道、道路やインターネットなどインフラを整え、強化することは必須。それは持続可能な産業の支えとなり、技術革新を推進することにつながっていく。

【10】REDUCED INEQUALITIES
世界の人口76億人に対し、その富の半分以上が1%の人のもの(富裕層)。富の集中は貧富の差を拡大するため、富の再分配によって貧困や飢餓、紛争の解決に。また、年齢、性別、人種、民族の差別による不平等の解決への努力も必要。

【11】SUSTAINABLE CITIES AND COMMUNITIES
都市に暮らす人は世界人口の半分以上。2050年にはその数は人口の2/3に上るといわれている。都市への人口集中により住宅不足、建物の老朽化、ごみ問題、災害時の対策など問題は多い。住み続けられる街作り、都市計画が大切に。

【12】RESPONSIBLECONSUMPTION AND PRODUCTION
大量のエネルギーや資源を使って、大量の食品や製品を生産・消費、廃棄している現代。このままでは地球はもたない。食品ロスを減らし、廃棄物の削減やリサイクルの推進、資源とエネルギーの有効活用など、仕組みの見直しが急務。

【13】CLIMATE ACTION
地球温暖化によるとされる異常気象は今、さまざまな災害をもたらしている。これまでエネルギーを消費してきた先進国が責任をとって対策すべき問題であり、途上国を支援しつつ、気候変動への対策を具体的に考えていかねばならない。

【14】LIFE BELOW WATER
人間の経済活動が海の恵みを犯している今、問題はふたつ。ひとつはごみや排水による海の汚染。もうひとつは漁業の仕方。今のペースで魚をとり続けれは減ってしまう。漁業大国の日本には持続可能な漁業の方法を提案、支援する役割が。

【15】LIFE ON LAND
森林や山地、川や湖の自然環境と、そこに生きる生物の多様性を守ること。例えば森林伐採をしたら植林をする、希少な野生動物の売買は禁止するなど、できることはたくさんある。自然環境と人間を含む生物との共存を目指す。

【16】PEACE,JUSTICE AND STORONG INSTITUTIONS
紛争やテロ、暴力や虐待で命を落とす人は後を絶たない。誰もが法によって守られる、平等で平和な社会を作ること。誰もが政治に参加できる仕組み、知る権利や言論の自由を得られる公的な制度を作ることが急務である。

【17】PARTNERSHIPS FOR THE GOALS
先進国の途上国への経済と技術の支援は最も重要なパートナーシップ。だが、国と国の間だけでなく、企業や個人など、さまざまな立場の人が参加し、同じ目標に向かって何をすべきか、できるのかを考えることが社会を変える力となる。

 

教えてくれたのは…
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慶應義塾大学 大学院教授 蟹江憲史先生
かにえ・のりちか/政府SDGs推進本部円卓会議構成員を務めるなど、SDGs研究の第一人者。著書に『持続可能な開発目標とは何か~2030年へ向けた変革のアジェンダ』など。

 

参考文献『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』(編著/一般社団法人 Think the Earth)

『美的』2020年7月号掲載
イラスト/小迎裕美子 監修/蟹江憲史 構成/田中美保

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