「アーダンシルク」に息づく美の哲学。奄美大島のシルクに潜む美肌力【美的GRAND冬号付録】|美的GRAND
奄美大島で暮らすひとりの女性が56歳の時に見いだしたシルクの美肌力。医学を学んだ息子の力を借りながら、台所でシルクを溶かし、試行錯誤を重ねた末に誕生したのが「アーダンシルク」の原型です。世界自然遺産・奄美大島で育まれたシルクコスメの魅力を解き明かします。

自社の桑畑を歩く株式会社アーダン代表取締役の西博顯さん。京都大学医学部卒業、東京農工大学大学院工学部生命工学専攻後期博士課程修了。
開国以降、日本の近代化を支えたのは繊維産業でした。世界遺産に認定された富岡製糸場などで生産する生糸が主力輸出品であり、トヨタもスズキも元々織機製作所から始まっていることを考えれば、繊維産業がいかに日本の基幹産業であったかは想像に難くありません。
特に奄美大島の温暖な気候と豊かな自然は養蚕業に適しており、一説では7世紀頃に始まったといわれる大島紬は世界三大織物のひとつとして評価されています。シルクロードの東端に位置する絹の島〟で生まれた「アーダンシルク」、そのきっかけはなんだったのでしょう?
「創業者である母は元々大島紬の織り子さんでした。強い日差しを浴びて日焼けが当たり前の毎日を過ごしていましたが、50代になって仕事も子育ても落ち着いた頃、ひとりの女性としてキレイになりたい、本当にキレイになれる化粧品を作りたい、と言い出したんです」と、代表取締役の西博顯(にし・ひろひと)さん。
「シルクを扱っていると手がスベスベしてキレイになるという体験をしているので、シルクを主原料にした化粧品を作ったらいいものができるのでは、というところから開発が始まったのです」
そうして創業者の西里依(にし・さとえ)さんは1995年に起業し、約5年の研究開発期間をかけて完成させたシルク化粧品を’96年に発売。現在の「アーダンシルク」はさらに進化をさせた新ブランドです。
とはいえ“シルクコスメ”は決して珍しいものではなく、むしろ後発ともいえます。では「アーダンシルク」が他と一線を画す魅力とは、一体なんでしょう? それは博顯さんが京都大学医学部出身であることが関係してきます。
「創業まもなく百貨店のバイヤーの目に留まり、翌年には東武百貨店池袋店の物産展に出展するなどして徐々に顧客が増えていましたが、なぜ肌にいいのか?というお客様の声に対する裏付けがありませんでした。そこで大学時代に基礎研究をしていたこともあり、東京農工大学大学院でシルクを用いた人工血管の研究をされていた教授の下で学ぶことにし、その知見を皮膚科領域に応用できるのでは、と研究を始めたんです」
特許取得技術で拓くシルクコスメの新境地
その後、鹿児島大学大学院皮膚科学教室との共同研究により、シルクの中心部にあるフィブロインのアミノ酸組成がヒトの肌とほぼ同じであるため、創傷治癒効果があることを確認。「加水分解フィブロインを含む軟膏およびその製造方法」において2018年に特許を取得します。
また同時期、フランスのテレビ局から届いたオファーも独自のシルクコスメの確立を後押しします。
「TF1というテレビ局からテレビ通販で取り上げたいという連絡をいただいたんです。そのためにエビデンスが必要ということで、ダーマスキャンというフランスの研究所で抗シワと保湿に関する効果データを取得し、’16年4月に通販を開始。そのために’13年にはリヨンに現地法人を立ち上げています」
コロナ禍の影響で現在は現地法人を閉鎖していますが、JAPAN SILKはその当時からフランスでも大きな注目を集めていたのです。しかし一時は日本経済を支えていた生糸も、化学繊維の登場で需要が激減。養蚕農家は減少を重ね、現在では全国で約130戸といわれています。
「技術力が高く優れたノウハウが蓄積された日本の養蚕技術による国産シルクは、もはや自分たちで作らないと手に入らないというのが現状。そこで2011年に株式会社奄美養蚕を設立し、桑の栽培と養蚕を自ら手がけることで化粧品原料の安定供給を図っているのです」
桑は落葉樹のため通常の収穫は春・夏・秋の年3回程度ですが、温暖な奄美大島の桑は落葉しないため、年7、8回の収穫が可能。それでも温度や湿度、風通しなど繊細な環境調整を必要とし、さらになんといっても「蚕はグルメ」と、兄とともに会社を支える専務取締役の西幸代(にし・ゆきよ)さんは説明します。
「近隣の畑で農薬を使っていたり、桑の葉を扱う人が香水をつけていたり喫煙者だったりすると、蚕は一切食べなくなるんです。トラディショナルな養蚕技術に加え、人工飼料を与えるなど常にアップデートし、通年飼育を実現しています。最近では農水省での人工飼料研究も進んでいるので、従業員2名が40日ほど農水省に出向し、研究機関のノウハウを学んでいます」
そして創業者のもうひとつの強いこだわりが、合成界面活性剤フリーであることです。
「母親ながら先見の明があるなあと思いましたが、ここが最も苦労した点でもあります。実はシルク自体に弱いながらも乳化力があるので、それを活用したオリジナル技術でクリーム状のものを作っているのです」

