先鋭のテクノロジーをわかりやすく解説! キュレルの「着る角層ケア」|美tech探訪記 vol.1

美容ギア・遺伝子解析・AIやビッグデータを駆使した新世代のサービスまで…キレイの未来がここから始まる!? 美tech探訪記! 22世紀からやってきたビューティロボット・美ザエモンが案内します。
VOL.01|花王 キュレル「着る角層ケア」編
\花王研究所の開発チームに取材します!/
シートマスクでもパックでもない、極細繊維を吹き付けて、“着る角層ケア”という新発想の美容テック。開発チームの北島恵理子さんは、スキンケア関連の研究を長年続けています。
肌の調子に不安があるとき、ハンディマシンでシューっと吹きつけるだけで“第2の皮膚”のような極薄膜で肌を包んで守ることができる夢のような技術!しかも、そのバリア膜には潤い成分が含まれていて、じゅわじゅわと肌を保湿し続けてくれるといううれしい機能つき。
乾燥して敏感な肌は、バリア機能が弱いから外からの刺激が入りやすいし、水分が逃げてしまってますます乾燥が加速しがち。でも疑似的に良い状態の“角層を着る”ことで、寝ている間の肌が良い状態に保たれます。すると内側の細胞たちは活発になったり、潤い成分を生み出したりと自らの仕事を安心して行うことができる。結果として、肌自らの潤う力を高めることができて、健やかな肌が育っていくのです。この画期的なスキンケアメカニズムは、今後幅広い分野での応用も期待できそう。
冬から春にかけては毎年、肌が過敏になりやすいという人も多いはず。深刻な状態に悩む前に、「寝ている間に1枚、角層を着る」という画期的なソリューションがあることを思い出して!
左のカートリッジを右のマシンにカチッとはめ込んで、ボタンを押すだけ。充電不要の電池式で、手間がかからず操作が簡単なところもうれしい。夜のお手入れの最後に、先に塗ったスキンケアを膜で閉じ込めるイメージで吹きつけます。
左/キュレル 着る角層ケア〈カートリッジ〉¥6,600、右/ヴェールクリエイター ¥29,700(編集部調べ)
POINT1:着る角層ケアの正体は極細の繊維です
クイックルワイパーや生理用品などに使われるシートは繊維からできています。その繊維を極限に細い糸にして、肌に吹きつけてみたらどうなるのだろう? 研究者のマニアックな探究心から「着る角層ケア」は誕生したのです。
繊維を吹きつけると、適度に隙間ができます。その様子がまるで肌のキメのよう! 通気性があるからムレないし、よけいな皮脂を吸着する効果もある、と多くのスキンケアメリットがあります。
POINT2:デバイスの開発も本当に難しかった!
研究室と違い、家庭ではお風呂上がりで湯気が立ち込めているような場所でも使います。しかも、肌にのせた後はひと晩中はがれない、乾かない、耐久性が欲しい。それを小型のデバイスで簡単に続けやすく。かなえるために10 年近くの歳月を費やしています。
極細繊維と美容成分の組み合わせも試行錯誤。繊維からジュワジュワと美容成分が染み出し続ける「ブリードアウト技術」を開発。敏感な肌に優しいレシピが完成したのです。
POINT3:翌朝が楽しみになるわくわく感もスゴイんです
「着る角層ケア」がスキンケアとして新しいのは、途中で乾いたりせずにひと晩中理想の肌環境を保てること。だから、翌朝の満足感がレベル違い!花粉の時期は寝ている間に肌をかいてしまう…といったお悩み対策にもおすすめです。
バリア機能が失われがちな乾燥性敏感肌も、疑似的にいい状態の角層を「着る」ことで、バリアの膜に包まれてひと晩過ごすことができます。朝の洗顔時に指で膜をはがすのも楽しい!
『美的』2025年3月号掲載
撮影/鈴木希代江 イラスト/しまだなな 構成/もりたじゅんこ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。