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2013.8.8

大高博幸の美的.com通信(168) 幸せをつかむ女子の最重要条件がココに。『タイピスト!』 試写室便り Vol.46

タイピスト-1
(C)2012 – copyright : Les Productions du Trésor – France 3 Cinéma – France 2 Cinéma – Mars Films – Wild Bunch –
Panache Productions – La Cie Cinématographique – RTBF (Télévision belge)© Photos – Jaïr Sfez.

クビ宣告を受けた新米秘書に残された道は、世界大会出場。
憧れの上司は鬼コーチとなり、めざすは まさかの優勝!?
タイピスト!』(フランス映画、111分)
8.17 ロードショー。
詳しくは、typist.gaga.ne.jpへ。

勝手に決定、美的.com 2013年度 ベストシネマ!!
【STORY】 フランスの田舎に暮らすローズは、都会でステキな仕事をしたいと夢見ていた。念願かなって保険会社を経営するルイに秘書として雇われるが、ドジで不器用なローズは、1週間でクビを言い渡される。「ただし――」と意外な提案を もちかけるルイ。ローズの唯一の才能<タイプの早打ち>を見抜いたルイは、彼女と組んで世界大会で優勝するという野望を抱いたのだ。ところが、初めての闘いに動揺したローズは地方予選であっさり敗退、その日から鬼コーチ:ルイの特訓が始まる。厳しいトレーニングに耐えるうちに、ルイに ほのかな恋心を抱くローズ。
見事に地方大会を1位通過したローズは、フランス大会のために夢のパリへと乗り込む。そこには、3度目の防衛を狙う恐るべき女王が待ち受けていた。(以下、略。プレス資料より)

この映画は、読者の皆さん全員にオススメ。可愛らしくて面白くて、しかも仕事と恋に一喜一憂する皆さんを明るく励ましてもくれる一編です。作品としての完成度が高い上に、気づかされるコトや教えられるコトが いっぱい詰まっていて、しかも それが押しつけがましかったり理屈っぽかったり全然しないから気持ちいい。
主役のローズは健気でまっすぐなガンバリ屋で、たとえ仕事でドジを踏んでも恋心を傷つけられても、グズグズとヘコたれていたりイジケたりなんてしない大らかな性格。ネジが1個足りないかもと思えるようなところもあって、But、むしろ それが“幸せをつかむ女子の最重要条件”なのかもと、僕は感じてしまったのでした。日本でも、こういう感覚or性格の女子が徐々に増えてきていますが、そうではないためにチャンスもチャームも失っていく女子は まだまだ多い…。だからこそ、この映画は読者の皆さん全員に観てほしいと思うのです。ローズのような性格の女子にも、です。

携帯電話やパソコンはモチロンなく、秘書の武器といえばタイプライターだけだった時代のお話で、1950年代から’60年代に突入して行く1958年の感覚が、ファッションやヘア&メーク、車やインテリアから小物にまで あふれているところも実に楽しくチャーミング。電蓄(レコードプレーヤー)+落とすと割れちゃうSPレコードまでが登場します。
ローズ役のデボラ・フランソワとルイ役のロマン・デュリスは絶世の美男美女型ではありませんが、観ているうちに好きにならずには いられないタイプで、どちらも適役好演。ふたりの仲を取り持つような形になるマリー役のベレニス・ベジョは、脇役ながら『アーティスト』での役柄を ふくらませたような性格描写が良く、今回はカラー映画女優としての魅力も発散していました。
この映画には、反面教師的な人物も出てきます。分かりやすいのは下宿屋の女主人。想像力と思いやりの心が欠如した中身の薄っぺらな中年女性で、皆さんは彼女のような人間には絶対になってはいけません。せっかく人間として生まれてきたのに、あれでは人生無意味です。それから、詳しくは書けませんが、自信満々すぎて、何かがあった時に引っ込みがつかなくなるような高慢な女性の みっともなさも、ぜひ見届けてください。

画面に見とれて字幕を読むのを忘れていた瞬間が何度もあったのですが、特に印象に残った台詞は以下のふたつ。
その1は、ルイがローズに向かって言う台詞、「才能は ひとつあれば充分だ」。うん、そのとうり!
その2は、最後のほうに出てくる言葉、「ジュテーム(愛してる)」。この ひと言は、お国や言語が違っていても、すべての人を喜ばせ、幸せな気持ちにさせるパワーを秘めているんですよね。そのシーン、僕は最高に良かったと思っています。みんなの嬉しそうな顔を見つめているだけで、誰もがハッピーになれるコト請けあいです。

P.S. この映画にベタ惚れした方は、オードリィ・ヘプバーンがウブなパリ娘を演じた『昼下りの情事』(1957)という映画を ぜひ観てください。この『タイピスト!』に比べれば大甘のロマンティック・コメディですが、有名な『麗しのサブリナ』や『パリの恋人』(共にオードリィのヒット作)以上に洗練されていて、しっとりとした味わい豊かな傑作です。監督は天才:ビリー・ワイルダー、共演はゲイリー・クーパーとモーリス・シュバリエです。

 

 

ビューティ エキスパート
大高 博幸1948年生まれ、美容業界歴46年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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