今春のブランドデビュー時に登場した基本5品。右上から時計回りに:アーダンシルク シルクウォッシュ 85g ¥13,200、同 シルクセラム 30㎖ ¥25,300、同 シルククリーム 35g ¥24,200、同 シルクマッサージクレンジング 100g ¥15,400、同 シルクローション 120㎖ ¥12,100

11月に誕生した新3アイテム。右から時計回りに:泡立たない全身洗浄料。アーダンシルク シルクチューン 300㎖ ¥4,510、加水分解シルクとナノシルクの配合比率を調整し、高保湿を即実感。同 シルクローション M 120㎖ ¥12,100、超微粒子シルクパウダーにパールパウダーをわずかにブレンドし、まさにシルキースキンに。つけたまま寝てもOK。同 シルクスキンケアパウダー 5g ¥5,720
「技術力が高く優れたノウハウが蓄積された日本の養蚕技術による国産シルクは、もはや自分たちで作らないと手に入らないというのが現状。そこで2011年に株式会社奄美養蚕を設立し、桑の栽培と養蚕を自ら手がけることで化粧品原料の安定供給を図っているのです」
桑は落葉樹のため通常の収穫は春・夏・秋の年3回程度ですが、温暖な奄美大島の桑は落葉しないため、年7、8回の収穫が可能。それでも温度や湿度、風通しなど繊細な環境調整を必要とし、さらになんといっても「蚕はグルメ」と、兄とともに会社を支える専務取締役の西幸代(にし・ゆきよ)さんは説明します。
「近隣の畑で農薬を使っていたり、桑の葉を扱う人が香水をつけていたり喫煙者だったりすると、蚕は一切食べなくなるんです。トラディショナルな養蚕技術に加え、人工飼料を与えるなど常にアップデートし、通年飼育を実現しています。最近では農水省での人工飼料研究も進んでいるので、従業員2名が40日ほど農水省に出向し、研究機関のノウハウを学んでいます」
そして創業者のもうひとつの強いこだわりが、合成界面活性剤フリーであることです。
「母親ながら先見の明があるなあと思いましたが、ここが最も苦労した点でもあります。実はシルク自体に弱いながらも乳化力があるので、それを活用したオリジナル技術でクリーム状のものを作っているのです」

多様な環境に多くの固有種が生息・生育する生物多様性が評価され、2021年、世界自然遺産に登録された奄美大島。サステナビリティという言葉が叫ばれる以前から自然との共生が実践されている。
シンプルで滋養に満ちたおうちご飯のように
主成分である高純度シルクを中心に、奄美大島産の黒砂糖、鹿児島特産のタンカン、自家製にがりに加え、オリーブ、ハチミツ、コメ胚芽油、温泉水など自然素材の力を十二分に引き出して設計された「アーダンシルク」は、この11月に新たに3アイテムを加え全8品をラインナップ。
なかでも注目したいのは、やはり洗いモノ〟でしょう。マッサージ料として肌を柔らかくほぐしながらメイク汚れもオフする拭き取りタイプの「シルクマッサージクレンジング」、泡立つことなく滑らかな洗い上がりが心地いい「シルクウォッシュ」、デリケートゾーンウォッシュやベビーソープ、シェービングジェルなどマルチに使える全身洗浄料「シルクチューン」。泡立ちに慣れていると違和感を感じる人がいるかもしれませんが、高純度ナノシルクが汚れだけをきちんとからめとり、潤いを逃さずに肌を滑らかに整えてくれるので、老若男女、肌が揺らいでいても敏感に傾いていても安心して使い続けられるのです。
その実力のほどは、創業者・里依さんの肌を見れば明らか。80代の今もなお、桑畑や蚕の様子を確認することが日課となっている里依さんは、次のように語ります。
「桑畑作りから開発、製造、出荷、そしてコールセンターに至るまですべて自分たちでやっています。朝起きてそのまま人前に出られるようになって嬉しい〟という声を聞くと本当に嬉しいですし、耳に痛い声を頂戴したらそれをすぐに商品に反映するようにしています。だから30年続けてこられたのだと思います。自分たちが、自分の子どもたちが安心して使える、おうちご飯のような化粧品作り。素肌が健康で美しくあってこそ、毎日を生き生きと楽しめると思います」
美的GRAND冬号の付録にクレンジングクリーム、新ローション、セラムのサンプルがついています

高純度シルクが凝縮配合された「シルクセラム」(5㎖)、西里依会長イチオシの「シルクマッサージクレンジング」(2g)、肌荒れが気になる人におすすめの新化粧水「シルクローション M」(1.5㎖)が試せます。奄美大島の自然のパワーを体感して。
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