【マンガで読む】知っておきたい「HPVワクチン」|なぜ再開? 今からでも受けるべき?
控えられていた12~16歳女子への積極的勧奨が4月に再開され、話題のHPVワクチン。子宮頸がんを予防するこのワクチン、なぜ再開? 受けていないなら今からでも受けるべき? イチからおさらいしましょう。
知っておきたい、HPVワクチンのこと
安全性や有効性が確認され昨秋から積極的勧奨再開へ
「子宮頸がんの主な原因は、性行為で感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)ですが、そのうち悪さをするHPVは約15種類。それらを予防するのがHPVワクチンです」と淀川キリスト教病院産婦人科医の柴田綾子先生。日本では’13年4月から12~16歳女子は無料となる定期接種に。
「ところが接種後の全身の疼痛や運動障害が報道されたため、その年の6月からワクチンの積極的勧奨が一時停止に。その後、安全性や有効性が確認されたため、’21年11月に厚生労働省は積極的勧奨の再開を決定しました」と話すのは女性医療ジャーナリストの増田美加さん。実は美的クラブの調査でも決定後に接種者が微増。とはいえ、「やっぱり不安」という人のためにHPVワクチンについて詳しくレクチャーします。
出典/厚生労働省 ’14年人口動態統計 母の年齢(5歳階級)・出生順位別に見た出生数。国立がん研究センターがん対策情報センター地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~’14年)より作成。
出典/YOKOHAMA HPV PROJECT『子宮頸がんについて』を参考に作成。
HPVワクチンをもっと詳しく解説
※1 2価と4価は無料定期接種に。9価は90%の予防効果が
「子宮頸がんの原因の50~70%を占めるHPV16型と18型を予防するのが、2価(サーバリックス)。4価(ガーダシル)は16型と18型、性感染症の尖圭コンジローマの原因となる6型、11型も予防します。2価と4価は12~16歳女子の無料定期接種の対象です。’21年に承認された9価(シルガード9)は、6型、11型、16型、18型を加え、合計9種類のHPVを防ぎ、予防効果は約90%です」(柴田先生)
※2 性感染症の尖圭コンジローマ、肛門がん、咽頭がんも予防
「HPVワクチンは子宮頸がんのほかに、肛門がん、咽頭がんのリスクも軽減。4価と9価には性感染症の尖圭コンジローマの予防効果もあります」(柴田先生)
※3 痛みや疲労感などの軽い副反応は数日で改善
「50%以上に腕の痛み、10~50%未満に頭痛や関節痛、10%未満に発熱が出ることもありますが、ほとんどは数日で改善。アナフィラキシーなど重篤な副反応は1万人に5人とごくまれです」(柴田先生)
※4 性交渉後でもワクチンの効果は有効
「HPVワクチンは性交渉経験前に接種するのがいちばん効果的ですが、性交渉後でも子宮頸がんや異形成(子宮頸がんの前段階)を予防する効果が報告されています。現在、確認されている研究データの最高年齢は45歳ですが、何歳でも接種可能です」(柴田先生)
女性医療ジャーナリスト
増田美加先生
ますだみか/35年にわたり女性の医療、ヘルスケアを取材。エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った情報に定評あり。近著は『もう我慢しない!おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)。
『美的』6月号掲載
イラスト/本田佳世 構成/青山貴子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
しばたあやこ/日本産婦人科学会産婦人科専門医。著書に『女性の救急外来ただいま診断中!』(中外医学社)、『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)などがある。NPO法人女性医療ネットワーク理事。