日焼け止めもニオイ対策になるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「汗とニオイ」について。日焼け止めもニオイ対策になるってホント? 臭気判定士資格を持つマンダムの久加亜由美さんにお話を伺いました。
Q:日焼け止めもニオイ対策になるってホント?
「紫外線の影響による酸化もニオイが発生する原因になる」という噂があります。ということは日焼け止めで紫外線を防ぐこともニオイ対策になるのでしょうか。さっそく、この疑問について臭気判定士資格を持つマンダムの久加亜由美さんに聞いてみました。
A:ウソ
「確かに皮脂が酸化することによってニオイが発生することはあります。しかし、皮脂の酸化によってニオイが発生する部分は日常的に日焼け止めを塗る部分ではないなので、効果は期待できません」(久加亜由美さん・以下「」内同)
皮脂の酸化によるニオイとは
「皮脂が酸化することで起こるニオイは加齢臭の原因物質として知られる“2-ノネナール”です。2-ノネナールは通常の汗と皮脂、菌によって発生する体臭とは違い、菌が関わっていない体臭です。
皮脂が酸化する原因として紫外線の影響は大きいので、日焼け止めを塗ることで加齢臭の発生を抑えることはできるかもしれません。しかし、加齢臭は日焼け止めを塗るような腕や肩、顔ではなく胸や背中で発生するため、腕に日焼け止めを塗ったところで効果は発揮されません。そのため、日焼け止めによるニオイ対策というのはあまり期待できません」。
レジャーで海へ行くときなど汗をかきやすい背中やワキの下まで日焼け止めを塗る人もいると思いますが、その場合もニオイの発生を抑える効果は期待できないのでしょうか…。
「上述と同様、ニオイ対策として日焼け止めの使用を推奨しません。ワキまで日焼け止めを塗ることは特段問題ないですが、ニオイ対策にはなりません。加齢臭に対しても日焼け止めよりデオドラントを使用するのがおすすめです。日焼け止めとデオドラントを併用しても問題ないため、日焼け止めは日焼け予防に使用しましょう」
汗を拭くときはドライタオルより濡れタオルのほうが良い?
「はい。濡れたタオルのほうが乾いたシートやタオルと比べてニオイの原因となる皮脂や汗、菌を絡め取りやすいです。
ニオイ対策とは別の話になりますが、濡れたタオルやシートで汗を拭くと皮膚上にわずかな水分が残ります。そうすると水分が揮発する際に皮膚の温度も下がる、気化熱の効果も期待できます。
このふたつの点から、汗を拭くときは濡れたタオルやシートがおすすめと言えます」
汗をかきにくい人ほど汗は臭い?
「いいえ。データはないのですが、私の今までの臭気判定の経験から差はないと思います。発汗量が多いとニオイの原因は増えますが、逆に汗の量が少ないほうが汗が臭くなりやすいということもないと思います。その人の肌の常在菌とのバランスや、ニオイのバリエーションが多いアポクリン汗が関係していることは考えられますが、汗をかきにくい人の汗が臭いというのはなさそうです」
女性のほうが男性よりも嗅覚が敏感?
「はい。こちらについてはいろいろなニオイの成分に対して、女性のほうが男性より嗅覚が敏感だという報告があります。
原始時代レベルの話ですが、男性は狩猟に行き、女性は家族を守る役割をしていたため、腐ったものを食べないように嗅覚が危険察知のために発達したという説もあります」
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
2008 年入社 製品開発(ヘアスタイリング剤やスキンケア)を 4 年経験。2012 年より体臭研究に携わり、デオドラントの基礎研究として、汗・におい、殺菌や消臭などについて研究を進めている。臭気判定士資格を 2015 年に取得し、体臭研究に生かしており、発汗やにおいのメカニズムから、対処法まで幅広く語れる。脇汗をリアルタイムで測定できる評価系を確立したことで、制汗研究を拡張させた。
■マンダム