ボディケア
2025.12.24

最新の「香りの力」についての新知見を取材!|齋藤 薫さん寄稿も必読

香水は「魅力的に魅せる」ためだけにまとうのではなく、自分を癒すためにも使用されるように。『美的』1月号では、今注目されている心や体にアプローチする“機能性フレグランス”を特集! 香りが「睡眠の質を高める」「ポジティブな気分にしてくれる」「リラックスできる」といった効果も明らかになっています。今回はそんな“香りがもたらすチカラ”の新知見をご紹介します。

EDIT: 美的編集部

美的編集部

美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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SOURCE: 美的 2026年1月号

2026年1月号

1 月号

11月21日頃発売 ¥890

いよいよ2025年もラストスパート!<br> 11月21日(金)発売『美的』1月号の特集は、今年もやってきました!<…

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すべての香りは、幸せの源。それは神様がくれた地球の摂理?

美容ジャーナリスト

齋藤 薫さん

香りをつけない女性に未来はない……ココ・シャネルが残した言葉の前後には、香りをつけないのは思い上がり、でも使い方を間違ってはいけない、ほんの少し香らせるのが良い、という提言もあった。まさに香りの神髄を突いている。昔は体臭を隠すため、また異性を惑わすためだった“行きすぎた香り遣い”をいさめ、人をエレガントにする法則を教えたココ・シャネルならではの提案だった。つまり20世紀まで、香りの効果は専ら性的誘引作用とされていたわけで、常に相手があっての“二人称の香り”が基本であったといっていい。でもやがて自分のための“一人称の香り”がもうひとつの主流になり、コロナ禍を機に香りも癒しのツールへと一気にフェーズが変わって、機能性研究がその成果を見せ始めたのだ。それにしてもひとつひとつの香りがもっている、それぞれ異なる機能性がここまで明快になるとは!

だから考えてみてほしい、この世の花々や植物がすべて違った香りをもたされた意味を。いわゆるアロマテラピーや口に含むフラワーエッセンスを見ればわかるように、あらゆる花々はそれぞれ異なる力をもち、動物たちにもまた人類にも、なんらかの恩恵を果たもたらそうとしている。それが今機能性フレグランスとして一気に開花したということ。紛れもなくこれは神様が与えた力。地球の摂理のひとつ。サイエンスの進化がついにそれをかなえる素晴らしい時代になったのだ。

その証に、同じ柑橘系でもスイートオレンジは副交感神経を優位にして睡眠の質を高めるのに、グレープフルーツは逆に目覚めに良い覚醒効果をもつ。不思議だけれど、よく似た香りでさえ個々に違った役割が課されているのを裏づける。だから私たちはその恩恵を、心を込めて使い分け、心の充足につなげるべきなのだと思う。なぜなら芳しき香りのすべては、幸福感の源。人類の幸せのためにこそ香りがあるということをここでもう一度思い知るべきなのだ。

最新の研究では、女性が排卵期に放つ体臭は異性にとって極めて心地よく、なんと顔だち印象まで美しく見せる作用をもっていることが東京大学によって明らかにされた。それもまた地球の摂理。そこから私たちは「良い香りには見た目も美しく見せてしまう不思議な力があるのだ」ということを読みとることもできる。五感の中で唯一直接的に脳とつながる嗅覚。つまり匂いが何より強く人を支配しているわけで、良い香りに包まれて生きることはそれだけで人生の喜び。機能的なエビデンスがとれたことで、人生の質はさらに高まる、そう考えるべきではないだろうか。だからこそ、日常の隅々にまで香りの効きめを配して、香り高き生活を!

“香り”が心と体に働きかけることは科学的に証明されている!?

香りは、鼻の中の“嗅上皮(きゅうじょうひ)”という部分に到達後、電気信号に変換され、嗅神経を通って大脳へと伝わる……この一連の流れに要する時間は約0.2秒とか! また、脳を経由した後心と体にさまざまな作用をもたらすことも、研究によって明らかになっています。今回は3ブランドに、心と体に影響を及ぼす「香りの力」についての新知見を取材してきました!

