時を超えて愛され続ける“ミス ディオール”の世界-「ミス ディオール展覧会 ある女性の物語」より-
ディオールが受け継ぐクチュール作品をはじめ、ミス ディオール フレグランスのルーツからアーカイブコレクションまでが一堂に展示。世界中を巡り、多くの人々が訪れた展覧会の様子から、改めてその類稀なる魅力に迫ります。
愛の香り「ミス ディオール」の歴史と未来を辿る
「ミス ディオール」はもはやフレグランスを超えたアートであり、幸福な体験、そして愛と自由の物語である――、まさにそんなことを考えさせられる展覧会が日本に上陸。世界中を巡ってきたこの展覧会は、ミス ディオールにまつわるオートクチュールのドレスやアーカイブコレクション、国際的に活躍するアーティストとのコラボレーションなどが展示され、建築家の重松象平が手がけた空間デザインによって来場者を夢の世界へと誘いました。
物語の始まりとなるのは、1947年に発表され、クリスチャン・ディオールの妹であるカトリーヌに捧げたメゾン初となる香水、ミス ディオール。そこから約80年もの間、時代を象徴する香りとして進化し続け、多くの人に愛や自信のスピリットをもたらしてきました。歴代の香りの誕生ヒストリーをはじめ、これまでの美しい香水瓶、ナタリー・ポートマンらが出演する代々の広告、香りから着想を得て生まれたクチュールドレスなど、ミス ディオールの世界観を多角的に楽しめる内容はまさに圧巻。またクリスチャン・ディオールの生涯は芸術と密接な結びつきがあり、絵画をはじめとする芸術作品に造詣が深かった彼は、ギャラリーオーナーとしても展覧会などを主催。才能豊かなアーティストとのコラボレーションによってメゾンの精神を多彩に表現していたことでも知られ、当時の作品をはじめ、ムッシュ ディオールへのオマージュとして著名なアーティストが特別に創作した作品も展示。
ディオールのミューズであるCocomiさんもオープニングイベントを訪れ、「ミス ディオールの歴史と物語を体験できる素晴らしい展覧会でした」とコメント。この春、新たに解釈された「ミス ディオール」と共に、クリスチャン・ディオールの「女性に、生きる喜びや幸せを届けたい」という願いから生まれた香りの新章をこれからも楽しみたい。
東京・六本木で2024年6月16日から7月15日まで開催され、多数の来場者で賑わい、各国からセレブリティも駆けつけた。
中央に設置されているのは、1949年に発表されたクチュールドレスのレプリカ。ミス ディオールの優美なフローラルコンポジションにインスパイアされ、数千ものシルクフラワーの刺繍で飾られた。また周囲のピンクの花のオブジェに顔を近づけると、ミス ディオールを構成する香りが実際に体感できるスペースに。
ピンクのリボンをイメージした空間には、当時のスケッチや写真などミス ディオールのさまざまなルーツを展示。
メゾン初のレディトゥウェア コレクションとして1967年にパリで発表された「ミス ディオール ライン」。幻想的でありながらもフレッシュで若々しいスタイルは、ミス ディオールの自由な精神や輝きともリンクする。
繊細で贅沢な刺繍が施された世界150個限定のミス ディオール パルファンは、フランス人アーティストエヴァ・ジョスパンとのコラボレーションによるもの。
ディオール ビューティーのジャパン アンバサダーを務めるフルート奏者・モデルのCocomiさんも来場。
新時代のスピリットをまとって誕生した花々が美しく輝く香り
ディオール ミス ディオール パルファン 35ml ¥13,200、50ml ¥18,040、80ml ¥23,100
フルーティなジャスミンやフローラルの甘美な香りをウッディ アンバーのベースが優しく包み込む。ディオール パフューム クリエイション ディレクターのフランシス・クルジャンが手がけた新作。
『美的』2024年10月号掲載
構成/安井千恵
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。