モデル・起業家としても活躍する中林美和さんにとっての「センス」とは？｜作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.3」第1話

「年齢を重ねるって、どういうことですか？」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩く連載『生きるセンス』がセカンドシーズンに突入。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第３回は、モデル、起業家として活躍する中林美和さんとじっくり語り合います。

第２話▶▶中林美和さんが語る「起業人生ってこんなに楽しい！」
第３話▶▶中林美和さんが語る「1stキャリアも2ndキャリアも大切」
第４話▶▶中林美和さんが語る「大人の恋愛について考えていること」
第5話▶▶中林美和さんが語る「旅が人生に与えてくれるもの」

作家・LiLy × 今回のゲスト中林美和さん

LiLyさん（以下、L）　先日は、私が立ち上げたセクシャルウェルネスのブランド「Bedin」のローンチパーティに来てくれてありがとう！

美和さん（以下、M）　37℃の「美容液キャンドル」なんて、どこにもないコンセプトだよね。感動しちゃった。

L　そう、キャンドルでありながら、中身は米ヌカやソイなどの天然由来成分をベースにした、97％ナチュラルの美容液。バニラ豆の温感効果でポカポカと温まるのが特徴で、香水やボディクリームとはまた違う使用感を楽しんでほしいの。ひとりではもちろん、愛する人と一緒に使ってほしいなぁ、なんて考えてるんだ。

M　なるほど、さっすが！　LiLyが考えている素敵なストーリーが伝わってくる。これから少しずつ大きくしていきたいね。

L　今回、私はこのビジネスを始めるために会社を立ち上げて、起業家としての人生をスタートさせたわけだけど、美和ちんはその意味でも大先輩。株式会社「me」の代表取締役として、多忙な日々を送っているんだよね。

M　そう、モデルの仕事を続けながら、オーガニックスパブランド「MAROA」を立ち上げて、今は代表兼プロデューサーの活動にシフトしてる。

L　ずばり、なぜ起業したの？　改めてその理由を聞いてみたいな。

M　会社を立ち上げたのは39歳で、今からちょうど６年前ぐらい。私は30代後半にいろんなことがあって、40代を前に「人生これからどうなるんだろう」ってすごく気持ちがふさいでしまった時期があったの。

L　うんうん、よく覚えてるよ。

M　モデルの仕事は充分にさせてもらっていたけれど、客観的に自分を見て、将来を考えたとき、「10年後の自分は、今と同じように同じ量の仕事をしていないだろうな」って感じたんだよね。もちろん不安な気持ちにもなったけど、ここで一度自分としっかり向き合って、これからの生き方を整理しようと思ったの。そこで出た答えが「自分の足で立てる場所が欲しい」というもの。妻でもママでもモデルでもない、中林美和というひとりの人間として立てる場所。そこで「ならば起業しよう！」と決意したんだよね。

L　さすが、しびれるわ！　当時、閉じ込もるのとはまた違う形で、しっかりひとりの時間をとって考えていた時期があったのも、そこで力をためて少しずつ起業へと動いていったプロセスがあったのも、すごくよく覚えている。落ち込んでいたところから、サナギになり、蝶々になる過程のようだった。

M　そっと見守ってくれていたよね。

L　人間、年齢を重ねることは老いることでもある。今の時代、加齢を前向きに捉える風潮はあるけれど、モデルという仕事は少し事例が違うよね。老いはただでさえメンタルを直撃するのに、それが仕事に影響を与えることもある、というのはときに残酷。想像するだけで大変だなと思う。

M　そのことをひしひしと肌で感じていたんだと思う。

L　でも、時間をかけてでも最後には自力ですくっと立ち上がったんだよね。

M　うん。「もうひとつ翼が欲しい」って強く思ったの。

L　それで事務所を辞めて独立して、プライベートでは離婚も経験して、さらに起業。激動だった。

M　でもね、思い返してみればいい経験。すべて必要なことだったと思う。

L　私は美和ちんのその柔らかなポジティブさが好き。メディアでははじけるような笑顔を披露しているイメージがあるけれど、人の心の機微をちゃんとキャッチする繊細さも備えている人。ただ明るいだけではなくて、しっかり自分に向き合う強さもあって、だからこそ悩んだ後に出す答えが、いつも賢い。

M　ありがとう。うれしい！

L　ちなみに、起業したとき、どんなことをイメージして、何をやりたいと思ったの？

M　私は友人と一緒に会社を立ち上げたんだけど、友人は介護に、私は育児に、お互い忙しかった。でも同世代の人ってみんなそうじゃないかなって。人によって事情はそれぞれあるけど、共通しているのは「リラックスできる特別な時間が少しでも欲しい」ということ。ならば、「リアルな発想で、日常に寄り添う物作りをしようよ」って。

L　それが「MOROA」の始まりなんだね。起業から丸６年がたって、７年目を迎えようとする今、私にアドバイスはある？

M　ブランド立ち上げの今は、恋愛でいうと「恋の始まり」みたいなもの。そのときめきやウキウキを存分に味わってほしいな。

L　さすがのたとえだね！　恋愛、まさにそう。となるとローンチ後はどうなるの？

M　恋から結婚に進化して、結果にコミットすべく、ありとあらゆる現実に向き合うことになります（笑）。

L　ひゃー大変！　でもリアルこそやりがいがあるよね。これからも先輩として、いろんなことを教えてください！

自分としっかり向き合う人は賢い答えを導き出す――LiLy

自分の足で立ちたい。それが起業のきっかけ――美和さん

立ち上がる姿はサナギから蝶々になる過程のようだった――LiLy

もうひとつ翼があれば、さらに遠くまで飛べると思った――美和さん