「ドライサウナよりもミストサウナのほうが汗をかく」ってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は“サウナ”について。ドライサウナよりもミストサウナの方が汗をかくって…ホント? 「日本サウナ学会」で代表理事を務め、医師の観点から正しいサウナの入り方を提唱する加藤容崇先生にお話を伺いました。
Q:「ドライサウナよりもミストサウナのほうが汗をかく」ってホント
日本でも古くから愛されているドライサウナと、部屋中が蒸気で満たされているミストサウナ。種類の違いはあれど同じサウナなら発汗効果に大差はなさそう…と思いきや、じつはミストサウナの方が汗をたっぷりかけるというウワサが。実際のところはどうなのでしょうか?この疑問を加藤先生にぶつけてみました。
A:ウソ
「ミストサウナの室内では肌表面がしっとり濡れて、体が温まってくるのも相まって大量の汗をかいてるように感じますよね。しかしこれは大きな勘違い。肌表面についた水滴にはもちろん汗も含まれていますが、約50%は結露によるものです」(加藤先生・以下「」内同)
Point
ミストサウナの発汗の半分は結露との勘違い。肌表面に結露ができる仕組みは?
「例えば自宅の部屋のテーブルに、氷を入れたグラスを置いたとしましょう。時間が経つにつれて氷が溶け始め、グラス表面に水滴がついてきますよね。これは冷たいグラスによって空気中の温度が下がる一方、気化ができなかった液体が結露としてグラス表面に出てくるから。
これと同じ現象がサウナ内の肌表面でも起きます。肌の温度はサウナ空間に比べて低いため、結露が生じるのです」
ドライサウナとミストサウナの違いとは?
「サウナは大きくふたつに分けられます。まずは銭湯にもよく併設されているようなドライサウナ。温度が100℃前後とかなり高く、湿度が低いため部屋の中はカラッと乾燥しているのが特徴。部屋の造りが木製であることが多いですね。
もうひとつはウェットサウナ。ドライサウナに比べて温度が60℃前後と低めですが、湿度はかなり高く設定されています。部屋中に蒸気を行き渡らせるため、掃除のしやすさやカビ防止の観点から石やタイル素材造られているのが特徴です。ウェットサウナの種類のひとつがミストサウナであると考えてもらえればOK」
ミストサウナでは体は温まりにくい?
「室内温度は異なるものの、90℃のドライサウナと60℃のミストサウナは同じくらい深部体温が上昇するという研究データがあります。これには肌への熱伝導率が関係していて、肌表面が乾いているときよりも、濡れている状態だと熱を感じやすくなるのです。
100℃のドライサウナに入ることはできても、100℃のお湯に浸かることはできない…と想像してもらえるとわかりやすいでしょう。
湿度が高ければ体は熱を感じやすい。ミストサウナの温度が低いからといって体が温まりにくいというわけではないのです」
Point
ドライサウナとミストサウナの深部体温上昇効果は同じフィンランド式サウナとは?
「個人的には、ウェットサウナの中でも比較的高温を堪能できるフィンランド式の“ロウリュ”がおすすめです。ベースの室温は70~80℃程度ですが、部屋の中にあるホットストーンに水をかけて水蒸気を発生させ、体感温度と発汗作用を高めることができます。
施設によってはロウリュを時間帯ごとのイベントとして提供している場所もありますが、自分のタイミングで水をかけることができるセルフロウリュ式も。『ソロサウナ tune』では完全個室なので好きなときにロウリュができ、温度と湿度を調整しやすいというメリットがあります。
サウナも設備や特性によってたくさんの種類があるので、自分が気持ちいいと感じる場所や方法を探してみるのも楽しいですよ」
文/井上ハナエ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
日本サウナ学会で代表理事のほか、慶応義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット特任助教、北斗病院で医師も務める。人間が健康で幸せに生きるためには、健康習慣による予防が最高の手段だと言うことに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。自身も筋金入りの「サウナー」であり、サウナブームを牽引する人物のひとり。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)がある。