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2013.4.5

大高博幸の美的.com通信(148) 『ヒッチコック』 試写室便り No.41

(C)2012 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

サスペンスの神と、もう一人の天才、妻アルマ。
世界が震撼した最高傑作『サイコ』誕生までの感動の物語。
ヒッチコック』 (アメリカ映画)
本日、4.5からロードショー。
詳しくは、hitchcock.jpへ。

STORY 新作のワールド・プレミアでヒッチコックは、記者の「そろそろ引退されますか?」という質問に憮然とする。1959年、46本の作品を世に出し、60歳になっても、ヒッチコックは唯一無二の映画を作りたかった。そんな彼が目をつけたのは、実在の凶悪殺人犯エド・ゲインを描いた小説「サイコ」。ところが内容を知った映画会社には出資を断られ、映倫には殺人シーンは許可できないと突っぱねられる。
妻のアルマの協力で、何とか自己資金で製作を開始するが、映画史上かつてないシーンの撮影にトラブルは山積み。最強の味方のはずのアルマは魅力的な脚本家ウィットとの共同執筆に熱中し、夫婦の絆まで揺らぎ始める。ヒッチコックはプレッシャーから倒れ、アルマの助けで何とか撮影は完了するが、第1回の試写の評判は最悪。だが、互いの関係を見つめ直した二人の鮮やかな逆転劇が始まった――! (プレス資料より)

世界中の誰もが認める“サスペンスの巨匠”ヒッチコック監督(1899-1980)のファンと、『サイコ』(サスペンス映画史に輝く1960年の大ヒット作)を観て震え上がった方達には必見の作。But、どちらも知らないとしても、映画好き&人間ドラマ好きな方なら、大いに楽しめる作品です。上映時間は99分。マスコミ試写の開始から公開までの日数が何故か非常に短かったので、宣伝の行き届いていない点が少々気がかり。

ヒッチコック役を演ずるのは名優アンソニー・ホプキンス。特殊メイクを施した彼は、TV番組『ヒッチコック劇場』に登場していた頃の本人と瓜二つの姿形で、この天才監督の実像に迫っています。興味深かったのは、意外に子供っぽいところがあったり、相当嫉妬深かったり、プレッシャーに倒れたりするところもある人物だったコト。
妻のアルマ役は、これまた名優のヘレン・ミレン。多少のコトには動じない芯の強い女性ですが、ある不快な事態に落胆し、それを振り切るために、真っ赤な水着を迷った挙句、きっぱりと買い求める場面が印象的でした(しかし ただ1つ、唐突ですが、彼女はスキンケアをもっと熱心に実行すべき。「角質ケア×保湿ケアをバランスよく継続すれば、数段ハリのあるキレイな肌でいられるはずだ」と、彼女のクローズアップの瞬間に僕は感じてしまいました)。
脇役陣も充実していて、特に良かったのは次の三人。
ヒッチコックのエージェント役のマイケル・スタールバーグ。いかにも冷静沈着かつ有能なエージェントの雰囲気を、全身に漂わせた演技が絶妙です。
女優ヴェラ・マイルズ役のジェシカ・ビール。『幻影師アイゼンハイム』(2006)に主演した頃と比較すると遥かに洗練されて美しく、ヒッチコックに反発心を抱きながらも女優としての責務を果たしていく姿を堂々と演じています。あの時代のヘアスタイルが完璧に似合っているところも◎でした。
しかし最高に良かったのは、秘書ペギー役のトニ・コレット。仕事に集中する優秀な秘書であると同時に、いつもスッキリとメークしているところが実に素晴らしい。シワもたるみもない肌、当時流行のベースメークに赤い口紅がアクセントという 彼女の顔は、見惚れる程チャーミングでした。
女優ジャネット・リー役のスカーレット・ヨハンソンは、ジャネット・リーとは異なるタイプの“グラマー女優”に見えてしまう点が少々残念。もっとも今日では、彼女の役にピッタリのスター女優を捜し出すなんて、至難の技かも…。
この映画の中に1ヶ所、「いくらなんでも無理でしょう」と思わされたところがあります。それは、「ストーリーの結末を秘密にしなければ」と考えたヒッチコックが、『サイコ』の原作本を手にして、「1冊残らず買い占めるんだ!」とスタッフに命じる場面。出版されている本をアメリカ全土から1冊残らず買い集めるなんて無理な話だと思うし、仮にそうしたとしても、出版社は即 増刷してしまうはず。「そんなコト、どうでもいいでしょう」と、もう一人の僕に囁かれましたが、あの場面、スタッフの反応する表情が2~3秒程でも挿入されていたなら、全観客が納得するはずだと、僕は いまだに(笑)思っています。
P.S. この映画を観たあとでも かまいませんので、『サイコ』の本篇をDVDなどで ぜひ観てください。トリ肌が立ってしまうショッキングなシーンが、少なくとも3ヶ所にあります。いちばんゾーッとさせられたのは、最後の最後の静かな場面でしたよ。

ビューティ エキスパート
大高 博幸1948年生まれ、美容業界歴46年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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