結果1|入眠前に香りをまとうと睡眠の質が改善される!?

According to SINN PURETÉ


[実験概要]
実験期間:3週間
被験者:18名(20~50代男女)
[実験内容]
1週間ずつ、香り有無を分けて睡眠
・睡眠約1時間前にフレグランスを5プッシュ(1秒1回間隔)噴霧
・睡眠直前にフレグランスを5プッシュ(1秒1回間隔)噴霧
・利き手と反対側の手首に睡眠計測デバイスをつけて就寝し、心拍を測定
・起床と共に装置を外し、起床後30分の眠気の状態についてアンケートを実施

その結果…

効果ありの被験者の平均値において、N2は0.69pt上昇、N3は1.63pt上昇した
N1(ステージ1 ):最も浅い睡眠段階
N2(ステージ2 ):N1よりも深い睡眠段階で、完全に眠った状態
N3(ステージ3 ):直接目覚めるのが困難な程、最も深く眠った状態


眠気の程度を主観で評価。香りありの場合、起床後30分の眠気が軽減されていて、日中の集中力や知的生産性の向上にも期待できる。

⇒睡眠前にフレグランスを吹きかけると「睡眠の質が向上する」

結果2|金香木(キンコウボク)の花の香りがポジティブな気持ちを高めてくれる!?

According to DECORTÉ


金香木の花の香りによる肯定的な感情スコアの変化

38名の実験参加者を対象に、金香木の各開花段階の香りによる心理状態への影響を評価。

その結果…
金香木の花の咲き始めの香りを吸入したとき、肯定的な感情(活気がある、楽しい、充実したなど)のスコアが有意に上昇することを確認。よって、 「金香木の花の咲き始めの香りにはポジティブな気持ちを高めてくれる効果がある」と考えられる。

結果3|体臭成分“1-ドデカノール”は人の精神的回復力を向上させる!?

According to athletia

体臭成分“1-ドデカノール”とは?
ヒトの顔皮脂に由来する体臭成分のひとつ。性格特性を、開放性、外向性、誠実性、協調性、神経症傾向の5因子で捉える「Big Five 理論」の中の〝開放性〟と関連して発せられる。“開放性”とは、興味の広さや知的好奇心の強さなどを示す性格因子で、一般的にはポジティブな特性とされている。

[“1-ドデカノール”の香りによって開放性が高まるかを検証]
前提:BIG FIVE(性格特性)自体は、容易に変化することはない。→開放性及び開放性関連尺度を評価・分析
[試験概要]
連用期間:2週間
方法:空間芳香として使用0/1/2週間連用後に心理指標を聴取→“1-ドデカノール”の香り有無で比較検証

※各因子の強弱が微細変化することはある

その結果…

⇒ふたつの検証結果により、 “1-ドデカノール”の香りには、不安な感情を早期に軽減させて、活動的快の感情を引き起こす可能性がある と考えられる。

精油による心身へのアプローチが、QOL(生活の質)を向上させる!

古代ギリシャではハーブを治療薬として用いていた歴史があるが、“芳香療法”を意味する「アロマテラピー」という言葉が日本で使われるようになったのは20世紀になってからのこと。現代ではアロマテラピーの認知度が格段に高まっていると同時に、香りについての科学的な研究が進められている。生活スタイルや理想的な心の状態に応じて香料を選べば、暮らしそのものを豊かにしてくれるはず!

集中力を高めてくれる
ペパーミント
カルダモン
サイプレスなど…
幸せな気分をもたらしてくれる
ローズ
ジャスミン
ゼラニウムなど…
気持ちをリフレッシュさせてくれる
レモン
ベルガモット
スペアミントなど…
リラックス気分に誘う
シダーウッド
ラベンダー
ネロリなど…

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT: 美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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撮影: 李 有珍(aosora)

イラスト: green K

構成: 黒木由梨(PRIMADONNA)、山崎友利花

SOURCE: 美的 2026年1月号

2026年1月号

1 月号

11月21日頃発売 ¥890

いよいよ2025年もラストスパート!<br> 11月21日(金)発売『美的』1月号の特集は、今年もやってきました!<…

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